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過去の優勝馬にはビッグネームがズラリ!アウォーディーが5連勝に挑む/日本テレビ盃

  • 2016年09月27日(火) 18時00分


左海誠二騎手の「土台となった」マキバスナイパー


 9月28日(水)に船橋競馬場で行われるRoad to JBC『第63回日本テレビ盃』。ダート1800mのJpnIIレースで、JBCクラシックに向けての大事な前哨戦。先々は暮れの東京大賞典へも繋がっていく、ダート古馬中距離の王道路線の戦いです。1954年に創設され、1998年(第45回)からはダートグレード競走となった歴史あるレース。勝ち馬もアブクマポーロ、アグネスデジタル、マキバスナイパー、ボンネビルレコード、フリオーソ、スマートファルコンとビッグネームが並びます。

過去の優勝馬にはスマートファルコンなどビッグネームがズラリ(撮影:高橋正和)


 今回は最初に2002年の覇者、地元船橋の勇者・マキバスナイパーの思い出を振り返ります。

 父ペキンリュウエン、母スコールディング。クイーン賞の他、多くの南関東重賞を制したマキバサイレントを半姉に持つ船橋競馬生え抜きのマキバスナイパー。1998年にデビューしたのち条件戦で徐々に勝ち星を重ね、1999年4歳の11月(当時の馬齢表記では5歳)に東京記念で重賞初制覇。初挑戦のダートグレード競走・東京大賞典でワールドクリークの3着に好走します。2000年には1月の埼玉新聞杯、2月の報知グランプリCを連勝。この年後半にはグランドチャンピオン2000(当時の大井にあった2000mの重賞レース)も制し、11月の浦和記念でダートグレード競走初制覇を飾ります。

 年が明けて2001年は川崎記念9着、船橋記念1着、大井記念6着と安定しない成績だったためか7番人気で迎えた帝王賞。ケント・デザーモ騎手を背に、6歳で念願のGI(当時の表記法による)レース制覇を果たします。GIホースとなったマキバスナイパーはその後、東京記念1着。さらにこの年に創設された第1回JBCクラシックでレギュラーメンバーの2着に大健闘するも、しばらく勝ち切れないレースが続きます。

 そして迎えた2002年9月の日本テレビ盃。1番人気は武豊騎手騎乗のノボトゥルー。レイズスズラン、タマモストロング、ブリリアントロードらJRA勢が揃う中、マキバスナイパーは3番人気。レースは2番手から進んだマキバスナイパーが直線で抜け出し優勝、中団から徐々に差を詰めたレイズスズランが2着、逃げたキングリファール(船橋)が3着でした。

 主戦ジョッキーとして長年コンビを組んでいた左海誠二騎手のコメントをご紹介しましょう。

「地元の重賞はやっぱり勝っておきたいから嬉しかったです。スタートのいい馬で、先行して押し切るのが勝ちパターン。逃げたキングリファールは俺が乗って重賞を勝ったこともある馬だったから(2000年しらさぎ賞)どんな馬か知っていたし、理想的な展開でした」

 さらに左海騎手は「マキバスナイパーは俺の土台となった馬」と、当時を振り返ります。

「あの頃は今みたいに調教専門の厩務員さんがいる時代じゃなかったから、デビュー前からずっと乗って、触って、稽古も自分でつけていました。調教のメリハリや多くのことをこの馬に教わった部分が大きいです。実は4歳のアフター5スター賞で4着になった時に『この馬は伸びる』と、思ったんですよ。そう感じるものがあれば負けても次に繋がる。これだけ変化した馬は今でも出てきていません。可愛くて人懐っこくて、競馬センスのある馬でしたね」

 その後は2002年11月の浦和記念を制し(2000年に続いて2回目)、7歳時に重賞2勝。2003年8月には盛岡に遠征し、みちのく大賞典を8歳で制覇。最後は高崎に転厩して競走生活を終えます。3歳から9歳まで現役を続け、67戦21勝。数々の重賞レースで活躍したマキバスナイパーは、南関東競馬のファンにとって忘れられない1頭です。

 さあ、それでは今年の注目馬をご紹介しましょう。

ダート転向後4連勝のアウォーディーが筆頭


 今回の筆頭はアウォーディー。昨年9月、芝からダートに転向後、1600万下を勝ったのち、いきなりシリウスSを制して重賞初制覇。続く名古屋大賞典、アンタレスSも快勝。現在ダート4連勝、うち重賞3連勝中の6歳馬。初の船橋競馬参戦で、一線級のメンバー相手にどんなレースを見せてくれるでしょうか。母ヘヴンリーロマンスで、アムールブリエとラニの半兄。将来的にはいずれ“3きょうだい対決”も見てみたい、夢が広がる一戦です。

アウォーディーはダートに転向後、前走・アンタレスSまで4連勝中


 昨年このレースを圧勝した、サウンドトゥルー。その後、東京大賞典も制してGIホースの仲間入り。今年に入って川崎記念2着、かしわ記念5着、帝王賞3着と勝ち切れないレースが続いていますが、これらはすべてJpnIレース。再びの勝利を目指します。

昨年の日本テレビ盃ではクリソライト、コパノリッキーらを退けたサウンドトゥルー(撮影:高橋正和)


 2月のフェブラリーSをコースレコードで快勝したモーニン。激戦の疲れが抜けきれなかったのか、かしわ記念では馬体重-12kgで8着に敗れました。馬体が回復すればさらなる成長が望める4歳馬。今後のこの馬の路線を占う意味でも重要な戦いとなります。

4歳にして今年のフェブラリーSをコースレコードで制したモーニン(撮影:下野雄規)


 船橋所属馬からはタイムズアロー。2月の報知グランプリCを制し重賞ウイナーの仲間入り。前走・マーキュリーCではJRA勢を相手に、ストロングサウザーの2着と好走しました。今回も十分上位が狙える1頭です。

 さらに大井のハッピースプリントも秋はここから始動。昨年、帝王賞3着から休み明け初戦で臨んだマイルチャンピオンシップ南部杯で6着、続くJBCクラシックは5着でしたが、今年はそれ以上の着順を目指します。

ハッピースプリントは昨年の浦和記念でJRA勢を打ち破っている(撮影:武田明彦)


 日本テレビ盃は過去3年の傾向を見ると、JRA勢が優勢の状況が続いているレース。とはいえ9月に行われたダートグレード競走3戦では、テレ玉杯オーバルスプリントで大井のソルテが2着、船橋のレガルスイが3着。レディスプレリュードでは兵庫のトーコーヴィーナスが2着。東京盃では川崎のプラチナグロースが3着と、地方所属馬が馬券圏内に来る活躍を見せています。日本テレビ盃はRoad to JBCであると同時に船橋競馬の秋のビッグレースでもあります。南関東勢にとっても地元の意地をかけて一つでも上の着順を目指したいレース。今回も上位に地方勢が活躍する可能性は十分に考えられ、応援にも力が入ります。

※次回の更新は10月3日(月)の18時。金沢競馬場で行われる「白山大賞典」のコラムをお届けします!

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 【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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