スマートフォン版へ

モーリスが飛ぶケースも想定して買うべし!/札幌記念

  • 2016年08月17日(水) 18時00分

■札幌記念(G2・札幌芝2000m)フルゲート16頭/登録17頭


【コース総論】札幌芝2000m Cコース使用

・コースの要所!

★5番人気以内が強く6番人気以下が弱いコース。大穴も期待薄で人気馬優勢。
★内枠である馬番1〜4番が好成績。対照的に外枠は、少しだけ割引が必要か。
★直線が短く追い込めないコース。4角を5番手以内で回れそうな馬を重視で。






 16頭立てにおける平均配当は、単勝1224円、馬連4690円、3連複1万3652円。もっと堅く決着しているイメージだが、「1番人気以外の上位人気で決まってソコソコ好配当」というケースが意外に多いようだ。1番人気の信頼度はそれなりに高いが、配当的な妙味があるのは3〜5番人気あたり。対照的に、5〜9番人気といった「中穴ゾーン」はイマイチで、10〜12番人気の大穴を大胆に狙ったほうがいいかもしれない。

 続いて枠番だが、こちらは内枠である馬番1〜4番の好成績が目立っている。平均人気が8.0と抜けて高いとはいえ、連対率17.6%、複勝率26.5%と、他とは比較にならないほどに高信頼度。単純に内外で比較したデータでも、複勝率には大きな差が出ている。逆に外枠である馬番13〜16番は、複勝率14.9%と成績が低迷。複勝回収率も低く、少し割り引いて考えたほうがよさそうだ。

 そして脚質は、ハッキリと先行有利。能力があれば中団からでも差せるが、後方に置かれた場合は事実上のノーチャンスである。とくに人気薄を狙う場合には、前に行ける脚質や枠番であるかどうかを、必ずチェックしたいところ。直線の短い平坦コースでもあり、内枠から先行できる馬の展開利は、かなり大きいはずである。

【レース総論】札幌記念(G2) 札幌過去10年(9回)

・レースの要所!

★1番人気が連対率77.8%と高信頼度。人気薄は総じて不振で波乱度は低め。
★内枠の強さはコースデータ以上。馬番1〜8番を重視するスタンスを推奨。
★先行有利。先行勢、もしくは「中団から最速上がりを使える馬」を重視。
★5歳以下の前走G1組や距離短縮組が好成績。函館記念組は今年は厳しそう。









 平均配当は、単勝959円、馬連5077円、3連複1万2510円。1番人気が[3-4-0-2]で連対率77.8%と高信頼度で、単勝平均配当が1000円を割り込んでいるように、基本的には順当決着傾向が強いレースである。ふたケタ人気馬は[0-1-0-48]と大不振で、人気薄を狙うにしても7〜9番人気あたりがリミット。あとは、勝ち馬に関しては圧倒的に西高東低である点も、ぜひ押さえておきたいポイントである。

 コースデータも内枠有利だったが、レースデータはそれ以上。少頭数で行われた年が混じっているとはいえ、内外でこれだけ成績差があるとなると、外枠を引いた馬にはけっこう手を出しづらい。しかも今年は登録17頭と、久々にフルゲートで開催される可能性が大。なおさら、外枠を引いた馬には厳しいレースとなりそうだ。

 また、脚質別成績で先行勢の強さが目立つのも、コースデータ以上だ。4コーナーを5番手以内で回った馬が[6-7-4-37]で連対率24.1%と、他を圧倒。昨年2着のヒットザターゲットのように追い込んで好走した馬もいるにはいるが、これはかなりのレアケースで、2009年にはあのブエナビスタでさえ、4コーナー8番手からの競馬で2着に敗れている。先行勢に軸足を置くべきレースであるのは、間違いない。

 大きな差が出ているのが、年齢別成績である。若い馬のほうが全体的に好成績で、5歳以下馬はトータル[7-7-6-47]で複勝率29.9%をマーク。それに対して6歳以上馬は連対率6.3%、複勝率11.1%と低調な成績で、回収率ベースの数値もかなり見劣る。そして前走クラス別成績では、宝塚記念など前走G1出走組が絶好調。馬券に絡んだ「数」は前走G3組も多いが、「率」で見るとそこには非常に大きな差がある。

 前走G3組で注意したいのが、前走函館記念組の扱いである。出走数43回と非常に多いローテながら、札幌記念で好走しているのは函館記念で「3着以内」に入った馬がほとんど。前走4着以下から巻き返したのは2008年のタスカータソルテだけで、それ以外はすべて4着以下に終わっている。このデータから、ダービーフィズやトーセンレーヴ、ネオリアリズムといった今年の函館記念組は、かなり厳しいと考えるべきだろう。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 Aコース→Cコース替わり。馬場に大きな傷みは見られず、良好なコンディションだ。

