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価格と賞金の相関性(須田鷹雄)

  • 2016年09月20日(火) 18時00分


◆相関係数が高い3〜5歳組

 だいぶ昔にこのコラムで、セール取引馬の価格と本賞金について相関係数を調べたことがある。相関係数とはなにかについてはググっていただきたいが、要するにAという指標とBという指標の間にどの程度の関連性があるかを示すものだ。正比例だと1となり、全く関係がないと0になる。逆相関だとマイナスになる。

 確か昔しらべたときは0にかなり近い数値になり、ある馬主さんから「そう考えると予算の無い身でも戦える気になるわ〜」という感想をいただいた。最近はやけにセリ馬が高くなっているので、相関はさらに薄くなっているのでは……と思ったのだが、調べてみるとそうでもなかった。

※セール価格は、2回取引されている場合は後のものを使用。賞金は本賞金+付加賞で、6着以下の奨励金や各手当は含まない。地方で獲得した賞金も含まない。

 ざっくりしたところで、3歳馬の現時点の数値が0.40、4歳馬と5歳馬が0.30といったところだ。これは以前と比較すると「本当か!?」と思うレベルの高さなので、さらに引退馬の比率が高くなる世代へと調べ進めたところ、6歳馬が0.17、7歳馬は0.24、8歳馬は0.22といった感じだった。

 3〜5歳世代もいずれもう少し低いところに収斂していくのかもしれないが、仮に0.20くらいだったとしても以前調べたときよりもだいぶ高い。

 ただ、現時点で相関係数が高い3〜5歳組でも、セレクトセール出身馬は0.30を少し割るくらいで、他のセール組も含めた全体(0.33くらい)を下回っている。これは高馬が高くなりすぎるためではないかと思われる。逆に、全体の相関係数が高まっている原因としては、「安くて走らない馬」が増えたのではないかとも想像できる。試すだけ試して早めに抹消、というような馬が増えて、そこが「価格なり」の度合いを強めているという推測だ。

 今回は手早くざざっと集計したので、今後またじっくり調べてみようと思う。ただ、仮に0.2〜0.4くらいの数値になったとしても統計の世界では「弱い相関がある」と見なされる程度なので、セリの世界が「金持ちが勝つ」になるわけではない。少なくともそう考えていかないと、資金力勝負ができないプレイヤーは意欲を持ち続けられないだろう。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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