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骨折明け、ジュエラーの追い切りは!? 調教捜査官がチェック!

  • 2016年09月14日(水) 18時00分


セントライト記念のプロフェットは一変までは…という印象

 先週のウマい馬券、京成杯AHでは◎リーサルウェポンでした。決して無理筋ではなかったと思いますし、スタート直後のロードクエスト、ダノンプラチナの並びにリーサルウェポンがいた時点で前の2頭が差し届けば、という気持ちでした。ところが3コーナー手前で最内に進路を選び、4コーナーでは内。ここで手綱を引っ張って、最後の直線も立て直して…。これで差せるほど瞬発力、ありませんから。

 これについて「聞いてくださいよ〜」と荒川義之調教師に話すと「あのままいったら、コーナーでは外に張られるし、どこかで内に入れたかったみたい。そんな時にちょうどうまいこと開くねんなあ、内が(笑)。どっかで外に出したかったみたいやけど、無理やったもんね。まあ、わからんでもないけど」と。まあ、しゃあないやんと言われて、ある意味納得しました。僕らの仕事って、当事者にいろんな話を聞けたりするので、まだうっぷんを晴らすことができます。

 予想を参考にしてくださった方にはそんなことができないので、うっぷんを晴らすとすれば、私の予想が当たることに尽きますよね。今週はセントライト記念、ローズSですが、人気の有無ではなく、主観的、客観的に考えて、的中重視の予想を心掛けたいと思います。

【セントライト記念/プロフェット】

 netkeiba.comの単勝予想オッズを見ると、栗東所属馬での最上位人気。京成杯の勝ち馬ではありますが、皐月賞、日本ダービーと二桁着順だけに、立て直しているのか。そして、能力が通用するのかといったあたりが馬券対象になるか否かの判断材料になるでしょう。

 京成杯の最終追い切り場所が坂路だったのに対して、今回はCW。CW追い切りは日本ダービーに続いて、ということになりますが、そのときはサトノダイヤモンドとの併せ馬でした。京成杯も最終追い切りは併せ馬。特に先着して結果が出たことを考えると、今回の単走は仕上がりがよいからこそという判断もできますが、1週前追い切りがサトノダイヤモンドとの併せ馬でさほど目立っていなかっただけに、近2走の着順を一変させるほど魅力ある調教内容とは思えません。

【ローズS/シンハライト】

 石坂正厩舎の牝馬は休み明けでも週1本の追い切りをこなしていくというのが定番。よって、8月10日にノーザンFしがらきから帰厩して、今週まで週1本なら合計5本というのは順調な証拠です。ちなみにジェンティルドンナはもう少し早い時期に栗東へ帰厩していたので、合計6本での出走でした。

 しかし、本数にこだわる必要がないと思える小ぶりながら張りのある馬体。それが調教の動きにも出ているからこそ、最終追い切りでラスト1Fが12.2秒の伸びを見せたように思います。ちなみに中6週だったチューリップ賞が3本と追い切り本数少ない状態でジュエラーとの接戦を制しています。この時の最終追い切りは坂路でラスト1F12.4秒。石坂厩舎の場合は本数よりも最終追い切り(坂路)のラスト1Fが12.5秒以下なら、まず勝ち負けなので、特に牝馬ならこれで十分という仕上がりです。

シンハライト(9月14日撮影)

本数にこだわる必要がないと思える小ぶりながら張りのある馬体のシンハライト(9月14日撮影)



【ローズS/ジュエラー】

 デビューから4戦すべてで、レース上がりが1位。とにかく末脚の爆発力は半端ではありません。だからこそ、桜花賞後に骨折が判明してしまったような気もしますが、今回はやっぱり骨折明けがポイントになりそうです。

 藤岡健一厩舎らしく、中間は坂路、そして最終追い切りはDP。これはジュエラー自身も経験してきたパターン。これまでと調教パターンが変わらないという意味では高い評価をすべきだと思います。ただ、乗り手がステッキを抜いてからの反応の素早さは桜花賞時と比べると物足りません。これは当たり前ではあるのですが、シンハライトの状態が良すぎるだけに、今回はここに何馬身かの差が出てきても不思議ないように思えます。

ジュエラー(9月14日撮影)

ステッキを抜いてからの反応の素早さは桜花賞時と比べると物足りないジュエラー(9月14日撮影)



【ローズS/レッドアヴァンセ】

 エルフィンSで鮮やかに勝った後、チューリップ賞と桜花賞では見せ場のないレース。距離が長いと思われたオークスでは決して悪くないレース内容で7着。戦ってきた路線を考えると、トップクラスとは状況ひとつで差のない位置にいる馬であることは明らかでしょう。問題は春に苦労した馬体重でした。

 それが大きく馬体重が増えて帰厩したことによって、追い切りを手控える必要がなくなりました。馬自身も体調が良いのでしょう、追い切りの動きも実に軽快。最終追い切りで併せた相手ファンタジステラは未勝利ですが、それを全く問題にしない動きで、ラスト1F12.3秒の伸び。1週前追い切りではノガロに先着していますし、今の状態でG1ホースにどこまで迫ることができるか。注目の一戦になるでしょう。

レッドアヴァンセ(9月14日撮影)

馬自身も体調が良く、追い切りの動きも実に軽快なレッドアヴァンセ(9月14日撮影)



【ローズS/アットザシーサイド】

 早ければ8月上旬、遅くとも8月下旬には帰厩している前走オークス組。そんな中でもグリーンウッドからの帰厩が9月2日。翌々日から時計を出しているので、決して緩んだ状態で帰厩したわけではないでしょうが、オークスの疲れを癒して、栗東での追い切り本数が最終追い切りを含めて4本では当然物足りなさを感じます。

 確かにフィリーズレビューでも追い切り本数は少ない状態でした。それで2着だから、今回の休み明けも大丈夫というのは早計。ソルヴェイグはスプリント路線ですし、メンバーが弱かったと判断してもよいはずです。もともと馬体重の心配があるような馬ですから、太目で出走することはないでしょうが、その中身に関しては疑問です。

◆次走要注意

・9/10 紫苑S【ヴィブロス】(3人/2着)

 勝ち馬の強さばかりが取り上げられますが、3コーナーでとんでもない不利を受けながら、勝ち馬に0.4秒差まで迫ったこの馬の強さと精神力は格別です。
 まだまだ強くなれる素質があると思えるだけに、メンバーが強くなる次走では勝ち馬よりこちらが先着すると思います。

[メモ登録用コメント] [秋華賞]坂路のダブル最速に該当すれば勝ち負け

・9/11 2歳新馬【スワーヴリチャード】(1人/2着)

 パドックで立ち上がろうとしたり、気の悪さを見せかけていました。スタートを決めることもできませんでしたが、それでも最後の直線は素晴らしいフットワーク。
 正直、負けたことが信じられないといった感じの結果。これが無駄な一戦にならなければ、普通にクラシック路線に進めるはずです。

[メモ登録用コメント] [芝]追い切り本数が標準以上なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳上500万下【シセイカスガ】
 1週前追い切り、最終追い切りともに荻野極騎手が跨って、素軽い動き。スタートさえ決まれば、中団からレースできるはずですし、そうなればこれまでと違ったレース運びができるでしょう。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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