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【重賞初制覇】中内田充正調教師(1)『新潟2歳Sを勝利!ヴゼットジョリーで阪神JFへ』

  • 2016年10月03日(月) 12時01分
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▲海外経験豊富!いま注目の若手トレーナー・中内田充正調教師を直撃


実家は老舗の育成牧場。高校時代にアイルランドへ留学し、イギリスの大学を卒業。ヨーロッパやアメリカのトップステーブルで経験を積んだ、中内田充正調教師が今月のゲストです。なんと、あのエンパイアメーカーを担当した経験も! 現在も頻繁に海外へ足を運び、H.H.シェイク・モハメド殿下の馬を数多く預かるなど、注目の若手トレーナーです。まずは、厩舎初の重賞ウイナーとなったヴゼットジョリー、秋華賞を目指すパールコードの手応えをお聞きします。(取材:東奈緒美)


強みは、競馬に行ってのセンスの高さ


 ヴゼットジョリーでの新潟2歳S優勝、おめでとうございます。開業3年目での重賞初制覇。この時期での勝利についてご自身の評価はいがかですか?

中内田 ありがとうございます。厩舎の初重賞となったのはうれしいですが、何より馬自身がいい競馬をしてくれたのがうれしいです。新馬戦をいい競馬で勝って、2戦目で重賞を勝ってくれて。こんなに順調に成長してくれているのが、ありがたいです。

 勝利インタビューで福永騎手から、「中内田調教師の初重賞がかかっていたので」という言葉がありましたけど、レース前にそういったお話はされたんですか?

中内田 祐一君は以前から、「僕が厩舎の初重賞を獲る!」って宣言していたぐらいなので。その時は冗談のように言ってたんですが、もしかしたら現実になるかもしれないなって(笑)。まぁ、縁とか流れもあるので、今回は本当に運良くうまく行ったと思っています。

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▲新潟2歳Sを快勝したヴゼットジョリー、目指すは2歳女王の座(撮影:武田明彦)


 最初にヴゼットジョリーを見た時、ピンっとくるものはあったんですか?

中内田 最初に見たのは1歳で、社台ファームにいる時だったんですけど、その当時から馬体が良くて、トモの力強さを感じていました。上も走っていたので(ベルルミエール、阪神牝馬S2着、ニュージーランドT・北九州記念3着など)、この馬もすぐに勝ってくれる逸材かなと。

 7月の末に新馬勝ち。期待が現実になりましたね。

中内田 レースセンスがいいなと思いましたよね。新馬なのでみんな競馬自体が初めてなわけですけど、そこで逃げて勝つんじゃなくて、しっかりと折り合いをつけて、ヨーイドンになってもしっかり反応してくれましたからね。

 初めての競馬ということもあって、最後はさすがに苦しくなってはいたんですけど、それでもしっかり川田ジョッキーのアクションに応えて伸びてくれたので。そこは評価してあげたいなというところですね。

 そしてその1か月後が、重賞の新潟2歳S。ポンポンっと2勝目を挙げましたね。

中内田 2戦目はゲートを出てからちょっと気の入るところがあったんですけど、その辺も祐一君がうまいことなだめて折り合いをつけてくれて、そこから瞬発力のいいところを見せてくれた。いい競馬でしたね。あのセンスの良さが、この馬の最大の強みだと思います。

 福永騎手は「しつけのいき届いた馬。血統的にはマイルくらいまでだけども、3歳の春ならそうとも限らない。スピードの持続力があるのがいい」とコメントされてました。

中内田 僕も血統的には短距離かなと思っているんですが、前走で1600mも勝ってくれましたし、極力距離を伸ばしていきたいなと。そこがこれからの課題になってくるんじゃないですかね。

 暮れの阪神JF、クラシックを見据えてということですね。ちなみに、阪神JFへは直行ですか?

中内田 直行の予定です。小倉2歳Sを勝った本田先生のところのレーヌミノルも強そうですし、これからどんどんいい馬が出てくるでしょうし、気を引き締めていきたいと思います。

春の時点で「目標は秋華賞」


 もう一頭GIを狙うのが、3歳牝馬のパールコード。前走の紫苑Sでは2番人気に支持されて、結果は5着。春のフローラS以来のレースでしたが、結果を振り返っていかがですか?

中内田 率直に言うと、競馬をさせてもらえなかったということですね。

 直線でちょっと前が詰まってしまった感じで。

中内田 そうですね。前が詰まったのと、他馬に寄られてしまったので、結局あの子のいいところを出せずに、回ってきただけというような感じでした。

 となると、この結果は参考外。本番での巻き返しが期待されますね。春の話になりますが、フローラSで2着に来たけども、オークスは回避となりました。これは、状態が整わなかったとか?

中内田 いや、無理をさせなかったということですね。その時点での成長度合、緩さが残ってるところも含めて、春の段階では一線級と戦うにはちょっとまだ力不足かなと。ここで無理をしては、その後の成長にも影響すると思いましたので、オーナーサイドと相談して回避という決断をしました。それにもともとこの馬は、春の時点から目標は秋華賞と思っていたんです。

 それは条件が合うかなと?

中内田 それもありますし、馬自体の成長を考えると、おそらく秋華賞あたりがベストかなと。そういうイメージが自分の中でずっとあって、じっくり仕上げてきた経緯もありますし、なんとか秋華賞で結果を出したいですね。

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▲新馬戦優勝時のパールコード、あえてオークスをパスした決断が功を奏するか


(文中敬称略、次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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