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台風直撃・サマーセール

  • 2016年08月24日(水) 18時00分
サマーセール

北海道としては23年ぶりとなる台風が日高地方に上陸


甚大な被害をもたらした台風上陸

 去る8月17日(水)に、北海道としては23年ぶりとなる台風が日高地方に上陸(再上陸ではない)したばかりだというのに、それからわずか1週間のうちに次々に3つもの台風が南から襲来し、同じようなコースをたどって日高を直撃している。

 今回の9号は、23日(火)早朝、こともあろうに前日から始まったサマーセールが開催されている新ひだか町に上陸し、同町を始め、新冠町、日高町などに甚大な被害をもたらした。この稿を書いている24日朝の段階でも、依然として国道235号線が日高門別〜厚賀町までの区間が通行止めのままである。

 9号の影響は、22日(月)朝の首都圏から始まっていた。サマーセールに向かう購買者や関係者が羽田空港で足止めされ、北海道に来られなくなるケースが続出したのである。

 台風はその後、22日のうちに東日本を北上し、23日早朝に新ひだか町に再上陸したわけだが、この日の未明から早朝にかけて、日高中西部では短時間に猛烈な雨量を記録し、各地で国道や道が寸断される被害が発生した。

 海岸線に沿って走る国道が1本だけの日高は、ひとたび災害が発生すると、途端に脆弱さが露呈する。過去にも同様の被害に見舞われてきたことから、現在、日高門別までは日高自動車道が開通しており、近いうちに厚賀まで延伸することになっているが、国道と並行しているために、未だに鵡川インター〜日高富川インター間が通行止めになったままだ。

 また国道235号線は、一時3か所で土砂の堆積、道路の冠水などにより、通行止めの措置が取られていたが、現在は新ひだか町から東方面は開通している。しかし、苫小牧方面から新ひだか町に至るルートが通れないために、セール2日目には甚大な影響が出てしまった。

 まず、上場予定馬が会場入りできないケースが続出した。門別、平取方面から当日朝に出発した馬運車が、途中で足止めされ引き返す例がずいぶんあったという。馬と同様に、人の移動もできないため、前日の夕方に上場馬を北海道市場に運び、一度自宅に戻った人が、そのまま23日朝に会場入りできなくなったという事例もあった。

 上場させる側の影響はもちろん、購買関係者もまた国道の通行止めにより、新ひだか町以西に宿泊していた人々はもろに影響を受けた。地元新ひだか町だけでは宿泊施設が足りないことから、毎年サマーセールの期間は遠く苫小牧や札幌に宿を確保する人も少なくない。そういう方々がみんな会場入りできなくなったわけである。

 台風による馬の欠場も相次いだ。その数32頭に及んでおり、災害による不可抗力が原因であることから、主催者はこれら2日目に上場できなかった馬たちを今日(24日)と26日最終日に振り分ける措置が取られる。

 今回はちょうどセール会場のある新ひだか町静内が9号の上陸地点になってしまったわけで、23日早朝の同町における時間雨量は60ミリに達した。小規模な土砂災害、道路への冠水は数知れず発生しており、影響はまだまだ続きそうな気配だ。国道はおそらく今日にも開通するものと思われる。これ以上復旧に時間がかかるようだと、物流にも支障をきたすことになる。一刻も早い開通が待たれる。

サマーセール

サマーセールの比較展示風景

 ところでサマーセール2日間が終わった段階での数字は以下の通り。

 22日(月)牡148頭、牝115頭、計263頭上場、うち牡99頭、牝61頭、計160頭落札。売却率60.84%。売り上げ総額8億1421万2000円(税込)。平均価格は508万8825円。

 今年は全5日間の日程になったことで、昨年と比較すると各日とも上場頭数が少なく、初日は上場頭数で-45頭、売却頭数で-49頭であった。売り上げも前年より1億1167万2000円の減、また売却率も-7.02%だったが、逆に平均価格は65万8758円上昇した。

サマーセール

初日最高価格馬の落札場面

サマーセール

初日最高落札価格馬ローズアダージョの2015

 なお初日の最高価格馬は130番ローズアダージョの2015(牝鹿毛、父キングカメハメハ、母の父ディープインパクト)の2050万円(税抜き)。販売申込者は(有)井高牧場、落札者は国本哲秀氏。

 2日目の23日(火)は牡122頭、牝126頭、計248頭上場、牡88頭、牝79頭、計167頭が落札、総額8億7728万4000円の売り上げで、売却率は67.33%、平均価格は525万3197円。昨年同日との比較では上場頭数で-70頭、落札頭数で-51頭、総額で-1億2420万円、売却率で-1.22%だが、平均価格は逆に65万9234円の上昇となっている。

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2日目最高価格馬の落札場面

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2日目最高価格馬アグネスワルツ27

 2日目の最高価格馬は325番アグネスワルツ27(牡鹿毛、父ルーラーシップ、母の父ゼンノロブロイ)の2700万円(税抜き)。販売申込者は(有)高昭牧場、落札者は永井啓弐氏。

 残り3日間でどこまで数字を伸ばすことができるか。幸いにも今日24日(水)は朝から台風一過の青空が広がっており、より活発な取引が期待される。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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