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川田騎手が地元で連覇か軽量馬か!?真夏のハンデ重賞/サマーチャンピオン

  • 2016年08月17日(水) 18時01分
DGに魅せられて

▲11歳まで現役を続け、121戦34勝の成績を残したキングスゾーンの思い出の一戦(写真は2006年JBCマイル出走時、撮影:高橋正和)


日本全国で戦ったキングスゾーン、念願の勝利


 夏休みに実施されるダートグレード競走を締めくくるのは8月18日(木)佐賀競馬場で行われる短距離重賞『第16回サマーチャンピオン』。2001年に創設された比較的新しいレースで、ダート1400m右回り。2007年からはハンデ戦のJpnIIIとなりました。

 これまでの成績はJRA所属馬が13勝、地方所属馬が2勝。JRA勢が圧倒的な強さを見せていますが、その中で2勝を挙げた地方馬は、第2回のフジノコンドル(笠松)と第7回のキングスゾーン(愛知)で、ともに東海地区の馬でした。ここで、各地の競馬場に遠征し全国のファンに愛された、キングスゾーンについてお話したいと思います。

 父キングヘイロー、母マチスマリンの牡馬で2002年生まれ。2003年の北海道オータムセール出身馬で、536万円で取引されました。2005年3歳の5月にJRAからデビューするも6戦して未勝利。その年の11月に愛知の原口次夫厩舎に移籍し、いきなり初勝利を挙げると、そのまま3連勝。

 4歳時は24戦して13勝と勝ち星を重ね、負けたレースもほとんど馬券圏内という活躍を見せます。ダートグレード競走に初挑戦したJBCマイル(川崎)で8着、続く浦和記念では2着に大健闘。一躍重賞戦線に名乗りを上げます。

 5歳になった2007年も各地のダートグレード競走に参戦。3着以内のレースだけ挙げても、佐賀記念3着、黒船賞3着、さきたま杯2着と徐々に成績を上げ、ますます注目度は高まっていました。

 そして迎えた『第7回サマーチャンピオン』。キングスゾーンは1番人気。2番人気はオフィサー、3番人気はフサイチホクトセイで、このJRAの2頭はともに重賞未勝利。他に2005年のクイーンC(東京)を勝った芝の重賞ウイナー・ライラプス、2003年のクラスターCをはじめ重賞4勝を挙げているものの、勝ち星から遠ざかっていた9歳馬ディバインシルバーなどが出走してきました。

 充実期を迎えていたキングスゾーン。ここまでの戦績を考えたら、このメンバーで負けられない戦いでした。2番手からレースを進め、3コーナーでは先頭。4コーナーで馬群が固まり、道中後方にいた馬たちが直線で追い上げ、最後までわからないまさにハンデ戦らしい戦い。差し馬の追撃をしのいだキングスゾーンがアタマ差1着。

 ついに念願のダートグレード競走初制覇を達成しました。ちなみにサマーチャンピオンには合計4回出走し、2008年3着、2009年10着、2011年8着という成績です。

 ダートグレード競走は結局この1勝だけでしたが、11歳で引退するまでの9年間の現役生活で121戦34勝、2着24回、3着12回、重賞11勝という素晴らしい成績を挙げました。走った競馬場は、新潟・小倉・名古屋・福島・笠松・金沢・川崎・浦和・佐賀・船橋・高知・阪神・盛岡・大井・園田・福山・水沢・京都(出走順)で、JRA5場、地方13場!

