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【特別原稿】「祐言実行」コラムに共感して、みなさんに伝えたいこと

  • 2016年07月20日(水) 18時00分


シュヴァルグランの位置取りについて考えが一致

 今回の特別版に関しては、本来の調教Gメン研究所の内容とは違ったものになるため、私から編集部にお願いして別ページを用意していただきました。突然の要望だったにも関わらず、対応してくださり、本当にありがとうございます。

 これまで自分が競馬に関わっていて「感じたこと」を公の場で文章にすることはあまりありませんでしたが、この内容に関しては、どこかタイミングがあれば原稿にしたいという気持ちがあったんですよね。そんな時、ある場所で福永祐一騎手とお話しさせていただく機会があり、その中で共感することがたくさんあり、今回の発信となりました。

 そもそも、福永騎手とどうしても話してみたいと思った理由。それは7月5日に更新された「祐言実行」のコラムの中で、福永祐一騎手がシュヴァルグランの騎乗について『勝つためにはアドマイヤデウスのポジションがほしかった』という一文です。レースの翌々日、シュヴァルグランを管理する友道康夫調教師には「デウスの位置だったら、絶対に勝ち負けでしたよね」という話をしていたので「やっぱり、そうだったんだ」という思いと、ジョッキーからそういった回顧を聞けたことに納得しました。

 レース当日は京都競馬場でJRAが主催する学生向けの競馬教室を担当していて「シュヴァルグランの状態は最高にいいと思います。だから私の本命はシュヴァルグランです。ただ、京都芝は前日、そして今日の結果を見ても内を通った先行馬が断然有利。どこでレースを運ぶかが勝敗を分けると思います」といったレース前解説をしていました。

 そして、馬場入場からレースも学生と一緒に観戦。まず返し馬を見て「パドックでは入れ込んでいるようにも見えましたが、返し馬ではジョッキーとのリズムも合っているように見えるので、状態に関しては心配ないと思います」と話し、スタートを待ちました。

 最初4コーナーを回る時に位置が後ろになっているなと思い「アドマイヤデウスの位置をとってほしかった」と伝え、4コーナーを回る時には「馬券圏内も厳しいかも」と解説しました。しかし、結果は3着。これについては「前があくのを待ってじっとしていたから3着があったと思います」とレース後に話しました。

 この場では私の解説や回顧しか聞いていないので「毎日、調教は見ているかも知れないけど、レースには乗ったこともないのに、そんな解説で正しいのか?」と疑った学生もいたと思います。井内は◎にした馬が負けた理由をレースのせいにしている。そう思われても仕方ありません。しかし、私とは全く立場の違うジョッキーから、同じ解説や回顧をしてもらえると「井内の解説は合ってたんだ」ということになり、馬券は外れても、それを理解して、次の馬券につなげてもらえるかも知れません。

 福永騎手はコラムの中で「競馬人口を広げるためには、きちんと伝えて、競馬をより深く知ってもらうことが大切」と言葉にしています。これはJRA主催の競馬教室やイベント、netkeiba.comでの競馬予想などで、じかに競馬ファンと接している私の立場にはもっと重要なことだと常日頃から感じています。

 私の競馬予想の基本は「主観と客観の両立」ですから、その信念を忘れることなく、福永騎手をはじめ、いろんな騎手、そして関係者の言葉や思いを伝えていくことも私にできる役割ではないかと思いました。もっと伝えたい自分の考えもありますが、今回はこれで締めさせていただきたいと思います。

 また機会があれば、このような特別版で自分の意見をお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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