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スマートファルコンの快進撃はここから始まった/白山大賞典

  • 2016年10月03日(月) 18時00分


JBCクラシックに向かうための重要な一戦


 10月4日(火)、金沢競馬場で行われる『第36回白山大賞典』。1997年からダート2100mのダートグレード競走となり、ここからJBCクラシックに向かう出走馬も多い、重要な一戦です。

 このレースを2003年に制したイングランディーレが翌年の天皇賞・春を勝利。2004年の覇者タイムパラドックス、2012年の覇者ニホンピロアワーズが同年のジャパンカップダートを制するなど、後のGIホースを輩出してきました。

 今回はその中でも出世頭と言っていいスマートファルコンが勝った2008年のレースを振り返りたいと思います。

白山大賞典で重賞初制覇を挙げたスマートファルコン(写真は2010年東京大賞典優勝時、撮影:高橋 正和)



 2005年生まれ。父ゴールドアリュール、母ケイシュウハーブ。半兄には1999年の東京大賞典を制したワールドクリークがいることもあって2007年10月、ダートでのデビュー戦は1番人気。このレースを人気に応えて勝利すると、2歳時は3戦2勝で終えます。

 2008年、3歳になると矛先を芝に変え、1月のジュニアCを制し、クラシック路線に向かいます。しかし共同通信杯7着、アーリントンC10着、皐月賞18着とジュニアC後は芝で結果を出すことができず、改めてダート路線に転向。7月のジャパンダートダービーに出走します。ダート戦はおよそ7か月ぶりで、いきなりのダートグレード競走、しかもJpnI。しかしここで改めてダート能力の高さを証明し、サクセスブロッケンの2着に好走します。続いて出走した8月のKBC杯では初の古馬との対戦でも勝利します。

 そして迎えた10月の白山大賞典。3歳ながら1番人気に推されたスマートファルコン。2番人気は前走・阿蘇Sを勝ったダイナミックグロウ、3番人気は7月のマーキュリーCを勝ったサカラート、笠松のマルヨフェニックスが4番人気、5月の東海Sを人気薄ながら制していた牝馬のヤマトマリオンが5番人気。レースはスマートファルコンがスタート直後から先頭に立ち、マルヨフェニックス、ダイナミックグロウが続き、サカラート、ヤマトマリオンが中団から進みます。スマートファルコンは終始先頭のまま堂々逃げ切り、3歳馬ながら古馬に混じってダートグレード競走初制覇を果たしました。

 その後の大活躍はみなさんもご存知の通り。JBCクラシック連覇(2010年、2011年)、東京大賞典連覇(2010年、2011年)、帝王賞(2011年)、川崎記念(2012年)を含む重賞19勝。通算成績34戦23勝。風のように鮮やかな逃げ脚、圧倒的な強さを何度も見せつけた勝利の数々。その第一歩は白山大賞典からスタートしたのですね。

 さあ、今年もそんなニュースターがここから誕生するのか。注目馬をご紹介していきましょう。

牡馬相手に挑むアムールブリエが中心


 牝馬アムールブリエが参戦。エンプレス杯連覇(2015年、2016年)、ブリーダーズゴールドC連覇(2015年、2016年)と牝馬路線では中心的な存在ですが、この秋は牡馬を相手に王道路線を歩む予定。昨年暮れの名古屋グランプリではニホンピロアワーズ、カゼノコらを相手に快勝。小回りコースも経験済みで、勝って次に繋げたいところ。先週、日本テレビ盃を制した半兄アウォーディーとの“きょうだい対決”をJBCクラシックで見てみたいです。

前走ブリーダーズゴールドCでは2着に1.5秒差を付け優勝したアムールブリエ(撮影:田中 哲実)



 3歳馬ケイティブレイブは、前述したスマートファルコンを彷彿させる逃げ馬。5月の兵庫チャンピオンシップで川原正一騎手を背に鮮やかに逃げきった姿が忘れられません。その後、ジャパンダートダービー2着、レパードS2着、初の古馬との対戦だったラジオ日本賞(OP)2着と、2着が3回続いていますが、先手を取って自分の競馬ができれば好走が期待できる1頭です。

 ストロングサウザーは今年2月の佐賀記念で重賞初制覇。前走マーキュリーCでは直線内から抜け出し、重賞2勝目を挙げました。鞍上の田辺裕信騎手は1日(土)、JRA通算600勝を達成したばかり。勢いのあるコンビで重賞連勝を狙います。

マーキュリーCで重賞2勝目を挙げたストロングサウザー(撮影:武田 明彦)



 地方勢の筆頭は愛知のカツゲキキトキト。東海ダービーを含む7連勝で挑んだジャパンダートダービーで6着に健闘。続く黒潮盃(大井競馬場)ではミスミランダーの2着、地元に戻って出走した秋の鞍では4馬身差の快勝で、東海地区の重賞6連勝を飾りました。今回のこのメンバーでどこまで食い込めるか期待が集まります。

前走秋の鞍を快勝し古馬に挑むカツゲキキトキト(写真はジャパンダートダービーのパドック、撮影:高橋 正和)



 金沢競馬場で行われる唯一のダートグレード競走。スマートファルコンのようにここから覚醒する馬が現れるのか?! 今年も非常に楽しみな一戦となりました。

※次回の更新は10月9日(日)の18時。盛岡競馬場で行われる「マイルチャンピオンシップ南部杯」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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