・天候予測
 ハッキリしない天候が週末まで続く見込み。レース当日に雨が降るケースもあるか。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ジャングルポケット産駒○、ハーツクライ産駒△、ステイゴールド産駒△

 先週末の札幌開催で実際に馬場を見ているのだが、大きな傷みはまだ見られず、良好なコンディションを保っている。しかも今週はA→Cコース替わりのタイミングで、ラチ沿いを通れる「内枠の先行勢」に有利な馬場となる可能性が大。土曜日の競馬をしっかりチェックして、馬場のバイアスを確認しておきたい。

 種牡馬別では、ディープインパクト産駒とジャングルポケット産駒が好成績。いずれも複勝率30%以上、複勝回収率95%以上と、高い適性を見せている。対照的にイマイチなのがキングカメハメハ産駒で、連対率12.7%、複勝率20.0%、複勝回収率48%とかなりの低空飛行。昨年2着のヒットザターゲットや、同4着のヤマカツエースをどう扱うか、けっこう難しいところである。

★出走登録馬・総論×各論

 昨年の年度代表馬モーリスの出走で、例年以上にファンの注目を集めそうな今年の札幌記念。例年に比べれば相手関係は軽く、断然人気に推されるのは確実……と思いきや、netkeiba.comでの予想オッズは現在2.2倍。初距離や初コースを懸念する声も、けっして小さくはないようである。

 当データ分析においても、モーリスの評価はけっこうビミョー。前走G1組の5歳馬であることや、前走で中央場所に出走していたことは強調材料も、安田記念からのローテで勝った馬というのは、1986年以降で1頭も出ていない。複勝率は高いが、1〜2着で買うのはけっこうリスキーというのが、ローテ面からの判断だ。

 ただし、今年の登録馬で目につくのが、コレという先行勢の不在である。ハナを主張するような馬は見当たらず、先行しそうなのはヌーヴォレコルト、ヤマカツエース、レッドソロモン、ロジチャリス、そしてモーリス。この組み合わせだと、モーリスが逃げるような展開もありうる。いずれにせよスローが濃厚で、スタミナを問われない展開になる可能性が高いのだ。

 以上を踏まえた結果、トップ評価となったのがヤマカツエースである。宝塚記念では13着に惨敗も、札幌へのコース替わりが大きなプラスとなるタイプ。洋芝実績、距離実績ともに文句なしで、ここなら好位もしっかり取りきれるはずだ。データ面から割り引く部分は見当たらず、札幌芝が良好なコンディションを保っているのもプラス。買い材料が多いここなら、一気の巻き返しも十分に可能だろう。

 二番手評価にモーリス。データ面での裏付けが弱い一戦だが、それでも昨年の年度代表馬を軽くは扱えない。血統的には芝2000m戦など余裕でこなせる馬で、慎重な堀調教師が出してくる時点で、距離と洋芝については問題ないと考えたほうがいいのかもしれない。しかし、過信が禁物な一戦であるのも事実で、アレコレ勘案した結果がこの評価。「切りたいが切れない」というのが正直なところだ。

 三番手評価にレインボーライン。ハイレベルな現3歳世代にあって、NHKマイルCで3着、ダービーでも0秒7差8着という実績を残してきた。脚質で少し評価を割り引いたが、もっともプラス評価となった項目が多かったのは、じつはこの馬である。コース経験があることや、福永騎手が継続騎乗予定であるのも大きなプラス。人気薄での一発の期待は、この馬に託したい。

 ここまでの3頭が上位評価組で、以下はロジチャリス、ヌーヴォレコルト、ヒットザターゲット、スーパームーン、レッドリヴェール、ダンツキャンサーという評価の序列。ただし、内枠の利がけっこう大きいので、最終的な評価はかなり上下すると思われる。あとは、先行する気があるかどうかという陣営のコメントも、しっかりチェックしておきたいところ。「モーリスが飛んだらハネる」馬券を意識しつつ、買い目を構築したい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




新潟11レース 関屋記念(G3)
1着 17ヤングマンパワー
2着 12ダノンリバティ
3着 07マジックタイム

ヤングマンパワー軽視が大失敗(;^ω^)
さらに、12ダノンリバティに関してはノーマークと、反省材料が多い一戦となってしまいました(陳謝)。しっかし、戸崎ジョッキーはホントに乗れてるなあ……と、感心しきり。この調子だと、年末まで重賞を勝ちまくっちゃうかもしんない。

※コースデータと血統データは2012年、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング