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ダート5連勝でさらなる高みへアウォーディー/日本テレビ盃・船橋

  • 2016年09月29日(木) 18時00分

撮影:高橋正和



アウォーディーとモーニンによる一騎打ち


 Road to JBCでは、レディスプレリュード、東京盃と波乱の決着が続いたが、日本テレビ盃はJRA勢の実績馬が上位を独占。単勝3倍台以下の3頭による堅い決着となった。

 とはいえ先行した2頭、アウォーディー、モーニンによる一騎打ちで、サウンドトゥルーは2頭の争いから5馬身差がついての3着。予想で「何が何でもという先行タイプがいないメンバー。この馬が台頭する展開になる可能性は低い」と書いたとおり、このレース連覇のかかったサウンドトゥルーには厳しいレースになった。

 好スタートを切ったモーニンがすんなりと先頭に立ち、アウォーディーはあまりスタートがよくなかったものの、少し気合を入れると最初のゴール板あたりで無理なくモーニンの直後につけることができた。ハロンごとのラップで11秒台は2F目の11秒1だけ。4F、5F目では13秒台にペースを落とし、1000m通過が62秒6という先行勢にはまったく楽な落ち着いた流れになった。

 コパノリッキーとクリソライトが激しく競り合った昨年の1000m通過59秒9とは対照的。このレースでは、2014年の60秒8、2013年の60秒5あたりが平均的なペース。今回、重馬場で時計の出やすい馬場だったことを考えれば、かなりのスローペースだったと言ってよさそうだ。

 そして向正面中間から徐々にペースアップ、3番手以下との差がじわじわと開くと、前半は中団を追走していたサウンドトゥルーの大野騎手も、さすがにここから行かないと間に合わないと思ったのだろう。3コーナー手前から一気に位置取りを上げてきた。

 しかし当然のことながら前2頭の手ごたえは楽なまま。直線を向いたところから追い出されると、馬体を併せたまま直線一杯を使っての追い比べとなって、アウォーディーがアタマ差だけ出たところがゴールだった。

 アウォーディーが先着できたのは、もちろん2kgの斤量差が大きい。さらに、ここを勝って優先出走権を得なければ、賞金的にJBCクラシックに出られるかは微妙なところだった。それゆえ万全の仕上げで臨んでもいたのだろう。これでダートに転向して負けなしの5連勝。いよいよ次はJBCクラシックでJpnI初挑戦となる。おそらく出走してくるであろう、ホッコータルマエやコパノリッキーら、チャンピオン級とも初めての対戦となる。

 ところでまったくの余談だが、レース後のインタビューの最後、武豊騎手は「次は、川崎でアウォーディー(会おう)、って感じで……」と言って周囲を笑わせた。何年かののち、いつのことだったか忘れないための、個人的な書き置きということで。

 惜しくもアタマ差2着だったのがモーニン。馬体重のプラス15kgは、前走かしわ記念で大幅に減っていた馬体を戻したもの。さすがに追い比べとなった相手より斤量が2kg重いだけに、ゴール前で競り負けたのは仕方ない。このあとJBCとなると、クラシックが2100m、スプリントが1400mで、どちらも微妙。むしろ今回初めての1800mの距離で、58kgを背負ってということでは、チャンピオンズCに向けて大きな収穫となった一戦ととらえるべきかもしれない。

 サウンドトゥルーは、前残りの展開となってはやはり厳しい。昨年、直線を向いて先頭のクリソライトを並ぶ間もなく交わし去って突き放したときの上がり3Fが37秒2。そして今回も37秒3で上っているだけに、自身の能力は出し切っている。前2頭が止まらなかったため、すでに4コーナーあたりで開いていた差を縮められなかったというだけ。ちなみに昨年末、東京大賞典でホッコータルマエを差し切ったときの自身の上がりが36秒7。サウンドトゥルーにとっては、37秒前後の上がりで前をとらえきれる流れになったときが勝ちパターンといえそうだ。そういう意味で、おそらくホッコータルマエとコパノリッキーが出走してくるであろうJBCクラシックは、前が競り合う厳しい流れになれば、あらためてチャンスの目も出てくる。

 準オープンで足踏みという成績のスリータイタンがサウンドトゥルーから3馬身離れての4着で、地方最先着の5着はマーキュリーCで2着の好走があったタイムズアロー。

 地方期待のハッピースプリントはさらに遅れ、勝ち馬から3秒1も離れての6着だった。今回はかしわ記念(7着)以来約5カ月ぶり。調教師からも「仕上がりとしては7分くらい」というコメントが出ていた。好スタートからモーニンが行くと見ると、控えて内目の6、7番手を追走。向正面で外に持ち出し、前がペースアップするより早いタイミングで積極的に位置取りを上げていき、3〜4コーナーでは3番手集団の一角にとりついて見せ場はつくった。しかし、そこまで。どうやらJBCには向かわないようだが、今回のレースが次につながればというところだろう。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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