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恐るべき蛯名騎手のゴーウェスト!

  • 2016年09月15日(木) 12時00分


秋競馬が始まって、G1へのステップレース、トライアルレースが一気にニギニギしくなった。

先週は、中山で紫苑S、京成杯が行われて、蛯名騎手騎乗のフロンテアクイーン、ダノンプラチナがそれぞれ3着した。

自分は紫苑Sのフロンテアクイーンを馬券視点で、ダノンプラチナを馬券外視点で注目した。フロンテアクイーンは3着も十分ありえると見ていたので、儲かりはしなかったけれど、痛い目には合わなかった。ダノンプラチナは4着もあると思い込んでいたので、むしろ3着になって、痛い目にあった。自分が期待したダイワリベラルとクラリティスカイが揃って4着だったからだ。蛯名騎手の馬で馬券を取り、蛯名騎手の馬で馬券を取り損ねた。そんな先週だった。

そして、今週は蛯名騎手騎乗のディーマジェスティがセントライト記念に出走する。はたしてディーマジェスティはどんな走りを見せるのか?

なんならここも3着でお願いします!

とまじめに思ったりしている。それはディーマジェスティをナイガシロにしたいからではない。むしろ応援したいからだ。もちろん応援とは菊花賞だ。

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蛯名騎手の勝ち鬨は西にあり!
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以下は蛯名騎手の京都・阪神のG1成績と東京・中山のG1成績だ。
蛯名騎手が西のG1に強いことがよくわかる。

蛯名・G1成績/京都・阪神・過去5年(16年9月〜11年9月)

6-2-5-14

勝率22.2% 連対率29.6% 複勝率48.1%
単勝回収率268% 複勝回収率145%

蛯名・G1成績/東京・中山・過去5年

2-5-3-37

勝率4.3% 連対率14.9% 複勝率21.3%
単勝回収率76% 複勝回収率100%

圧倒的に西の勝ち!
騎乗回数が東に比べてそもそも少ないけれど、勝ち星でも西!そこが凄い!
うむ、蛯名騎手の買い時は西だ!

前々から蛯名騎手が西のG1へゴーウェストしたときの成績には注目していた。このコラムでも菊花賞か天皇賞春のどちらかで触れたことがある。
関東所属のベテラン名手が西へ行くときは、勝負になる馬で行くのは当たり前だろうし、主戦場の関東ではお付き合いで騎乗する機会、騎乗馬がいないからノリで騎乗する機会も多いだろうから東西で成績に差があるとは想定していたけれど、改めて数値で見た西の成績は圧巻だ。

蛯名騎手が西のG1に騎乗するときはいつも以上に勝負気配が漂う。

馬を選べる立場にあるはずの同じ関東のベテラン、横山の典さんや柴田の善さんのG1ゴーウェストの成績と比べてみると、蛯名騎手の突出ぶりがよくわかる。

典さん・G1・WEST
2-1-1-17 
勝率9.5% 連対率14.3% 複勝率19.0%
単勝回収率34% 複勝回収率73%

善さん・G1・WEST
1-0-0-9
勝率10.0% 連対率10.0% 複勝率10.0%
単勝回収率230% 複勝回収率38%

蛯名騎手の濃厚さがよ〜くわかる。ちなみに関東の一番星・戸崎はこんな感じだ。

戸崎(13年以後)・G1・WEST
1-1-0-16
勝率5.6% 連対率11.1% 複勝率11.1%
単勝回収率81% 複勝回収率28%

騎乗機会は今後どんどん増えそうだからあげてみた。ただまだまだ本当の意味で馬を吟味する立場ではないだろうから、勝ち負けは増えても馬券的にオイシイ数値になるかはわからない。

過去5年としたのは、蛯名騎手がベテランだからだ。そもそも騎手の傾向は、年齢やエージェントや厩舎や馬主との関係で変わりやすい。若手なんて過去1年でも変わってくるかもしれない。だから簡単にはすくい取れないけれど、蛯名騎手ほどのベテランになれば、そうそう傾向は変わらないはず。ゆえに5年にしてみた。

