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カレンミロティックも出走するメルボルンCのハンデ決まる

  • 2016年09月21日(水) 12時00分


トップハンデはオーダーオヴセントジョージとプロテクショニスト

 11月1日(火曜日)にオーストラリアのフレミントンで行われる、オセアニア最大のレース・G1メルボルンC(芝3200m)のハンデが、13日に主催者のレーシング・ヴィクトリアから発表され、日本から参戦予定のカレンミロティック(セン8、父ハーツクライ)のハンデは55.5キロと発表された。

 8月30日(火曜日)に締め切られた第一次登録で、今年のメルボルンCに登録した馬は124頭と、前年の140頭よりは16頭減少した。ただし、国外からの登録馬は昨年と全く同数の31頭で、今年のメルボルンCも国際色豊かなものとなることが確実となっている。

 58キロのトップハンデを課せられた馬は2頭で、いずれもヨーロッパからエントリーした馬たちだった。

 1頭は、昨年の欧州ステイヤーチャンピオンで、ロイヤルアスコットを舞台とした今年のG1ゴールドC(芝20F)でも勝利を収めたオーダーオヴセントジョージ(牡4、父ガリレオ)。そしてもう1頭は2014年のメルボルンC勝ち馬で、8月14日のG1ベルリン大賞(芝2400m)を含めて今季3戦3勝のプロテクショニスト(牡6、父モンスン)である。

 ただし、オーダーオヴセントジョージ陣営は現段階で出否を明らかにしておらず、また、プロテクショニストは前走後に故障を発症したとの情報が流れていることから、トップハンデの両馬はいずれも、地元のブックメーカーが売る前売りリストには顔を出していない。

 ハンデ3位はトップから1.5キロ差の56.5キロに、プリファーメント(牡5、父ザビール)とプリンスオヴペンザンス(セン7、父ペンタイア)という、地元勢2頭が横並びとなっている。

 プリファーメントは昨シーズン、G1ターンブルS(芝2000m)、G1オーストラリアンC(芝2000m)、G1ザBMW(芝2400m)と、3つのG1を制した馬だ。だが、53.5キロで出走した昨年のメルボルンCは20着に大敗しており、距離の面でもハンデの面でもここは勝機が薄いと見なされたか、この馬も前売り上位人気には顔を出していない。

 もう1頭のプリンスオヴペンザンスは昨年、女性騎手ミシェル・ペインを鞍上にメルボルンCを制した馬である。すなわち、レース史上5頭目の連覇がかかっているわけだが、この馬もまた、前年の53キロから3.5キロ増量されたハンデは厳しいと見られているようで、前売りでの評価はオッズ26〜34倍に留まっている。

 これに続く56キロのハンデ5位には、3頭が横並びとなっている。

 1頭は、英国からエントリーしているビッグオレンジ(セン5、父デュークオヴマーマレイド)だ。昨年もメルボルンCに参戦し、55.5キロを背負って5着となっている馬である。今季は益々好調で、春のドバイに遠征してG2ドバイゴールドC(芝3200m)2着、欧州初戦のG2ジョッキークラブC(芝12F)3着の後、G2プリンセスオヴウェールズS(芝12F)、G2グッドウッドC(芝16F)を連勝している。管理するマイケル・ベル師は、再度の参戦に意欲を見せながらも、昨年英国から遠征して58キロを背負わされ、23着に大敗したスノウスカイを引き合いに出し、「ハンデが重かったら回避する」と明言をしていた。昨年より0.5キロ増の56キロについて、ベル師はまだコメントをしていないが、豪州の大手ブックメーカーのスポーツベット社は、現段階で同馬に15倍のオッズを提示して前売り1番人気に支持している。

 56キロの残り2頭は、いずれも日本の競馬ファンに馴染みのある馬たちである。

 1頭は、昨年秋のジャパンCに来日したフランス調教馬のイラプト(牡4、父ドゥバウィ)だ。今季はここまで4戦し、7月のG1サンクルー大賞(芝2400m)2着が最良の成績で、勝鞍には恵まれていない。ブックメーカーの評価もオッズ26倍前後となっている。

 56キロのもう1頭は、独国におけるG1・2勝馬で、14年のジャパンCに来日したアイヴァンホウ(牡6、父ソルジャーホロウ)である。15年から豪州に移籍し、馬名がアワアイヴァンホウに変わった同馬は、昨年のメルボルンCは10着に終わったものの、今年5月にG1ドゥームベンC(芝2000m)を制し、豪州でもG1制覇を果たしている。この馬には、ブックメーカー各社は21倍前後のオッズを掲げている。

 そして、ハンデ順で言えば8番手の55.5キロに、カレンミロティックと、ザユナイテッドステーツ(牡6、父ガリレオ)の2頭が横並びとなっている。

 ザユナイテッドステーツは、13年春まで愛国を拠点に走り、G3エンタープライズS(芝10F)を含む3勝。その後豪州に移籍し、今年3月にローズヒルのG1ランヴェットS(芝2000m)を制し、G1初制覇を果たしている。この馬には17〜26倍のオッズが掲げられている。

 それでは、カレンミロティックの人気はどうかと言えば、ブックメーカーによってかなり評価が分かれている。

 同馬にオッズ17倍を掲げ、前売り2番人気に推しているのがクラウンベットだ。一方、スポーツベットはオッズ26倍の11番人気と、あまり評価は高くない。これまでメルボルンCに挑んだ多くの日本馬と異なり、10月17日にメルボルンに入る予定のカレンミロティックは、現地では前哨戦を使わずに本番に向かうだけに、オーストラリアのファンとしては評価が難しいというのが実情ではなかろうかと思う。

 クラウンベットがオッズ15倍、ラドブロークスがオッズ13倍を掲げ、いずれも前売り1番人気に推しているのが、ゴドルフィンのハートネル(セン5、父オーソライズド)だ。

 3歳秋まで英国を拠点に走り、G3バーレーントロフィー(芝13F)を含む5勝。移籍後は、15年3月のG1ザBMW(芝2400m)で、日本から遠征したトゥザワールドを2着に退けてG1初制覇。そして目下のところ、9月3日にランドウィックで行われたG2チェルムスフォードS(芝1600m)、9月17日に同じくランドィックで行われたG2ヒルS(芝2000m)を連勝中と好調で、55キロという手頃なハンデになったこともあって、人気を高めている。

 スポーツベットが15倍のオッズを掲げ、ビッグオレンジと横並びの1番人気に推しているのが、愛国からエントリーしているウィックロウブレーヴ(セン7、父ビートホロウ)だ。

 9月11日にカラで行われたG1愛セントレジャー(芝14F)で、大本命のオーダーオヴセントジョージを2着に退けて優勝を果たした馬である。同馬は、10月1日に現地入りすべく、すでに出国検疫に入っており、アクシデントが無い限り出走が確定しているのに加え、ハンデ55キロもG1勝ち馬としては恵まれた感があり、人気が高まっている。

 本番まであと7週間余り、有力馬の動向をフォローしていきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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