 合計18か所もの競馬場を駆け抜け、数々の重賞レースで上位争いを繰り広げました。一緒に戦ってきた相手も、ブルーコンコルド、ヴァーミリアン、メイショウバトラー、ボンネビルレコード、スマートファルコン、スーニ、ラブミーチャンら有名どころが勢揃い。さらに盛岡の芝でコスモバルクと戦ったことも! まさに地方競馬ファンの記憶に残る名馬と言っていいでしょう。

DGに魅せられて

▲メンコ姿のキングスゾーン(写真は2007年ダイオライト記念出走時、撮影:高橋正和)


DGに魅せられて

▲メンコを外すと素顔はこんな感じ(写真は2010年房の国OP優勝時)


 ここでちょっとキングスゾーンの素顔の写真をご紹介しましょう。現役時代はメンコで隠れていることが多かったんですが、(画像の下は)2010年4月に船橋競馬場で房の国オープン(OP)を勝った後の検量室前でのものです。ご覧の通り印象的な形の流星で、一度見たら忘れられない個性的な顔をしています。

 長い競走生活で関係者の方々からはもちろん、多くのファンに愛され、2013年6月には名古屋競馬場で引退式も行われました。14歳になった現在、名古屋市内から車で20分ほどのARC空港乗馬クラブで、乗馬として第2の人生を送っています。

同レース3勝の川田騎手が連覇へ導く!


 それではお待たせしました。今年のサマーチャンピオンはJRAから5頭、高知から2頭、地元佐賀勢5頭の12頭立て。負担重量52kgから57.5kgのハンデ戦。注目馬をピックアップしていきましょう。

 タガノトネールは、昨年のレースではスタートがいまひとつでしたが、向正面からいい形で進み、4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切る形で勝利を挙げ、重賞初制覇を飾りました。その後は勝ち切れないレースが続き近走不振の感がありますが、今回、鞍上・川田将雅騎手に戻るのは魅力。

 佐賀競馬場で生まれ育った川田騎手は、サマーチャンピオンで3勝を挙げています(2011年スーニ、2013年エーシンウェズン、2015年タガノトネール)。ご本人も「他の競馬場より“勝ちたい競馬場”です」と思い入れを見せています。今年はトップハンデ57.5kg(去年は56kg)での出走になりますが、復活の走りを見せ、連覇なるか注目です。

 グレイスフルリープは2015年10月のグリーンチャンネルカップ(東京・OP)と今年3月のポラリスS(阪神・OP)を勝ち、オープン戦2勝。前走4月のコーラルS(阪神・OP)では1番人気に推されて5着でしたが、1着とはわずか0.4秒差。

 そのとき勝ったノボバカラがその後かきつばた記念とプロキオンSを制し大活躍していることからも、力の比較上、期待が持てます。地方の競馬場初出走ですが、鞍上・小牧太騎手の「地方の砂も合いそう」というコメントが心強いです。

 その他のJRA勢3頭も地方競馬は初出走。昨年1月の羅生門S(京都・1600万下)を勝ったワンダーコロアール。昨年7月の桶狭間S(中京・1600万下)を勝ったフミノファルコン。10月の北陸S(新潟・1600万下)を勝ったミリオンヴォルツ。各馬、新境地を求めての戦いになります。

 地方馬ではまず地元佐賀のテイエムチカラ。昨年暮れにJRAから佐賀に移籍後、11戦8勝、2着2回、3着1回とすべて馬券圏内の活躍。走り慣れた地元のコース、今回52kgで上位を狙います。

 昨年のサマーチャンピオンに出走し9着だった佐賀のコパノエクスプレス。その後も地元で堅実な成績を残し、今回は鞍上に金沢の吉原寛人騎手を迎え、こちらも52kgでの出走。

 カッサイも52kg。JRAから大井、さらに今年3月に高知に移籍後、10戦7勝、2着3回と連対率100%の活躍。初めてのダートグレード競走挑戦です。

 今年のサマーチャンピオンはダートグレード競走の初挑戦の馬がほとんどで、未知の部分が多く、混戦模様。実績を考えたら当然タガノトネールの連覇なるかに注目が集まりますが、軽量を活かして好走する馬がいるかもしれないハンデ戦。地方馬が2、3着に来ることも多く、波乱の結果も考えられます。

 真夏の短距離重賞、ぜひ馬券を買ってご覧ください。

※次回の更新は9月14日(水)の18時。浦和競馬場で行われる「テレ玉杯オーバルスプリント」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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