それでも過去5年では満足できないという過去10年派のために過去10年的な数値もあげておく。

蛯名・その向こうの5年(11年9月〜06年9月)のG1成績/京都・阪神

3-2-1-15

勝率14.3% 連対率23.8% 複勝率28.6%
単勝回収率46% 複勝回収率197%

勝率も連対率も複勝率も単勝回収率も直近の5年のほうが伸びているのがわかる。ただその向こうの5年の成績もけっして悪くはない。つまり、蛯名騎手は以前からゴー・ウェストするときは馬を吟味していたとは読めるし、よりベテランになるにつれ、吟味の精度を上げてきているとも読める。

改めて、西のG1成績
6-2-5-14
勝率22.2% 連対率29.6% 複勝率48.1%
単勝回収率268% 複勝回収率145%

蛯名騎手が西のG1へ騎乗しに行ったら、しばらくは何も考えずに買えばいい。
(しばらくとしたのは、ベテランだからだ。そこがはかなくていい)

だが、しかし。
しかし、だが。

できればもう少しだけ精度をあげてみたくもなる。
こういうデータはオプションをつけすぎると、ダイナミズムに欠けてしまうこともある。マリアライトなんてあまりに考えすぎると拾えない可能性もある。だから、このまま「黙って蛯名正義」が一番いいとは思う。

でも、もうちょっと精度をあげられたら、当ててやった感は増すはず。だからほどほどに精度上げにトライしてみる。

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ほどほどを考慮すると菊花賞に行き着く!
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西のG1に強いということは、勝負になるであろう馬でゴー・ウェストしてるからではないか?当たり前に想定してみた。それはつまり馬の力を知った上での西下ということだ。だから連続騎乗と乗り替り騎乗で差があるのではないか?そう思い見比べてみた。

連続騎乗
6-1-4-11
勝率27.2% 連対率31.8% 複勝率50%

乗り替り騎乗
0-1-1-3
勝率0% 連対率16.6% 複勝率33.3%

うむ、連続騎乗の方が成績はほどほどに上だ!
それはつまり「前走」も蛯名騎手ということだ。そこでなんらかの手応えを掴んで、ゴー・ウエストして、結果を出す。

マリアライト(エリザベス&宝塚)も、ダノンプラチナ(朝日杯FS)も、ショウナンアデラ(阪神JF)も、フェノーメノ(天皇賞春)もみんなそうだった。

蛯名騎手が連続騎乗で臨む西のG1にはスーパーな敬意を持って接するべし。そういうことだ。

その蛯名騎手がセントライト記念でディーマジェスティに騎乗する。
おそらく次走は菊花賞。
この馬に蛯名騎手が連続騎乗しないわけがない。
だからこうなる。

菊花賞・注目馬 ディーマジェスティ

やったー!早くも菊花賞の結論が出た!

勝ち鬨を上げ〜い!ひゃっほー!

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セントライト記念のディーマジェスティ
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問題は、今週のセントライト記念だ。

1番人気必至のディーマジェスティから買えばいいのか?買うしかないのか?
菊花賞でのディーマジェスティには最大の敬意を払いたいけれど、セントライトではできれば敬意を箱にしまっておきたい。

はたして、それは可能なのか?

思えば、アパパネはチューリップ賞を2着して、桜花賞を1着した。
ローズSを4着して、秋華賞を1着した。
マイラーズCを4着して、ヴィクトリアマイルを1着した。

蛯名騎手の前哨戦には敗戦も多い。前哨戦はあくまでも前哨戦として割り切っているフシも見えなくはない。賞金800万円のG2ニエル賞は、賞金3億5000万円の凱旋門賞を勝つための調整にすぎないと考えるヨーロッパの競馬のようだ。

ショウナンアデラとダノンプラチナは前走を勝って、阪神JF、朝日杯FSを1着したけれど、これは2歳戦だから、連勝しながら進むのは当然だし、連勝してないとレースそのものにも出走しにくくなる。でも、G1出走のメドのたった馬の場合は本番を見据えての仕上げもできる。

マンハッタンカフェは日経賞を6着して、天皇賞春を1着した。
フェノーメノは、4歳時は日経賞を1着して、天皇賞春も1着したけれど、5歳時は日経賞を5着して、天皇賞春を1着した。

マリアライトはオールカマーを5着して、エリ女で1着した。目黒記念を2着して、宝塚を1着した。

ディーマジェスティは賞金的な心配はない。菊花賞を見据えての仕上げで臨める状況ではある。

なにかを試す走りをさせて、2着か3着、いや4着!ないかな?
距離2200の中山のセントライトで、距離3000の京都の菊花賞をイメージした走りをして、2着か3着、いやいや4着!ないかな?

