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【池添謙一×藤岡佑介】第5回『四位騎手のダービーに見る“GIを勝つ騎手の戦い方”』

  • 2016年08月03日(水) 18時01分
with 佑

▲今回のテーマは「GIを勝つジョッキーの戦い方」勝ったことのある人だけが感じる“何か”とは


大好評だった池添謙一騎手との対談も今回が最終回。最後のテーマは「GIを勝つジョッキーの戦い方」について。重賞を20勝以上勝っているものの、まだGI勝利は達成していない佑介騎手。もっとも近づいたスーパーホーネットの話から、話題は「GIを勝つこと」へと膨らみます。勝ったことのある人だけが感じる“何か”――ふたりがそれを強く感じたのが、四位騎手のディープスカイでのダービーだと言います。(構成:不破由妃子)


(前回のつづき)

「佑介がGIを勝つのをずっと待ってる。早く泣かせてくれよ」


──今回の対談でも“背中が柔らかい”という表現が何度か出てきましたが、背中が柔らかい馬と硬い馬は、実際に跨ったときにどういった違いがあるのですか?

佑介 柔らかい馬は、乗ったときに「ほわん、ほわん、ほわん」という柔らかい反動が背中から伝わってきます。

池添 そうそう。硬い馬は“ドン、ドン、ドン”っていう感じで、反動がお尻にダイレクトに返ってくる感じかな。

佑介 池添さんは、柔らかい馬が好きだとおっしゃってましたけど、僕は少し硬さのある馬が好きなんです。動きは柔らかいんだけど、走らせるとちょっと硬いというような。硬いということは、動きに幅がないから反応が速い。決して嫌な硬さではなくて、ネジがしっかり締まっている感じっていうんですかね。

池添 なるほど。実際に乗った馬ではどの馬? 例えばスーパーホーネットとか。

佑介 あの馬はまさにそうで、ただ4歳のときのマイルCS(07年2着)くらいまでは、めっちゃ柔らかかったんですよ。でも、年を取るにつれてだんだん硬さが出てきて、硬さが増すにつれ、キレ味も増したんです。

池添 ネジが締まっていったわけだ。それにしても、あの馬ではいい経験したよなぁ。矢作先生の「最後まで佑介で」っていう気持ちも揺るぎなかったし。だから余計に悔しいよな。俺としては、2回目のマイルCS(08年2着)は獲ってほしかった…。

with 佑

▲コンビで重賞4勝を挙げるもGIでは2着3回。悲願のタイトルにあと一歩届かなかった(撮影:下野雄規)


佑介 僕もあのレースはなんとかしたかったです…。この前、改めてレースを見返してみたんですよ。“どう乗っても勝てる!”くらいに自信があったし、馬の力を信じて乗ったという点では後悔はないんです。レース自体も決して悪くはなかったと思うんですが、改めてレースを観て、もっとリスクを負ってでも勝つためにやれることがあったんじゃないか…と思いましたね。

池添 でも、スーパーホーネットでの経験があるのとないのでは全然違う。経験は本当に大事だから。佑介が獲るべきは、あとはもうGIタイトルだけだな。

佑介 そうですねぇ。重賞を20勝以上勝っているジョッキーで、GIを勝っていないのは僕だけらしいです(苦笑)。

池添 大丈夫。GIをひとつ勝つと、目に映る景色がガラッと変わってくるから。今は乗り替わりも多い時代だけど、チャンスのある馬に巡り合ったら、“絶対に離さへんぞ!”っていう強い気持ちも必要だと思うよ。結果はどうあれ、そういう気持ちを直接関係者に伝えることが重要だと思う。

佑介 僕も伝えるようにはしているんですけど、なかなか…。そこで納得してもらえるジョッキーにならないとダメですよね。幸い“GIを勝つジョッキーの戦い方”を、近くで何度も見せてもらってきましたから、何とかしてその経験を生かしたいです。

 すごいなと思うのは、「この馬はGIを勝てる」と思った馬で、本当に勝つこと。池添さんのシンハライトもそうですが、2009年のエルフィンSでレッドディザイアに騎乗した四位さんが、

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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