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【ユーザー質問】祐言実行Q&A『もっと“逃げ先行”で勝負してもいいのでは?』

  • 2016年08月02日(火) 18時01分
祐言実行

▲今週は“逃げ”に関する読者質問2つに答えます


逃げ馬は競られたら終わり、非常に弱い立場


Q. 福永騎手はスタートが巧いと思います。なぜそんなに巧いのでしょうか? あと、個人的に思うのは、もっと逃げ先行で勝負してもいいのではないか? という事です。福永騎手が好スタートからペースを握って先行したら、ほかの騎手はお手上げだと思うのですが。

A. 以前、このコラムにも書いたことがあるが、スタートは若い頃から得意としている。自分を絶対に褒めなかった北橋先生にも、「スタート“だけ”は巧い」と言われたことがあるし、自分の大きな武器といってもいい。ここ2、3年で、さらにスタートに関する技術が高まってきた実感もあり、今では自分だけの「スタート論」として完全に説明できるほどになったが、現役のうちはさすがに企業秘密。そこはご容赦願いたい。

 質問者の言うように、スタートの良さを生かせば、もっと勝てるかもしれないという思いはあるし、実際、ほとんどレースで逃げられるくらいのスタートを切っている自負もある。正直、もっと逃げてもいいのでは…と、自分でも思うことはあるが、なぜあまり逃げないかというと、ただ単に逃げが好きではないから。というのは冗談で、実はちゃんと理論的な裏付けがある。逃げ馬の当該レースでの勝率は確かに高いのだが、逃げ切った馬の次走の好走率が極端に下がるのだ。これは、数字的にもハッキリと出ているし、自分の感覚とも一致している。

 もうひとつは、逃げて勝つには他者に競られない運が必要になるということ。逃げ馬は競られたら終わり。非常に弱い立場であり、むしろ追い込み馬より他力本願だと自分は考える。戦前にレースを組み立てるときに、運に頼る戦法を選べないというのが理由だ。

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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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