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◆池江調教師「併せ馬の真ん中に入れると自分でハミを取って動いてくれるんだ」

　ビッグレースが少ない夏場は厩舎地区でゆったりと2歳馬を見る時間を増やせる。調教の前後の変化やオフショット的な表情がのぞけたりで、結構楽しい時間が過ごせたりするものだ。

　そんな中でパッと目に飛び込んでくるのはやはりグッドルッキングホース。池江厩舎の評判馬ダノンオブザイヤー(牡＝父ディープインパクト、母レディジョアン)はその典型で、バランスの取れたシルエットは誰の目にも「いい馬」に映るはずだ。

　ただし、見た目と乗り味、調教の動きは一致しないことも多い。投票所で何度となく川合助手に調教の様子を聞いても、なかなかトーンが上がってこないし、管理する池江調教師も「大型馬だし、使いつつのタイプなのかな。素質の高さは感じるけど…」と現時点の評価は微妙なものだ。

　対して川合助手のトーンが早くから上向く一方だったのがラブリーデイの全弟プレスト(父キングカメハメハ、母ポップコーンジャズ)。池江調教師も「併せ馬の真ん中に入れると自分でハミを取って動いてくれるんだ」とかなりの手応えを感じている。

　この池江ブランド2騎はともに今週の中京新馬戦でのデビューが濃厚。ダノンオブザイヤーは土曜芝1600メートル、プレストは日曜芝2000メートルにエントリーする予定だが、この2鞍はともに早くから「かなりメンバーが揃いそう」と言われていた番組でもある。

　当コラムでもすでに取り上げたマイティドリーム(牡＝父ディープインパクト、母ラグジャリー・梅田)は日曜芝2000メートルに武豊とのコンビでデビュー予定。梅田調教師に改めて話を聞くと、「兄のショウナンマイティと違って脚元の不安がないし、おとなしいから調整もしやすい。ここまでは順調にきたよ。坂路でも時計が出ているし、やはり瞬発力はいいものがあるね」。芝1600メートルも選択肢にはあったはずだが、「クラシックを意識している馬だからね」とキッパリ。早くもGI未勝利に終わった兄の無念を晴らそうという意気込みが伝わってくる。

　土曜芝1600メートルにエントリー予定のアメリカズカップ(牡＝父マンハッタンカフェ、母ベガスナイト・音無)は、先週の調教にまたがった生野助手が「スタッフの誰もが褒める理由がわかりました。時計はそれほど出ているように感じないのに、ちゃんと出ている。かかるところがないし、長くいい脚を使えそう」と手応えをつかんだようだ。

　この音無厩舎の取材の帰り道に会った吉田厩舎の福島助手は、騎乗していた馬を指さしながら「これ、走ると思うよ。中京のマイルを使う予定なんだ」。過去に万馬券を何度か取らせてもらった“恩人”が推奨するこのガウディウム(牡＝父ハービンジャー、母パーフェクトジョイ)も要チェックとなりそう。

　とにかく今週の中京の新馬戦は紹介しだしたらキリがないほど、魅力ある馬があふれている。なかには左回りの長い直線の向こうに、早くもダービーの栄光のゴールを見据えている馬もいることだろう。