スマートフォン版へ

平坦適性も高く、この乗り変わりもプラス/関屋記念

  • 2016年08月13日(土) 18時00分


行くと思える馬の残り目

 今年も出走するレッドアリオンマジェスティハーツの昨年は、前後半「47秒9-44秒7」=1分32秒6で決着し、前後半の差は実に「3秒2」だった。これは特殊ではなく、レッツゴーキリシマが勝った10年は「48秒2-44秒7」=1分32秒9。前後半の差は「3秒5」もあった。

 最後の直線が約660mもある新潟は、1600mのレコード1分31秒5が樹立されたドナウブルーの12年でさえ、「47秒0-44秒5」のバランスなので、関屋記念ではどのくらいのペースがスローに相当するか難しいが、高速の良馬場で「前半だいたい47秒0-58秒6→」より遅いとなると、前後半バランスや、全体時計とは関係なしに、オープンの重賞だからスローの分類か。

 新潟特有の前半は緩い流れが一般的になった最近の関屋記念は、4コーナーで2-3番手より前に位置した馬が、毎年必ず連対するパターンができている。

 58キロなので「今年も行って欲しい」という陣営のトーンから、レッドアリオン(内田博幸)は行く公算大。転厩して田辺裕信の騎乗するクラリティスカイも不振脱出の先行がある。牝馬のアルマディヴァン(横山典弘)、切れないマイネルアウラート(柴田大知)の先行もある。どのみち流れが速くなる可能性は低く、近年の傾向から、行くと思える馬の残り目は考えに入れたい。

 追い込み一手型は、幅員がJRAで1番狭く25mしかない新潟の18頭立てでは、昨年のサトノギャラントのように詰まって立ち上がったり、狭くなって追えない危険大なので、好位に有力馬がつけてしまいそうな今年は、伏兵としての魅力は乏しいかも知れない。

 人気の1頭だが、牝馬マジックタイム(父ハーツクライ)から入りたい。マイルに1分32秒台が3回あるからスピード能力は大丈夫。前回はかかり気味に速いペースを追走して、かつ早仕掛け。自身の1000m通過57秒8では伸びなくて仕方がない。父ハーツクライを自在型に変えて世界に進出したルメール騎手は、ハーツクライの成長過程まで知っている。この乗り変わりはプラスだ。

 ハーツクライの母は新潟記念など新潟で3勝したアイリッシュダンス。ハーツクライの平坦適性も高く、代表産駒のジャスタウェイも最初は新潟だった。

 マジックタイムの母方は、01年の関屋記念を1分32秒2で2着したクリスザブレイブが代表する平坦一族である。だから、マジックタイムは新潟の芝【2-1-0-0】。ルメール騎手なら変に下げたりしないと思えるので、ここはマジックタイムから伏兵に流す作戦に出たい。差し馬では、昨年、超スローを上がり32秒4で伸びたマジェスティハーツは評価を下げないでおきたい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング