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重賞回顧 ピークトラムの中京記念&関屋記念

  • 2016年08月23日(火) 18時00分
小牧太

ピークトラムで挑んだ中京記念と関屋記念の回顧…はたして小牧騎手の敗因分析やいかに!?


夏の重賞回顧第一弾として、今回はピークトラムで挑んだ中京記念と関屋記念の回顧を。完全に勝ちパターンだった中京記念(2着)、早々に手応えがなくなってしまった関屋記念(11着)…はたして小牧騎手の敗因分析やいかに!? レース中に故障を発症したキングヒーローへの思い、そしてピークトラムへの今後の期待も語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)


中京記念は絶対に勝ったと思ったわ

──8月13日の阿蘇Sでは、ずっとコンビを組んでいたキングヒーローが残念なことになってしまいましたね。仕方がないこととはいえ、ショックでした。

小牧 ホンマにねぇ。前回から、ちょっとおかしいなぁとは思っててん。本来なら折り合いに気を付けなアカン馬やのに、砂を被って前に進まんようになってたから。今思えばやけど、どこか苦しいところがあったのかもしれんね。ただ、追い切りのときもレース当日も、歩様に異常は感じられなかったからね。本当におかしいと思えば、(出走を)止めとるわ。それにしても…かわいそうやった。ずっと乗っていた馬やったからね。

──当日の12Rは乗り替わりになりましたが、小牧さんご自身のお怪我は?

小牧 大したことない。落ちたときに、まず肩を踏まれて、立ち上がるときに今度は足を踏まれて。ほら、青あざになってるやろ?(右太腿の内側に痛々しい青アザが…)。でも、肩も足も、もう痛みは全然ないわ。ただ、昨日までは腹筋が痛かってん。たぶん、落ちる時に変な力がグッと入ったんやろうね。気を付けるもなにも、レース中の故障ばかりはどうしようもない。馬はホンマにかわいそうやったけど、打撲で済んだだけでも不幸中の幸いと思わなアカンね。

──今回は夏の重賞回顧をお願いしたいと思っておりまして、まずはピークトラムの2戦から。中京記念は完全なる勝ちパターンでしたが…。

小牧 あれは完璧やった。絶対に勝ったと思ったわ。好スタートから3番手で折り合って、ピークトラムのペースで競馬ができたんやけどね。勝負どころでも、僕が動かな誰も動かん感じやったから、僕がペースを作ったようなもんやし。終始自分のペースで競馬ができたから、4コーナーを回った時点で勝てると思ったわ。

──あとは、どこから追い出そうかと。

小牧 そうそう。追い出しのタイミングも悪くなかったと思うんやけどねぇ、最後の最後に交わされてしまった。それにしても、最後はアッという間やった。並ぶ間もなかった。この前の関屋記念もそうやけど、ヨーイドンになると分が悪いんかなぁ。後ろの脚がタマりにくい淀みのない流れを、好位から粘り込むのが一番いいのかもしれん。

──ヨーイドンになると、どうしても最後は切れ味のある馬が台頭してきますから、道中はある程度流れて、むしろ消耗戦になったほうがいいのかもしれませんね。

小牧 そうかもしれんね。途中までは完璧やったけど、僕も最後にヨレてしまって…。

──制裁(過怠金7万円)がありましたね。

小牧 うん、迷惑を掛けてしまったから。

──中京記念についてはこんな質問がきているのですが、「いつも楽しく拝見しています。中京記念のピークトラムは本当に惜しい競馬でしたが、ゴール板を過ぎたあと、小牧さんが笑っているように見えました。もし笑っていたとしたら、なぜですか?」

小牧 ああ、ヨレたからや。最後の最後に邪魔をしてしまったでしょ? だから「やってしまった。ゴメンなさい」という感じで。

──そうだったんですね。確かあの日は福永さんが勝ちまくっていた日で、てっきり「また祐一くんか!」という感じで、思わず苦笑いしたのかと思いました。

小牧 いや、そうじゃない。ゴールしたときは、何が飛んできたのかわからなかったから。笑ったというよりも、「ゴメン!」という気持ちで、つい表情が緩んだんやろうね。

──続いては関屋記念ですが、今度は一転して1000m通過57秒台のレースでした。

小牧 関屋記念も、うまくレースを運べているんやけどなぁ。ただ、ヨーイドンの競馬になってしまったし、時計も速かったね。あと、内に包まれた競馬をしたでしょう。それもアカンかったのかなと思ったりして。好走するときは、ずっと外を回っているからね。

──そうですね。谷川岳Sも中京記念も外側に馬がいない状態で走っていますよね。

小牧 だからそういうのも原因なのかなと思って。馬の状態は良かったよ。スタートも良かったし、途中まではいい感じで運べてたんやけど、4コーナーではもう手応えがなかった。勝った馬は、横で引っ張ってたからね。

──勝ったヤングマンパワーは、谷川岳Sで負かした馬ですよね。

小牧 そうそう。でも、関屋記念では、4コーナーを過ぎた時点で手応えが全然違ったもんね。

──確かに小牧さんの手が動き出すのが早いなと思いながら見ていました。

小牧 そやろ? 勝つときはだいたいギリギリまでジッとしているんやけど。

──ハナに行くことは、もともと考えていたんですか?

小牧 誰もこなかったら行こうと思っていたけど、それ以前にレッドアリオンが行くと思っていたから。だから、“あれ〜、こないなぁ”とは思ってたんやけどね。でも、レッドがきてからも巻き込まれない形で落ち着いて運べたからね。

──じゃあ、道中のリズムとしては、ピークトラムのリズムで?

小牧 そうだね。だから、あそこまで伸びなかった理由がちょっとわからんなぁ。さっきも言ったように、現状は2、3番手の外で乗ったほうがいいんかなぁと思うけど、内枠やったからどうしようもないしね。まぁ力を付けたのは確かやけど、いっぽうで、まだまだ過程段階なのは間違いない。やっと重賞で勝ち負けできるラインに立ったところやから。

──オープン入りしたのが今年の5月ですものね。重賞で強い馬と戦うことが地力強化につながることもありますし。

小牧 うん。これからどんどん力を付けてきそうな雰囲気はある。改めて今後に期待や。
小牧太

改めて今後に期待や

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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