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ビッグアーサーにつけいる隙はあるのか? 追い切りチェック!

  • 2016年09月07日(水) 18時00分


京成杯AHのダノンリバティは「力を発揮できる状態」

 先週末は2日に札幌競馬場で調教を見て、土日は札幌競馬場でのお仕事。札幌2歳Sに出走した馬たちの調教を見ることができたのは、なにより収穫でした。特にトラストが大物感十分であることを感じられたのは、これから、そして来年のクラシック路線を予想していく上でも重要な経験になると思います。栗東へ転厩するようですから、当時と入厩してきた時の雰囲気の比較ができることも楽しみのひとつ。栗東で調教を見ることも重要ですが、タイミングを見て、夏開催に遠征することも重要ですね。

 そして、今週から中山競馬場と阪神競馬場に舞台替わり。栗東にもたくさんの馬が帰ってきており、活気十分といった感じです。セントウルSは日刊スポーツ特集号にも記したように、好走の調教条件が決まっているため、印打ちはこれが基本になりそう。あとは該当している中での優劣さえ間違えなければ。問題は京成杯AH。トラックを評価するのか、坂路を評価するのかで印が変わってきそう。紫苑Sは見た目を重視して印を打とうと思います。

【紫苑S/エンジェルフェイス】

 オークスは10着でしたが、勝ち馬からは0.6秒差。私の見解として、決して凡走したと思ってはおらず、瞬発力ある馬に差し切られただけだと思っています。ですから今回のレースに向けては巻き返すという言葉を使うのは少し違うと思っており、前走や2走前と同じように追い切れば結果が出ると考えています。

 最終追い切りはCWで単走。前半をゆっくり、最後の直線はしっかりという、ここ2走と変わりない仕上げ。こんなレースができれば、中山芝2000mで差されることはまずないでしょう。問題は権利が欲しい馬が積極的なレースをして、オーバーペースになった時だけ。

エンジェルフェイス(9月7日撮影)

ここ2走と変わりない仕上げのエンジェルフェイス(9月7日撮影)



【京成杯AH/ダノンリバティ】

 最終追い切りでの4F時計の遅かった中京記念から、過去の好走時と同じように速い4F時計をマークした前走の最終追い切り。結果は2着ですから、確実に時計が好走凡走のバロメーターになるタイプだと判断してよいでしょう。ちなみに前走時の最終追い切りが坂路4F51.0〜3F37.2〜2F24.5〜1F12.4秒で併せたダノンスパークに先着していました。

 今回の最終追い切りも併せ馬。同じダノンスパークに先着して、時計は4F51.2〜3F37.2〜2F24.5〜1F12.4秒と数字もほぼ同じ。状態に関しては前走時同様、力を発揮できると考えてよいでしょう。あとは中山芝1600mに対する舞台適性だけ。前走のように先行してレースできれば、特に苦になるコースではないと考えていますが、どうでしょう。

ダノンリバティ(9月6日撮影)

状態に関しては前走時同様、力を発揮できるダノンリバティ(9月6日撮影)



【セントウルS/ビッグアーサー】

 トレセンニュースでもお伝えしましたが、1週前追い切りにジョッキーが跨って、坂路4F49.5秒は高松宮記念の1週前追い切りと全く同じ数字。馬体の緩さや太さに気になるところがあるとはいえ、ラップの踏み方もほぼ同じなので、これで仕上がりは万全だろうと判断していました。

 そして最終追い切り。右ラチ沿いを走らせる際には頭を上げる、いつもの仕草でしたが、少し手綱を緩められると一気に加速。4F51.9〜3F37.0〜2F23.5〜1F12.2秒はこれまた高松宮記念の最終追い切りによく似たラップの踏み方。状態面に関してスキはありません。しかし、58キロという斤量や阪神競馬場では2勝を挙げているものの、いずれもタイム差なしの勝利だった点から決して得意舞台というわけではありません。勝ち負けという意味ではそこだけ。

ビッグアーサー(9月7日撮影)

高松宮記念の最終追い切りによく似たラップのビッグアーサー(9月7日撮影)



【セントウルS/ウリウリ】

 昨年のセントウルSはCBC賞からというローテーションでしたが、今年はヴィクトリアMから。その分、レース間隔があいていますが、追い切り内容に関しては十分すぎるくらい。ポイントは最終追い切りも含めて、この中間の追い切りがすべて坂路だという点にあるような気がします。

 これまでは1200mから1600mまで距離の守備範囲が広い馬でしたが、今回のように坂路だけでの追い切りとなれば、より瞬発力、スピード能力を発揮しやすい動きができるはず。昨年のセントウルSでも十分にスプリンターとしての資質を見せていましたが、坂路オンリーの仕上げになった今なら、G1ホースとも互角に渡り合えるくらいの能力を発揮できるような気がします。

ウリウリ(9月6日撮影)

G1ホースとも互角に渡り合えるくらいの能力を発揮できるウリウリ(9月6日撮影)



【セントウルS/ダンスディレクター】

 シルクロードSを勝った後、高松宮記念に向かう予定は深管の治療のため白紙。その後は休養して秋に備えています。栗東へ戻ってきてからは順調に追い切りを重ねており、追い切り本数としては申し分ないでしょう。ただ、1週前追い切りの時計が遅く、個人的にはやはり休み明けなのかな、といった印象でした。

 そして最終追い切り。終い重点だったこともあり、全体時計は4F54.2秒と遅く、ラスト重点の1F12.1秒。2F時計も25.0秒とさほど速くないのは気になるところ。これまで通り、確実な末脚を見せてくれるとは思いますが、阪神C2着時の追い切り内容と比較しても物足りないところがあるだけに、高い評価はできません。

ダンスディレクター(9月6日撮影)

阪神C2着時の追い切り内容と比較しても物足りないところがあるダンスディレクター(9月6日撮影)



◆次走要注意

・9/3 札幌2歳S【トラスト】(5人/1着)

 ウマい馬券のコラムでも記しましたが、2日の調教を見た時に雰囲気を感じることができた馬。ただ気難しそうなタイプだけに、能力を全開できるかが鍵だと思っていましたが、逃げの手に出て驚き。それなら後続を押し切っても不思議ありません。
 あとは気難しそうなので、厩舎替わり、手替わりがどのような影響を及ぼすのか。個人的には一度見ておくことができてよかったと思います。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]追い切り本数多めなら勝ち負け

・9/4 3歳上500万下【サーサルヴァトーレ】(9人/15着)

 12番枠でしたが、枠なりに出て、ずっと外を回るレース。3コーナーではジョッキーが後方を確認して手応えなし。そりゃ負けるでしょっていうレースぶりでしたが、それ以上に札幌競馬場が不向きなのかも知れません。
 7走前のように栗東に戻って坂路追い切りを課せば、必ず変わってくると思います。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切り栗東坂路で4F54秒以下なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・紫苑S【ヴィブロス】
 紫苑Sはエンジェルフェイスを取り上げましたが、最終追い切りの動きを見せられて、悩みました。時計は遅くなりましたが、とにかくまっすぐ駆け上がってくる姿が印象的。そして、ラップの踏み方はラスト1Fが最速。ウマい馬券ではどちらを本命にするか相当悩むことになりそうです。

ヴィブロス(9月6日撮影)

まっすぐ駆け上がってくる姿が印象的なヴィブロス(9月6日撮影)



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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