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【中央移籍から3年半】岡田祥嗣騎手(2)『今年45歳、JRAに移籍してまだ何も残せていない』

  • 2016年09月12日(月) 12時01分
おじゃ馬します!

▲JRAへ移籍して3年半。現状をどう捉えているのか、岡田騎手が本音を語ります


41歳でJRA入りし、今年の10月16日に45歳を迎える岡田騎手。移籍から3年半が経ち、現状をどう捉えているのか、課題や難しさと考えていることは何なのか。知られざる本音を語るとともに、後に福山のトップジョッキーとなる岡田騎手の可愛い幼少時代のエピソードを明かしてくれました。(取材:東奈緒美)


(前回のつづき)

地方時代とは集中力の高め方が違う


 岡田騎手ご自身、今年で45歳。やっぱりジョッキーさんは若く見えるなって、いつも思うんですけど、体力維持のためにされていることってありますか?

岡田 今はそんなにしてないですね。若い時はやっていましたけど、鍛えて実になるような歳でもないので。ストレッチとかマッサージだとか、どっちかと言うとケアに力を入れています。

 メンタル的にはいかがですか? 環境が変わって、地方とは違う世界で頑張っていらっしゃるわけですが。

岡田 レースに対しての気持ちの持っていき方が、地方の時とは全く違いますね。地方の頃は騎乗数が多かったので、その日の自分の調子ってレースでわかるんです。それに合わせて高めていく感じだったんですけど、今は騎乗数が少ないので、まさに一発勝負。その日その一鞍で結果を出さないといけないという、その持っていき方が難しいですね。今でも難しいです。

 どういうふうに持っていくんですか?

岡田 半ば無理やりです。本来僕は、失敗から入るタイプで。最初から正解を求めないで、まずは自分なりに考えて準備をしていって、それでダメなら変えていくんですが、今はそうも言っていられませんからね。ただその分、一鞍にかける思いというのはより強くなりましたし、騎乗数を増やすことが一番の課題だと思っています。

 JRAに移籍されて3年半が経ちましたが、ご自身としての評価はいかがですか?

岡田 評価ですか? まだ何も残せていないと思いますからね。こうやって取材をしてもらう時に、自分の話になると未だに「JRAの試験に合格した」という話になります。自分の中では終わっているところなんですけど、イメージとしてそこへ戻ってしまうというのは、何の結果も出ていないからだと思っています。僕の中では何も達成できていないですし、僕自身も周りからも評価はまだないと思います。

 そう捉えられているんですね。じゃあ、これからもずっとチャレンジを続けて。

岡田 はい。本当にそれしかないですよね。

おじゃ馬します!

▲「まだ何も残せていない。これからもずっとチャレンジを続ける」と岡田騎手


自転車に乗ってジョッキーの真似事を


 ちょっとお話は遡りまして、小さい頃のことをお聞きしたいんですが、お父様が福山競馬の厩務員さんだったという。

岡田 そうです。住まいは競馬場ではなかったんですが、小学1年ぐらいには父親の仕事場に行って、馬に乗せてもらっていました。最初は厩舎周りを曳いてもらうくらいでしたけど、だんだんとひとりで乗れるようになって、それがとにかく楽しくて。休みはほとんど友達と遊んでいないですね。馬に乗りに行っている方が楽しかった。

 その頃から「ジョッキーになりたいな」と?

岡田 憧れてましたよね。すぐ近くが競馬場なので、競馬の日にジョッキーを見ては「格好いいなぁ」って。僕は覚えていなかったんですけど、小学校の卒業文集にはそう書いていたみたいですね。ステッキを持ちながら自転車に乗って、誰も見ていないのを確認して、ジョッキーの真似して自転車を叩いたりして(笑)。

 かわいい! ちなみに当時の福山は、アラブのレースがメインですよね?

おじゃ馬します!

▲ジョッキーの真似して自転車を叩いていたエピソードに、思わず「かわいい!」


岡田 そうですね。僕がデビューした1991年当時も、アラブだけでしたから。サラブレッドが入ってきたのは2005年です。

 アラブを実際に見たことがないんですが、サラブレッドとの違いってどういうところなんですか?

岡田 ん〜、正直そこまでの違いというのは…。失礼な言い方かもしれないですが、サラ系のレースを導入したばかりの福山に入ってくるサラブレッドですから、質が高いとは決して言えなかったですしね。

 いくらかスピードがあるのかもしれないですが、福山の馬場形態が小さいので、サラブレッドの良さを消すようなところもあったと思います。まあ、アラブの方が丈夫かな? というくらいですかね。

 そうなんですね。小さい時から本物の競走馬に跨って、実践で馬乗りを覚えていったんですね。

岡田 だからちゃんとした乗馬って、ほとんどやってないんです。それこそ、騎手試験の科目に乗馬があったので、試験前の1か月間ぐらいしか。

 高校を卒業されてからジョッキーになられましたが、それも珍しいパターンですよね。

岡田 中学を卒業して地方のジョッキーになろうと思ったんですけど、年が離れた姉が2人いまして、姉たちと母親に「絶対高校だけは出ておけ」とビシッと言われまして。

 女性3人だと強い(笑)。

岡田 そうなんですよ(苦笑)。小学1年からサッカーもやっていたので、僕自身も「高校でサッカーをやるのも悪くないかな」という気持ちがありました。それもあって、中学に行き始めてからは厩舎に行くのも少なくなって。サッカーの方が楽しくなった時期でもあったんですよね。

 そこでキャプテンもされたわけですもんね。もうサッカーは燃え尽きましたか?

岡田 高校3年で大会がすべて終わって、進路をどうするかとなった時に、大学進学も考えたんです。体育大学に行って教員免許を取って、小さい子にサッカーを教えたいなって。それかジョッキーかの二択だったんですけど、やっぱりジョッキーが諦められなかったという感じですね。

(次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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