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JBCスプリントへ!地方のマイル王ソルテ、ここから始動

  • 2016年09月14日(水) 18時01分


スタンド裏にはたくさんの売店 B級グルメ天国


 9月15日(木)、浦和競馬場で行われる『第27回テレ玉杯オーバルスプリント』。かつては『テレビ埼玉杯』として親しまれてきたレースですが、距離や格付けなど施行条件が変化し、現在はJpnIIIの1400m戦として行われています。

 舞台となる浦和競馬場は埼玉県南部のさいたま市にあり、JR南浦和駅から無料バスで約5分。周囲は住宅地に囲まれています。競馬場の中には、なんとコースを抜ける一般道が通っていて、馬たちはこの道を横切って装鞍所からパドックへ入り、レースを終えるとこの道を歩いて戻ってきます(もちろん開催日には競馬場内の部分は通行止め)。当たり前のように馬が近くに存在する空間で、パドックも手を伸ばせば触れることができそうに感じるほどです。

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▲南関東競馬4場の中でも“昔ながら”の雰囲気漂う浦和競馬場


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▲装鞍所から一般道を通ってパドックへ


 正門からスタンドまでの通路は屋根で覆われ、パドックの客席部分にも屋根があるので、雨の日も傘をささずに過ごすことができる人に優しい設計。コースもスタンドもコンパクトサイズなので常に人口密度が高く、場内は縁日のようなムード。スタンド裏にはたくさんの売店が並び、そこは揚げ物天国! コロッケ、メンチカツ、アジフライ、ハムカツ、串カツ、マグロカツなど、よりどりみどり。天ぷら付きのおにぎりや、キュウリの塩漬けを1本そのまま売っていたり、B級グルメ満載で、大きなレースのある日はまるで酉の市のような賑わいです。

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▲屋根のあるパドック(3月24日に藤田菜七子騎手が騎乗した時)


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▲縁日のようなムードが漂う、スタンド裏の売店


 南関東競馬4場の中でも浦和競馬場は一番ローカル色が強く、良い意味で“昔ながら”の雰囲気が残っています。初めて訪れた人も、子供の頃から知っていたような気持になる居心地のいい場所。目の前で繰り広げられるレースの迫力。騎手の声や鞭の音、馬たちが駆け抜ける地響き。「とにかく馬との距離が近い!」そんな地方競馬の魅力を最初に私に教えてくれた競馬場です。「まだ行ったことがない」という方はぜひ一度足を運んでみてください。浦和競馬場の魅力の虜になるはずです。

浦和コースは好相性、大目標に向けて負けられない!


 それでは『テレ玉杯オーバルスプリント』の有力馬たちをご紹介しましょう。今年のJBCスプリントが1200mではなく川崎競馬場の1400mで行われるということもあって、例年以上に見逃せない一戦となりました。

 マイル重賞6勝を誇る“地方競馬のマイル王”ソルテ。JpnI制覇へ向けて、秋はここから始動します! 7連勝で臨んだかしわ記念でJRAのトップホースを相手に2着と健闘し、続く前走・さきたま杯でついにダートグレード競走初制覇を果たしました。コーリンベリー、ベストウォーリアの徹底マークを振り切っての力強い逃げ切り。他にもドリームバレンチノ、ホワイトフーガも出走しており、JpnI馬4頭を破っての勝利には高い価値があります。

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▲地方競馬のマイル王ソルテがJpnI制覇へ向けて始動(撮影:武田明彦)


 1400mの重賞はフジノウェーブ記念に続いて2勝目。これで1400mは[2-1-0-1]。さらに浦和は[3-1-0-0]と大変相性のいいコース。今回1頭だけ57kgで、他の有力馬は54〜55kgという負担重量差が気になりますが、ソルテ自身は58kgでゴールドC(浦和・1500m)とフジノウェーブ記念(大井・1400m)を制していますし、快勝したさきたま杯と同じ舞台。大目標に向けて負けられない一戦です。

 対するはやはりJRA勢。勢いがあるのはグレイスフルリープ。前走、佐賀のサマーチャンピオンは初めての地方競馬場への出走で、ダートグレード競走初制覇。小回りコースを器用にこなし、危なげなく逃げ切りました。通算30戦8勝のうち1400m戦は19戦6勝[6-6-1-6]と得意とする距離。前走から2kg軽い55kgも有利で、ソルテとの先行争いからも目が離せません。

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▲グレイスフルリープ、前走サマーチャンピオンでダートグレード競走初制覇(提供:佐賀県競馬組合)


 昨年の勝ち馬、レーザーバレット。昨年のレースでは、逃げ・先行馬が有利とされているコースで中団後方からの競馬。3、4コーナーを回って徐々に進出し、直線で外から鮮やかに差し切りました。その後JBCスプリントは4着でしたが、続く兵庫ゴールドトロフィーも制し、昨年はダートグレード競走2勝を挙げています。今年に入ってからは勝ち星から遠ざかっていますが、戸崎圭太騎手とのコンビで1年ぶりの勝利があるかもしれません。尚、もし勝てば戸崎圭太騎手はテレ玉杯オーバルスプリント3連覇となります(2014年キョウエイアシュラ、2015年レーザーバレット)。

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▲昨年の勝ち馬レーザーバレット、鞍上の戸崎圭太騎手は同レース3連覇がかかる(撮影:高橋正和)


 ニシケンモノノフは前走・プロキオンSでノボバカラの2着。直線外から鋭い脚で1/2馬身差まで追い詰めました。ホッカイドウ競馬デビューで、2歳でJRAに移籍後、兵庫ジュニアグランプリを制した重賞ウイナー。昨年10月のグリーンチャンネルC(東京・OP)ではグレイスフルリープの2着。さらに今年に入って黒船賞の2着を含む4戦2勝2着2回と連対を外さない活躍を見せています。

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▲今年に入って堅実な成績が魅力のニシケンモノノフ(C)netkeiba.com


 地方の競馬場は初参戦の4歳馬スーサンジョイ。通算13戦6勝[6-4-1-2](2着のうち1回は芝のレース)という好成績のニューフェイス。4連勝で挑んだ前走、GI・フェブラリーSでは12着と敗れましたが、7か月の休養・充電を経ての成長に注目です。

 そのほか地方勢では8月のサンタアニタトロフィーを制したリアライズリンクス。2014年の浦和・ゴールドCではソルテに勝っています。鞍上は先週7日に還暦・60歳の誕生日を迎えたばかりの的場文男騎手。当日、園田で行われた『ゴールデンジョッキーカップ』でも総合2位に健闘するなど大活躍。大井の帝王の手綱さばきも見逃せません。

 ソルテのダートグレード競走連勝なるか?! 軒並み前走から負担重量が軽くなるJRA勢がソルテの行く手を阻むのか?! JBCスプリントに向けた秋の戦いが始まります。

※次回の更新は9月18日(日)の18時。大井競馬場で行われる「レディスプレリュード(JpnII)」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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