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スプリンターズSの伏兵陣の追い切りチェック!

  • 2016年09月29日(木) 18時00分


ダンスディレクターは上積みは……

 今週はいよいよ今秋最初のG1、スプリンターズS。今週の栗東トレセンは27日が全休日だったため、スプリンターズSの出走予定馬も追い切りが28日組と29日組に分かれました。それぞれの日付にメリットとデメリットがありますが、中山競馬場で行われるレースに出走するためには、10月1日までには出発しなければいけません。

 29日に追い切ると30日を運動だけや軽い調教にとどめることになり、調整が難しい場合があります。28日に追い切っている馬たちはそのあたりを考慮しての全休明け追い切りなのでしょう。ただ、29日の坂路馬場の方が大雨の影響で時計を要する馬場になってしまったのは、予想外だったかも知れません。私の予想組み立てとしては、この『時計』が重要なポイントになるので、そのあたりはウマい馬券の予想コラムでもしっかり書いておきたいと思います。

 なお、ビッグアーサーやミッキーアイルの最終追い切りについては前日のトレセンニュースで速報させていただいたので、ここではそれ以外の馬を取り上げています。

【スプリンターズS/ダンスディレクター】

 29日16時現在でnetkeiba.comの予想単勝オッズが3番人気。前走が7着でも浜中俊騎手が騎乗しつづけている点や休み明けを叩いてからの好走実績が評価されているのでしょう。私自身も前走の最終追い切りはあくまで叩き台、次はもっと良くなってくるだろうという想定はしていました。

 しかし、今回の最終追い切りも前走時同様、全体時計が遅め。3F目のラップが13秒台である点は前走より遅くなっているので、決して評価できません。もちろん、ラスト1Fで12.1秒という切れを見せているわけですから、今回も末脚はしっかりしているのでしょうが、前走から急激に良くなっているとは思えません。

ダンスディレクター(9月20日撮影)

前走から急激に良くなっているとは思えないダンスディレクター(9月20日撮影)



【スプリンターズS/ブランボヌール】

 新馬戦、函館2歳Sと1200mで連勝して、1400m、1600mと距離を延長して着順を落とし、その後は惨敗が続きました。しかし、1200mに戻った前走が鮮やかなレースぶり。これに20キロの馬体重増が本来の能力を発揮できた要因といってよいでしょう。

 栗東へ戻ってきてからも、ふっくら馬体が印象的。角馬場でのキャンターを見ていても、バネを感じるので、主観的には本当に買い材料しか見当たりません。ただ、29日の最終追い切りでは馬場が重たかったこともあり、あまり時計の出ない走り。実はこれが客観的な調教データからは推せません。また阪神JF3着時の最終追い切りでもラスト1Fが最速になるラップを踏んでの好走だったので、その比較でも今回の最終追い切りはあまり高い評価ができないと思います。

ブランボヌール(9月29日撮影)

最終追い切りはあまり高い評価ができないブランボヌール(9月29日撮影)



【スプリンターズS/シュウジ】

 ハード。実にハードな調教内容です。26日に終い重点とはいえ、2F25.1秒、1F12.2秒としっかり時計を出してきたので、29日の最終追い切りはさほど時計を出さないだろうと勝手に推測していました。ところが、朝一番の馬場で4F51.1秒。3F目に一気にラップが速くなって、最後は失速気味でしたが、それでも1F12.4秒で我慢するあたり、今の体調の良さを物語っています。

 普段から15-15の時計は当たり前なタイプなので、多少追い切りで時計が出ても応えないのかも知れません。これだけタフなら中山芝1200mも難なくこなしてくれそうな気もします。北海道での2戦が好走なので、輸送を心配する方もいるかも知れませんが、小倉2歳Sは前日に小倉競馬場まで輸送しているわけですから、その点の心配はないはずです。

シュウジ(9月20日撮影)

シュウジは実にハードな調教内容(9月20日撮影)



【スプリンターズS/ネロ】

 セントウルSの最終追い切りが自己ベストに0.5秒差と迫る内容でしたが、今回もそれに近い時計。4F49.1秒ですが、これを馬なりでマークできるあたりにこの馬の坂路馬場でのスピード能力の高さを感じます。そもそも、25日の追い切りでも坂路4F49.6秒をマーク。中2週にも関わらず、これだけ速い時計を出せるのは調子の良さしかないでしょう。

 中山芝1200mでの実績もあって、馬券的に狙える条件は揃っているので、あとはレース間隔が詰まった時に1着経験がないことだけ。特にここ最近はレース間隔を適度にあけて結果を出していただけに、その点は気になります。

シュウジ(9月20日撮影)

ネロが速い時計を出せるのは調子の良さ(9月20日撮影)



【スプリンターズS/ベルカント】

 すでに報道されているように年内で引退。それがここになるかどうかは未定ですが、追い切りの動きだけを見ていると、やっぱり期待したくなってしまいます。29日の最終追い切りは1F目を15.0秒とかなりゆっくり入ったとはいえ、3F目12.0秒、4F目12.1秒はさすがのまとめ方。やれば動く馬ですから、これくらいは当然といってしまえばそれまででもありますが。

 ちなみに昨年は2F目から速いラップを踏んで、ラスト1F11.7秒。今年は後半2Fを速いラップで持続したということを評価してよいのかも知れません。ただ、夏場の暑い時期の方がレース結果が出ているタイプということを考えると、かなり涼しくなって、秋の気配が漂うこの時期に最高のパフォーマンスを期待するのは少し難しいのかも知れません。

ベルカント(9月29日撮影)

この時期に最高のパフォーマンスを期待するのは少し難しいベルカント(9月29日撮影)



◆次走要注意

・9/24 2歳新馬【ジュンテオドーラ】(2人/12着)

 POG関係で推奨したからというわけではなく、馬っぷりなんかはこんなに負ける馬ではありません。ただ、追い切りの動きはあまり機敏ではなく、レース後にジョッキーから距離が短いというコメントは納得。もう少し追い切りでも動くようになってくれば。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追い切りで併せ馬先着なら勝ち負け

・9/25 神戸新聞杯【ロードヴァンドール】(9人/9着)

 この距離なら思い切った逃げを打てますが、今回はさすがに相手が悪かったという感じ。そもそも阪神の芝外回りは逃げ馬にとっては捕まりやすい形状なので、仕方ないところでしょう。
 18キロ馬体重が増えていたことも失速要因だと考えると、次走追い切り本数強化で逃げを打てれば残り目はあり。これが菊花賞だったとしても面白いでしょう。

[メモ登録用コメント] [京都芝外回り]追い切り本数が多い併用調教なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・シリウスS【ピオネロ】
 ただいま連勝中ですが、その勢いを感じる集中した追い切り。1週前追い切りでは重心の低い走りを見せ、最終追い切りでは道中からラップが速かったのに、最後までやめることなく走っています。この集中力、状態の良さが維持させていると思うので、勢いがある今こそ重賞制覇のチャンスでしょう。

ピオネロ(9月28日撮影)

最後までやめることなく走っているピオネロ(9月28日撮影)



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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