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【池添謙一×藤岡佑介】第4回『池添騎手の代名詞 GI勝利を量産する“追い込み”技術』

  • 2016年07月27日(水) 18時01分
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▲追い込み、掛かりそうな場面で耐え切る技術など、佑介騎手が気になっていることを聞いていきます


デュランダル、スイープトウショウ、ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ショウナンパンドラ…鋭い末脚でビッグタイトルを手にした名馬たち。勝利に導いた池添騎手の“追い込み”を、佑介騎手は「独特」だと言います。対談4回目の今回は、池添騎手の追い込み技術、掛かりそうな場面で耐え切る技術など、日頃からその騎乗に注目している佑介騎手が気になっていることをズバッと聞いていきます。(構成:不破由妃子)


(前回のつづき)

「馬が本気で掛かったら、人間なんて絶対に敵わない」


佑介 池添さんの追い込みについて、ちょっと聞いてみたいことがあったんですけど、池添さんは、直線まで死んだりふりをして直線でギュン! とくるのではなく、道中から少しずつ動かしていきますよね?

池添 確かに「行きますよ〜」って、少しずつ合図を出しているかも。

佑介 僕にとって追い込み馬は、道中はスイッチを入れないように運んで、直線でパン! と爆発させるイメージなんですが、池添さんはコーナーからずっと準備をしていて、パン! と弾けるというより、ジワジワ上がってきてグーンと伸びてくる馬が多いなと思って見ていました。

池添 そういう競馬をするときは、反応がそこまで鋭くない馬のときじゃないかな。たとえば、ロードクエストは少しの合図でガン! とスイッチが入るタイプだから、NHKマイルCの道中はまったく動いていないと思う。デュランダルの場合は、動かしながらじゃないと前について行けへんかったからね(苦笑)。だから、「もうそろそろやから、準備を始めてねー」という合図を、早い段階で送るようにしてた。

佑介 なるほど。考え方として、そういう反応が悪い馬に騎乗した場合、僕だったら追い込もうとは思いません。おそらく、少しでも前に行こうとすると思うんです。でも、池添さんは、デュランダルに限らずそうではない。何が正しいとかそういうことではなく、あくまで自分とは違うから、“池添さんの追い込みは独特やなぁ”と思って、いつも見てるんです。

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▲池添騎手の追い込みを強く印象づけた、デュランダルの2003年スプリンターズS(撮影:下野雄規)


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▲末脚炸裂で2009年両グランプリ制覇、オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニー(写真は有馬記念、撮影:下野雄規)


池添 そう言われると、そうなんかなぁと思うけど、自分では意識していなかった。それにしても、佑介はホンマによう見てるなぁ。しかも、見るだけじゃなく、自分なりにちゃんと分析している。

佑介 全員を同じ熱量で見ているわけではないですよ。ただ、この人は“何か”を持ってるな…と思う人については、じっくりと見てます。ただ、当然ですが、見ているだけではわからないことばかりで、いつも見ながら“なんでかな?”と思っていますけどね。あと、僕だったら強めに引っ張ってしまうかも…という場面でも、池添さんはギリギリまで我慢してますよね。筋力もそうですが、耐え切るだけの精神力があるんだろうなと思って。

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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