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ダートの即戦力として期待されるアメリカ産馬サリネロ

  • 2016年10月05日(水) 12時00分
サトノヴィクトリー(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母ジョコンダII)
 弥生賞(GII)など3つの重賞を制したサトノクラウン(父Marju)、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とラウンドタワーS(愛G3・芝6f)を勝ったLightening Pearl(父Marju)の半弟。母は現役時代にキラヴーランS(愛G3・芝1400m)3着という成績があり、最近の欧州馬にしては珍しくSadler's Wellsもデインヒルも持たない。Mr.Prospector 3×4、Sir Ivor≒Halo 4×5・4、もっといえばRossini≒Vettori 1×2という特殊な凝縮が繁殖牝馬として成功した原因だろう。Sadler's Wellsもデインヒルも含まない軽さも良かったのだと思われる。本馬の父はディープインパクト。母の近い世代にMr.Prospectorクロスを持つ配合はディープインパクトの成功パターンとはいえないが、ショウナンアデラと同じくAlzao≒Touch of Greatness 3×3という相似な血のクロスを持つ。芝向きの中距離タイプ。

サリネロ(牝 美浦・中川公成 父Uncle Mo、母Aguilera)
 今年3月に米フロリダ州で行われたトレーニングセールで吉田勝己氏が35万ドルで落札した。父は注目の若手種牡馬Uncle Mo。現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)、シャンペンS(米G1)などを制して2歳チャンピオンに輝いたものの、3歳時は内臓疾患のため調子が上がらず、通算8戦5勝の成績で引退した。現3歳の初年度産駒からNyquist(16年ケンタッキーダービー-米G1、15年BCジュヴェナイル-米G1)、Outwork(16年ウッドメモリアルS-米G1)、Gomo(15年アルシバイアディーズS-米G1)といった活躍馬が出ている。2016年10月5日現在、稼働わずか2世代で米サイアーランキング第2位。この成績は立派というしかない。首位を走るTapitを引きずり下ろすとしたらUncle Moだろう。ちなみに本馬が売買されたファシグティプトンザフロリダセールは、前年にNyquistが売買されておりレベルが高い。ダート向きの万能型で、即戦力として活躍が期待される。

バレッティ(牡 美浦・久保田貴士 父キングカメハメハ、母ザレマ)
 未勝利戦から4連勝したミッキーオリビエの全弟。母ザレマは京成杯オータムH(GIII)の勝ち馬で、マルカシェンク(05年デイリー杯2歳S-GII、08年関屋記念-GIII)の4分の3妹にあたる良血。Raise a NativeとBuckpasserを併せ持つダンスインザダーク産駒、という配合的にもほぼ理想に近い構成だった。父キングカメハメハはRaise a NativeとBuckpasserを併せ持っているので、本馬は母の配合構成の核心部分を強調する形となっている。「キングカメハメハ×ダンスインザダーク」といえばラブリーデイ、ショウリュウムーン、ノガロなど成功例が目立っており、本馬は全兄が走っているので期待できる。芝向きの中距離タイプ。

ヒルノアトラーニ(牡 栗東・昆貢 父マンハッタンカフェ、母ハーランズルビー)
 母ハーランズルビーは2歳時にアルシバイアディーズS(米G1・ダ8.5f)で2着となった。母の父Harlan's Holidayは日本でアルビアーノ(15年スワンS-GII、15年フラワーC-GIII)、エスメラルディーナ(14年関東オークス-JpnII)などを出しており、ダートだけでなく芝にも適性を示したポテンシャルの高い種牡馬だった。13年に死んでしまったのが惜しまれる。配合的には2代目にStorm CatとAffirmedを併せ持つが、父マンハッタンカフェはこの両血脈と相性が良好。母が持つStorm Bird≒The Minstrel 4×4は、ヒルノダムールの母が持つNijinsky≒The Minstrel 2×3、ガルボの母が持つNijinsky≒Far North(The Minstrelの全兄)3×3を彷彿させる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ラニカイブルーム(牡 栗東・山内研二 父マンハッタンカフェ、母タヤスブルーム)
 母タヤスブルームはフェアリーS(GIII)の勝ち馬で、繁殖牝馬としてもこれまでに送り出した9頭すべてが勝ち上がっている。それだけでなく、カタマチボタン(父ダンスインザダーク/07年桜花賞-GI・3着)、ブルーミンバー(父ファルブラヴ/12年函館スプリントS-GIII・5着)、ベストブルーム(父フジキセキ/10年弥生賞-GII・6着)、ニジブルーム(父ダンスインザダーク/11年共同通信杯-GIII・7着、15年京都ジャンプS-JGIII・2着)など、重賞で健闘した産駒が目に付く。本馬の父はマンハッタンカフェ。母方にCaerleonを持つマンハッタンカフェ産駒は大成功しており、ジョーカプチーノ、レッドディザイア、ガルボ、テイエムオーロラをはじめ多くの活躍馬が誕生している。なおかつ本馬は母にNorthern Dancer 3×3を持つが、母にNorthern Dancerの強いクロスを持つ配合パターンも成功例が多い。母が18歳時の産駒ながら配合的に優れているので期待十分。芝向きの中距離タイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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