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オッズほどに一強ではないはず!/スプリンターズS

  • 2016年09月28日(水) 18時00分

■スプリンターズS(G1・中山芝1200m)フルゲート16頭/登録20頭


【コース総論】中山芝1200m Cコース使用

・コースの要所!

★1番人気の信頼度は並以下で、人気薄を積極的に狙っていくべきコース。
★イメージほど内枠有利ではない。内容がいいのは馬番9〜12番あたり。
★信頼度が高いのは先行勢だが、改修後は意外なほど差しが届いている。





 2014年に行われた路盤改造により、それこそ「劇的」な変貌を遂げた中山の芝コース。コース形態に変更はないものの、以前よりも明らかに差せる方向へとシフトしている。この点を踏まえて、今回は路盤改造後に行われたレースのみを集計対象とした。このほうが、その特徴をより正確に捉えられるはずだ。

 16頭立てにおける平均配当は、単勝1436円、馬連8830円、3連複3万6422円と高めの水準。人気別成績を見ても、1番人気の信頼度はそれほど高くはなく、7〜9番人気や10〜12番人気など穴馬の好調さが目立つ。13番人気以下の複勝率が4.3%もあるというのも、波乱傾向が強いコースであることの証明といえる。

 衝撃的だったのが枠番別成績だ。こうなりそうな感触はあったが、やはり内枠の信頼度が、路盤改造前とは大きく異なっている。以前はそれこそ「内枠から前に行ったモン勝ち」的な部分があったのだが、単純な内外の比較においても、勝率は内より外のほうが優秀。もっとも内容が優れているのも馬番9〜12番と、以前のイメージとはかけ離れている。

 また、脚質別成績にも、路盤改造の効果がハッキリ。なんだかんだで先行勢のほうが信頼度は高いが、短距離戦なのでそれは当然の話。逆に、短距離戦なのにこれほど差しや追い込みが決まっているのに驚かされた。以前ほどの先行優勢ではないので、好位〜中団から差せる馬であれば、自信を持って買えるはず。馬番9〜12番の好成績には、中団から差す馬が乗りやすい枠番だから──という背景がありそうだ。

【レース総論】スプリンターズS(G1) 中山過去9回

・レースの要所!

★3番人気以内[7-6-0-14]と人気馬の連対率が高いが、3着はかなり紛れる。
★先行勢は枠番不問も、差す馬は外のほうがベター。枠番を必ずチェック。
★前哨戦を使わずの出走はリスキー。中2週〜中8週で出走する馬を重視で。
★関西馬、5歳以下馬、前走馬体重480キロ以上馬などもプラス評価の対象。








 昨年も11番人気のサクラゴスペルが2着に激走と、一筋縄では決まらない印象が強いスプリンターズS。しかし、平均配当は単勝851円、馬連4380円、3連複7万8194円と、単勝や馬連に関してはコースデータよりも格段に堅かったりする。それでいて3連複平均はこの高さで、 3連単に至っては平均配当38万円以上。「意外な伏兵が1頭以上絡む」決着が非常に多いのを意識して、予想したいレースである。

 これは、人気別成績を見ても明らかだ。1〜3番人気はトータル[7-6-0-14]で連対率48.1%をマークと、信頼度は非常に高い。1番人気も[4-2-0-3]と悪くない成績を残しており、上位人気馬は基本的に信頼するべき。その上で、人気薄のヒモをどのように抽出し、どのように狙うかが重要となってくる。

 枠番別成績では内枠がもっとも優秀な結果だが、枠番別成績や脚質別成績に関しては、路盤改造前の成績が含まれるレースデータよりも、コースデータのほうを重視したほうがいいはず。レースデータだけを見ると「内枠の先行勢がもっとも有利」という結論になるのだが、これも現在も通用するかどうかはきわめてビミョーである。

 ただし、馬番×脚質データのほうは要注目。枠番の内外それぞれで脚質別成績を集計したものだが、興味深いのが「先行勢は枠番不問も、差し馬は外が優勢」であるという点だ。馬番9〜16番から差した馬は、トータル[3-3-1-19]で勝率11.5%、連対率23.1%と、上々の成績を残している。速い上がりを使えるタイプに関しては、内よりも外のほうがベターといえそうだ。

 ローテ面については、セントウルSなどの前哨戦を使われてきた組が圧倒的に有利。昨年のサクラゴスペルのように休養明け緒戦で走った例もあるが、中8週よりも長い間隔で出走した馬は[1-1-0-28]と、信頼度はかなり低めなのだ。高松宮記念以来となるミッキーアイルは、これが大きな懸念材料。鉄砲駆けする馬だが、過信は禁物である。