蛯名騎手はセントライトを4勝していて、その内2勝は1人気で1着だ。1人気で勝つイメージもできているはず。でも1人気で勝ったイスラボニータとフェノーメノは菊花賞には進まなかった。

イスラボニータ セントライト1人気1着→天皇賞秋1人気3着(ルメール)
フェノーメノ  セントライト1人気1着→天皇賞秋1人気2着(蛯名)

この2頭の次走は2000の天皇賞秋だった。だから菊花賞仕様の競馬をしなかったかもしれない。

位置は、
イスラボニータ 6 6 6 6
フェノーメノ  5 4 3 1
だった。

去年の菊花賞で6人気4着だったタンタアレグリアはセントライトでは5人気6着だった。そういう馬をチェックするべきか?以下は過去5年の蛯名騎手騎乗でセントライトから菊花賞へ進んだ馬の位置と成績だ。

タンタアレグリア 7 8 8 5 6着→菊花賞4着
ヒラボクディープ 5 5 3 2 13着→菊花賞17着
トーセンラー   7 9 8 7 2着→菊花賞3着

道中7、8番手。イスラボニータやフェノーメノよりちょっと後ろだ。
これが菊花賞へ向けての闘い方か?
で、6着だったタンタアレグリアは菊花賞4着、2着だったトーセンラーは菊花賞3着。

そういえば、道中7、8番手は菊花賞のVロードでもある。
なるほど!
そういうことか!!(←あくまでもわかったつもりです)
だとすると、ディーマジェスティもセントライトでは道中7、8番手を追走させそうだ。そして、その試走に応えられれば、ここでも1着、(なんらかの理由があって)応えられなければ取りこぼし。

今年のセントライトは最大で14頭立て。出遅れなければポジションは取れそうな気がする……。
う〜〜〜〜〜〜む。
なんか1着しちゃいそうだな………。
スーパーリスペクトはまだ箱にしまっておきたいのに。

箱にしまっておきたい小根多をもう1つ。

関東馬の1人気は頼もしい。3-1-0-1。
関西馬の1人気は心配。  0-0-1-4。
※過去10年

二ノ宮厩舎の(セントライト記念)2人気は頼もしい。1-4-0-0。

ディーマジェスティは関東馬で、二ノ宮厩舎。
関東馬の1人気を優先するなら、1着。
二ノ宮厩舎は2人気を優先するなら………。おっと、この場合はどうすればいいのだろう?やっぱりこの箱は開けるべきではなかった。

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セントライト記念・注目馬
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蛯名騎手が菊花賞を勝つための騎乗をして、2着か3着。そんな願望。

カギはペース。スローペースになったら、前を捕まえられずに取りこぼすことは考えられなくもない。菊花賞を勝つことにこだわるならば、たとえスローとわかっていても、動くに動けないだろうからだ。

実際、スローよりミドルの方が好きそうだ。
ミドルだった皐月賞ではマカヒキに勝ち、スローだったダービーではマカヒキに負けた。スローだった未勝利では、マウントロブソンにクビ差勝ちだった。

マウントロブソン 接戦を演じたことがあるから。川田が早めに仕掛けないかな。
メートルダール ノーザンF系の馬だし、権利取りが使命(900万)とみた。ならば、ディーマジェスティより後ろで競馬をするはずがない。そのための北村宏とみた。

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ローズS・注目馬
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カイザーバル 社台F系の賞金が足りない馬に四位騎手が乗ってきたら、黙って買うことにしている。自分の中では四位騎手はいい線狙う競馬の名手だ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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