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函館2歳ステークス

  • 2016年07月27日(水) 18時00分
函館2歳ステークス

函館2歳ステークスを制したレヴァンテライオンと三浦皇成騎手


目当ては道営ホッカイドウ競馬から函館2歳Sに参戦した2頭

 先月18日以来、2開催12日間にわたる中央競馬函館開催が24日(日)、最終日を迎えた。せめて一度くらいは函館遠征を、と毎年思うのだが、ちょうど6月下旬から7月上旬にかけては牧草収穫の時期と重なることや、7月は八戸に始まり、毎週場所を変えてセリが始まる時期でもあり、なかなか出かけることができない。

 何より遠い。私宅のある浦河からだと約370キロの道のりになる。日高門別から日高道に乗り、苫小牧東インターから道央道で大沼までと、4分の3くらいは高速道路を走ることになるが、それでも所要時間は5時間といったところ。さすがに若くない体には負担が大きい。

 さて、今回は、もちろん函館2歳ステークスが目当てであった。16頭の出走馬のうち、道営ホッカイドウ競馬からバンドオンザランとピンクドッグウッドの2頭が参戦しており、果たして中央馬にどれくらい通用するのかを見たいと思ったのだ。

 バンドオンザランは、4月20日の門別競馬開幕日に行なわれた全国一早い2歳戦である「スーパーフレッシュチャレンジ」競走を制し、同世代第一号の勝ち名乗りを上げた馬だ。その後、門別で2戦を消化しており、6月30日には2歳重賞の「栄冠賞」を1番人気で順当に勝ち、現時点での道営ナンバーワンの座についている。通算3戦2勝2着1回という成績である。鞍上は栄冠賞に続いて桑村真明騎手が手綱をとる。

 そのバンドオンザランに唯一土をつけたのが、もう1頭の道営馬ピンクドッグウッド。この馬は5月24日に門別でデビュー勝ちすると、2戦目の「JRA認定ウイナーズ」(6月9日)も続けて制した。この時の2着馬がバンドオンザランであった。ただ、栄冠賞ではバンドオンザランに軍配が上がり、ピンクドッグウッドは6着に敗退している。

函館2歳ステークス

バンドオンザランのパドック

函館2歳ステークス

ピンクドッグウッドのパドック


 バンドオンザランは父スズカコーズウェイ、ピンクドッグウッドは父サウスヴィグラス。前者は角川秀樹厩舎、後者は田中淳司厩舎で、ベテランの宮崎光行騎手が騎乗する。門別でしのぎを削る角川、田中両厩舎のそれぞれナンバーワンが果敢に挑戦することになった。ちなみに両馬とも新ひだか町・(有)グランド牧場の生産馬だ。

 キャリアの上では中央馬を上回る戦歴を持つ2頭だが、初めての芝コースでの競馬であり、中央の速い流れに適応できるかどうかは未知数と判断されたのか、いずれも人気は低かった。バンドオンザランは14番人気で101.6倍、ピンクドッグウッドは16番人気で224.4倍である。

函館2歳ステークス

バンドオンザランの馬場入り前

函館2歳ステークス

ピンクドッグウッドの馬場入り前


 このレースの1番人気は1.8倍の高い支持を集めたモンドキャンノ。キンシャサノキセキを父に持つノーザンファーム生産の牡馬で、開幕週の6月19日に今回と同じ函館芝1200mでデビューして1分9秒4の好タイムで優勝している。

函館2歳ステークス

モンドキャンノの馬場入り前


 続いて2番人気(7.2倍)はアメリカ産馬のレヴァンテライオン。父パイオニアオブザナイルの牡馬で、やはり6月26日に函館でデビュー勝ちを収め、ここに照準を合わせてきた。

函館2歳ステークス

レヴァンテライオンの馬場入り前


 3番人気はデビュー戦でモンドキャンノに惜しくも敗れたものの、続く2戦目の牝馬限定未勝利戦を1番人気で順当勝ちしたドゥモワゼル(父ショウナンカンプ)が9.3倍で続いた。以上の3頭に人気が集まり、4番手以下はいずれも10倍以上の単勝オッズであった。

 ところで今年48回目となる函館2歳ステークスには、過去に3頭の道営所属馬が優勝している。1999年のエンゼルカロ、2005年のモエレジーニアス、2007年のハートオブクィーンの3頭である。ただし、これら3頭は、2012年に廃止されたラベンダー賞にまず挑戦し、そこで1着をとって本番の函館2歳ステークスに向かった。ラベンダー賞は恰好のステップレースとして道営馬が狙う芝の2歳オープン特別だったが、廃止後は函館2歳ステークスに直接挑戦するローテーションになった。

 パドックの周回を終えた各馬が馬道を通り、本馬場に入場してくる。それぞれ返し馬をしてスタンド前を通過して行く。

 発走時刻は午後3時25分。この日の函館は曇りがちながら良馬場で、スタンドには数多くのファンが詰めかけていた。

 レースは3番ザベストエバーが先行し、7番ラッシュアウトが続く展開。5番タイムトリップと12番レヴァンテライオンがこれら2頭をマークする形で進む。

 4コーナーを回り、直線に向かったところで、ザベストエバーとラッシュアウトを交わしてレヴァンテライオンが抜け出し、1分9秒2のレースレコードでゴール板を駆け抜けた。

 2着は1番人気のモンドキャンノが2分の1馬身差で入り、人気薄のタイムトリップが最内でよく粘って3着を確保した。

 レヴァンテライオンは、栗東・矢作厩舎所属で、馬主はライオンレースホース(株)。三浦皇成騎手が騎乗。昨年のキーンランドセプテンバーセールにて購買されたアメリカ産馬で、育成は浦河にある(株)シュウジデイファーム。

函館2歳ステークス

レヴァンテライオン関係者の口取り風景


 なお、道営馬2頭は、バンドオンザランが9着、ピンクドッグウッドは残念ながら最後尾のままでレースを終えた。しかし、バンドオンザランは14番人気という評価以上の着順を確保でき、今後に繋がる経験となったはず。

 ともあれ、今週末から北海道シリーズは札幌に舞台を移し、新たに遠征する道営所属馬がきっと出てくるだろう。引き続き注目して行きたいと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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