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日本騎手クラブの業務に携わる栗田さんにお話をお聞きしました!

  • 2016年08月23日(火) 18時00分
栗田さん1

騎手たちのことを全面サポートしている日本騎手クラブの栗田さん



「全馬無事にゴールするとほっとします」

 アスリートの数だけドラマがあり、様々な表情が大会を盛り上げ、喜びあり、涙あり、苦しかったと絶望感もあり、様々な表情が大会をもりあげた。感動の記憶を刻みリオから東京へ五輪のフラッグが手渡された。次の開催まで4年、2020年7月24日にはいよいよ東京オリンピックが開幕する。どんなパフォーマンスが待っているのかが楽しみですね。リオの教訓を生かしてほしいです。9月7日からはパラリンピックも開催されます。ここにもぜひ注目し応援していきましょう。

 競馬界の頂点、凱旋門賞(GI・芝2400m)に挑むマカヒキ号(牡3歳)が無事に仏シャンティイの小林厩舎に到着したそうです。9月11日の前哨戦ニエル賞(GII)をステップに本番へ向かいます。昨年に続き日本馬の世界での活躍に期待が膨らみます。秋の夜長を楽しみましょう(ちょっと気が早かったかな・笑)。

***

 デビュー戦から大舞台までを支える、騎手たちのことを全面サポートしている日本騎手クラブにスポットを当てました。騎手クラブとはどのような活動や仕事をしているところなのか取材しました。関東と関西の2つの支部があります。そこで業務に携わっている栗田さんにお話をお聞きしました。

常石 いろんな面でお世話になっていますがどんなお仕事をされていますか?

栗田 騎手の皆さんの身の回りのことも含め、皆さんが心配なく騎乗できるように仕事をしています。新人騎手の身の回りのお世話もしていきたいと思っています。以前は、調教師が若手の騎手の身の回りの生活を見てくれていましたが、最近は、所属として預かってくれるだけでありがたいので、昔のように生活面から、すべて見てもらうことは難しくなっています。だから1日も早く仕事に馴染んでもらいレースに集中できるようお手伝いしていきたいと思います。

常石 僕の時は、中尾先生のお宅で食事もお風呂もいただいてましたね。子どものようにお世話をしていただきました。洗濯もしていただきました。今思えばありがたいことだったんですね。

栗田 それはかなりいい条件だったんじゃない。つねちゃんの同期でも最初から自活してた子もいましたよね。

常石 仕事内容って言えないくらい多種多様なことをされているんですね。僕もちょこちょこ無理なお願いに来たり心配ばっかりかけてきましたよね(苦笑)。

栗田 そうですね。落馬されたときは心配しました。小倉まで飛んでいきました。命にかかわるような事故が起きやすいのでしっかりサポートできるように行動したいと思っています。病院などの手配はJRAがしてくれますので、私たちはご家族への連絡などのサポートをしています。騎手の方が役員をし、調教やレースで使用する馬具や施設面・コースなどの改善などを競馬会へ提案し、いろいろ相談しながら進めていますね。

栗田さん2

調教やレースで使用する馬具、施設面・コースなどの改善提案も



常石 ヘルメットやプロテクターが改善されましたよね。少しでも危険のないようにいろいろやってるんですね。ファンとの交流やイベント・チャリティーオークションやボランティア活動もしていますよね。騎手や皆さんが呼びかけて、東日本大震災の時も九州の震災の時も、いろいろ活動してくれましたね。

栗田 常に騎手が動きやすいようにお手伝いしています。騎手の皆さんが交流を深められるようにお花見や旅行などの計画もしますね。

常石 そうそう、あの旅行は楽しかったです。普段あまり話せなかった先輩に話しかけられたり、ふざけすぎてガツンと言われたりしましたが、意思疎通ができて仕事がしやすくなりました。リハビリ中にも参加させていただき大変お世話になりました。豊さんの隣にドカンと座らせていただき宴会に参加しましたね。今思うとすごいことやってしまったな(爆笑)。

栗田 よく行けましたね。皆さんのサポートがあったからですよ(笑)。みんなに愛されてたからね。

常石 一番大変な仕事と言えば落馬したときのお世話でしょうね。障害レースも1日に2レースあったりするから気が抜けないでしょう。

栗田 平地より怪我の確率が高いのでハラハラして見ています。1レース終わってももう1レースあるので油断できませんね。怪我があってもなくても心配します。つねちゃんが一番身にしみて分かっているでしょう。つらかったでしょう。大きな事故で大変だったもんね。こうして取材に来てくれるなんて想像もできませんでした。

常石 ありがとうございます。何度もお見舞いに来てくれたりいろんな手続きをしてくれたり、大変だったでしょう。助かりました。しっかり走ってくれる馬だと思っていてもその日の体調や馬場状態などの影響があるのでゲートが開くまでは不安です。ゲートが開いてしまうと覚悟も決まり、馬と呼吸を合わせてレースに集中するだけなんですが、それでも事故ってしまうんですね(僕の場合)。

栗田 どのレースも無事に走ってほしいと願っているので、全馬無事にゴールするとほっとします。

常石 最近芸能プロと契約する騎手がいると聞きましたが競馬会からは何も言われないんですか?

栗田 そうですね。競馬が無事に終わっているので何もトラブルはないですね。個人情報が流れない様にきちんと管理しています。外国の騎手もたくさん来られるので業務も複雑になっています。

常石 いつも僕たちが仕事がしやすいように常に気遣っていただいてるのがよく分かります。困ったら騎手クラブへ来て駄々こねてましたよね(苦笑)。感謝しています。

栗田 つねちゃんに言われたら仕方ないね(笑)。雑用も多いです。でも騎手の皆さんが怪我なく活躍し信頼される騎手になってくれるのが嬉しいです。朝がとっても早い仕事だし若い騎手は特に早く環境に慣れて、周りの皆さんから信頼されるようになってほしいと思っています。調整ルームにも木馬やエアロバイクなどいろんな用具が置かれてるので自主トレする騎手が多くなってきましたね。自身の健康管理や筋トレに集中しお互い高め合うのはいいなと思います。日本馬のレベルが高くなって世界へ行く馬が多くなってるから馬も騎手も活躍が楽しみです。

常石 一番大変なことはどんなことですか?

栗田 やっぱり落馬で怪我したときが一番悲しい思いをします。無事を祈りますね。つねちゃんも大変だったもんね。でもまた馬に乗ってるんでしょう。怖くないですか?

常石 落馬した瞬間から意識が戻るまでは覚えていないので怖さは全くないですね。馬に会えてまた乗れるようになったのが嬉しいです。馬に生きる勇気とパワーをもらっていますね。今は、大きな目標に向かって障害者乗馬でチャレンジしています。楽しいです。

栗田 パラリンピックって言ってましたよね。是非頑張ってください。東京だったら応援に行きますよ。

常石 ありがとうございます。昨年全国大会の時、応援に来てくれて嬉しかったです。今の僕がこうしているのも栗田さんの助けがあったからだと思います。事故後、しゃべれなかったとき筆談で「クリ田さんARIGATOU」って書いたそうです。色んな字が混ざってたらしいですよ。おかんもわからなかったけど栗田さんはよくわかりましたよ(笑)。どんなにわがままを言っても絶対に怒らないですよね。穏やかさがいつも素敵だなーと思っていました。

栗田 つねちゃん恥ずかしいわー(笑)。

常石 まだまだお聞きしたいことがたくさんあるんですけど業務を止めてしまっているので次回にします。局長に叱られたら大変ですね(苦笑)。ありがとうございました。

局長 いえいえ、とんでもないですよ。僕のほうこそ栗田さん始め皆さんに教えてもらうことが一杯です。

常石 局長さんに初めてお会いします。常石と言います。よろしくお願いします。

局長 3月に転勤で北海道から来た宮城と言います。

常石 へー北海道ですか?大変ですね。局長はどんな業務をされているんですか?

局長 いやー、まだまだ分からないことばっかりなので皆さんに教えていただいてます。単身赴任なので大変ですよー。常石君の噂はよく聞いてますよ。

常石 前の局長さんにも公私ともよくお世話になり、助けていただきました。またよろしくお願いします。

宮城局長

栗田さん、宮城局長、これからもよろしくお願いします!



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 日本騎手クラブでは主に福利厚生の仕事をしているそうですが多種多様さにびっくりしました。栗田さんが海外旅行に1か月ほど行かれたらてんやわんやになるでしょうね。でも騎手クラブでは、局長さん始め5人の方で業務をされているそうです。あらためて感謝一杯です。いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

 つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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