 その他にも、「関西馬>関東馬」であることや、G1らしく完全に「継続騎乗>乗り替わり」であること、5歳以下馬の強さが目立っていること、牡牝ともに前走馬体重480キロ以上馬が好成績であることなど、ふるいにかける材料は豊富に揃っているレース。出走馬が確定する前段階で、キッチリ予習しておきたい。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 先週から引き続きCコース。良に回復した日曜日は前が残りまくる馬場に。

・天候予測
 雲行きが怪しいが週末の降雨はなさそうな雰囲気。柔らかめの良馬場を想定。

・注目血統
 とくになし

 稍重だった土曜日は差しがよく決まっていた中山の芝だが、良馬場に回復した日曜日は、前残りが多発。内枠を利して逃げ切った外房特別のオルレアンローズを筆頭に、芝の勝ち馬はすべて、4コーナーを4番手以内で回っている先行勢だった。今週末もおそらく良馬場になりそうで、基本的には前有利の状態にあると思われる。

 そして血統面だが、目立つ成績を残している種牡馬はゼロ。ダイワメジャー産駒が6勝をあげているが、これは適性ではなく出走数の多さで稼ぎ出されたものだ。サクラバクシンオー産駒も、好走しているのは上位人気馬ばかり。それでもあえてプラス評価の対象を挙げるなら、勝率18.8%をマークしているディープインパクト産駒だ。母がダンジグとヌレイエフの血を併せ持つミッキーアイルに、もっとも魅力を感じる。

★出走登録馬・総論×各論

 秋のG1シリーズ開幕戦。また、直後に「JRAが馬券を発売する初の海外レース」である凱旋門賞が控えており、その資金作りという意味でも力が入る一戦だ。登録メンバーも、春のスプリント王ビッグアーサーに、高松宮記念の2着馬ミッキーアイルという二本柱に加えて、レッツゴードンキ、ダンスディレクター、ブランボヌールなど、伏兵も魅力たっぷり。面白いレースになるのは確実である。

 当データ分析がトップ評価としたのはビッグアーサー。マイナス評価となった項目はひとつもなく、それでいてプラス評価の項目がズラリという、実績にたがわぬ内容となった。中山で初出走というのが気がかりではあるが、プロフィル、臨戦過程、過去の対戦成績などから考えて、勝ち負けになって当然の馬。スプリント戦においては、ゲートが猛烈に巧い福永ジョッキー騎乗というのも、大きなプラス材料といえる。

 僅差の二番手評価にミッキーアイル。高松宮記念以来というローテが減点材料だが、こちらは血統面での強調材料もあり、ビッグアーサーとは甲乙つけがたいところである。直前の稽古ではかなりハードに追われており、これで態勢は整ったはず。昨年のこのレースで、勝ち馬から0秒2差の4着に好走している実績馬であり、さらなる前進があって何の不思議もないはず。「ビッグアーサーに勝つ可能性も十分」という評価である。

 以降は見事なまでに混戦だが、セントウルSで2着に好走したネロを、ここは三番手に抜擢する。想定段階での評価はかなり低いのだが、芝1200m戦でビッグアーサーを相手に0秒2差に好走したのだから、相応に高評価してしかるべき。コース実績も十分で、ケチをつけるなら前走馬体重が464キロである点くらいだ。人気薄になればなるほどオイシイだけに、ぜひ人気の盲点となっていただきたい。

 四番手評価はシュウジで、五番手評価がベルカント。以下、レッツゴードンキ、ブランボヌール、サトノルパン、スノードラゴン、ダンスディレクターという評価順となった。このあたりは本当に僅差で、枠番や展開によって着順がガラッと入れ替わりそう。やはり今年も「1頭ないし2頭の人気薄が絡む」決着となりそうだ。

 オッズや枠番次第だが、ビッグアーサーとミッキーアイルのオッズ差によっては、後者から入る馬券も大アリ。この2頭の評価はほぼ互角であり、ならば人気薄から入ったほうがいいに決まっている。netkeiba.comでの予想オッズはビッグアーサーの「一強」だが、そこまで能力差があるかといえば、さにあらず。ビッグアーサーを高評価するも過信はしないというのが、今年のスプリンターズSの基本コンセプトである。


■総論×各論・先週の馬券回顧

阪神11レース 神戸新聞杯(G2)
1着 14サトノダイヤモンド
2着 15ミッキーロケット
3着 12レッドエルディスト

エアスピネルの後方待機に(#^ω^)ビキビキ
サトノダイヤモンドを1着に、エアスピネルを2〜3着にそれぞれ固定した3連単10点で勝負して、あえなく撃沈。エアが3着に来てくれれば的中だったんだけど、あのポジションじゃあ厳しいヨネ。完全に菊花賞へ向けた「試走」という乗り方で、それを予測できた人がいる以上、これは完敗。忘れてたけど、ユタカさんにはコレがあるんだよなあ……。

※コースデータと血統データは2014年12月以降、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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