福島コースで大きなプラスが加わるはず
先週の宝塚記念を快勝した5歳牝馬マリアライト、その兄で29日の帝王賞(勝ち馬は武豊騎手のコパノリッキー)を、果敢に逃げて8着したクリソライト。この兄妹と近親になるのが、人気の
ブラックスピネル(父タニノギムレット)。
10年ぶりの夏の福島参戦になる武豊騎手は、福島コース通算【13-8-6-27】。3着以内率はぴったり「50%」。マリアライトと同じ16番は、小回り福島とはいえ多頭数の3歳戦で揉まれる心配のない好枠。一族の勢いもある。軽視できない。
一方、逆の1番枠を引いた
ゼーヴィント(父ディープインパクト)に期待したい。こちらは同じ右回りの中山【2-0-0-0】。好位抜け出しの自在性がフルに生きる。
ゼーヴィントの母シルキーラグーン(父ブライアンズタイム)は、この福島で河北新報杯を勝ち、バーデンバーデンCはレコード勝ちだった。
ゼーヴィントの3代母になるアサーティブプリンセスは、繁殖牝馬として名高いパシフィカスの半妹になる。ビワハヤヒデ、ナリタブライアンを送ったパシフィカスの大成功により、その姉妹を中心に「パシフィックプリンセス(米)」の牝系一族は総計12頭も立て続けに輸入された記録がある。
オーナーや生産牧場の関係もあったが、この牝系と種牡馬ブライアンズタイムは抜群に相性が良かった。3冠馬ナリタブライアン(頭角を現したのは福島のきんもくせい特別)、その全弟で98年のラジオたんぱ賞(現在のNIKKEI賞)を勝ったビワタケヒデを筆頭に、前出のシルキーラグーン、ピサノガレー、フサイチストラトス、ブライアンズイブ…など、この牝系にはブライアンズタイム産駒の活躍馬が山のようにいる。98年の桜花賞などG1を3勝したファレノプシス(キズナの半姉)もこの牝系一族の代表的牝馬であり、父はブライアンズタイムである。
大成功した種牡馬ブライアンズタイムの母の父は、リボー直仔のグロウスターク。現在ではアメリカに残っている「リボー系」は、大レース向きの底力を伝えるとされるが、実は大変な平坦血統であり、だから小回り平坦のアメリカに残っているともいえる。
伝説のリボーは、M.デムーロ騎手と同じイタリア出身。イタリアは欧州のローカルに相当するから、リボーの血も、(この日は中京で騎乗だが)デムーロもローカル競馬を好むかもしれない。
ゼーヴィントは、大きなファミリーを発展させた「パシフィックプリンセス」の一族であり、母はブライアンズタイム産駒のシルキーラグーン。福島コースで大きなプラスが加わるはずである。穴馬多いが、魅力はニュージーランドTの2着が光る江田照男騎手の
ストーミーシー(父アドマイヤムーン)。