「戦術がないと凱旋門賞には勝てない」
3年前、2年前に凱旋門賞を連覇したトレヴの鞍上のジャルネ騎手が、日本には凱旋門賞を勝つための戦術が足りないと語っていたことが強く印象に残っていた。
■ぶっつけでフランスの競馬(馬場)には挑まない。
■騎手はフランス競馬を熟知してることが望ましい。
一応、この2つを語っていたけれど、本当はもっと難しいプレイがあるのではないか? もしかして語っていたけれど、日本には伝わらなかったのではないか?
そもそもフランスは世界一の戦術文化だとも言われている。ディープインパクトを負かしたのもチームプレイだったとも聞く。強い馬をやっつけるための暗黙の兵法が存在しているのではないか?(あくまでも暗黙。Unwritten Rules)
そんなことを感じながら、マカヒキの凱旋門賞を観戦していた。
マカヒキは上記の項目は満たしていた。ぶっつけでもないし、騎手もルメールだ。スプリンターズSではHOWマッチに失敗してしまったけれど、こちらではHOWマッチできるのではないか? なんて思いながら観戦した。
しかし、惨敗してしまった。
勝ったのはご存知のとおり、アイルランドのオブライエン厩舎のファウンド。鞍上はムーア。2着、3着も同じオブライエン厩舎のハイランドリール、オーダーオブセントジョージ。
自分は、レースを見て、戦術を語れるような目も知識も持ち合わせていないけれど、最後の直線で、デットーリが内をこじあけようとしているムーアに進路を譲ってから、自身が追い出しにかかってるように見えた。
グリーンチャンネルで解説していた武豊騎手が、スタート直後にオブライエン厩舎の2頭(ハイランドリールとオーダーオブセントジョージ)が外に膨れつつ先行して、ファウンドが内に切れ込んでいったことも戦術の1つではないかと語っていた。なるほど。
スタート直後のレース映像は上空から撮ってるから、3頭の動きはよくわかる。どこまで戦術なのか、自分にはわからないけれど、気がつけば、ハイランドリールとオーダーオブセントジョージは2番手、3番手にいて、ファウンドは内ラチ中団にいた。そして直線では内差し名人のムーアが一気に駆け抜けた。
外枠不利と言われていて、オブライエン厩舎の3頭はみな外枠にいて、それでも結果は1・2・3着。もし本当に戦術を駆使して、それが機能したのだとしたら、ラインを組んで闘う競輪みたいですごい。
マカヒキの惨敗の理由はよくわからない。体調面かもしれないし、脚元かもしれない。でも体調が万全だったとしても、最短距離で駆け抜けたファウンドを捉えるのは難しかったのではないか?
英国から単騎で参戦した(ザグレーギャッツビーも英国だけど、仲間のようには見えなかった)ポストポンドが正攻法で競馬をして勝てなかったのを見て、余計に思った。ポストポンドの場合は、アッゼニが凱旋門賞に慣れていなかったのも原因かもしれないけれど、慣れていたとしても孤軍奮闘で闘うのは厳しかったかもしれない。
そんなことを漠然とイメージしていたら、現地で取材していたカメラマンのムラっちゃん(村田利之)からオブライエン厩舎の勝負に賭ける凄みを聞かされた。
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オブライエン厩舎の恐るべき散歩
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ムラ 「オブライエン厩舎は、今回も朝、チーム全員でシャンティイの馬場をストップウオッチ片手に、同じスピード、同じ歩幅で歩いていたよ」
柏手 「自分たちの歩くスピードのタイムを計るんですか?」
ムラ 「そう。自分たちの歩くスピードを計って、それを馬に変換して、その日の戦略を練るんだよ」
柏手 「人間のスピードを馬に置き換えるんですか? すごいですね」
ムラ 「オブライエン厩舎ではよく見られる光景だよ。チームでやるから、いろんな場所のデータが取れるんだよ。馬用に変換して、補正するデータもバッチリなんじゃないかな。デットーリはさすがに参加してなかったけど、ムーアやヘファナンもいっしょに歩いていたよ。馬場を歩く調教師や騎手は他にもいるけど、オブライエン厩舎の緻密さは別格だよ。あの日のシャンティイはいつも以上に時計の出やすい特殊な馬場だったけど、そういうのを自分で歩いて確かめて、それであの作戦が生まれたんじゃないかな?」
柏手 「デットーリは歩かないんですか?」
ムラ 「デットーリももちろん歩いてたよ。ただデットーリはスーパーサブで、チーム・オブライエンではないからね。だから自分で確かめたって感じかな。デットーリくらいになると、自分で判断できるし、オブライエンのオーダーにもすぐに対応できるからね」
柏手 「実際、大外からすごい乗り方をして、ちゃんとレースを作って、3着してました」
ムラ 「オブライエン厩舎は、日本とは比較にならないくらい大きな厩舎で、いい馬がいっぱいいるけれど、一方で、地道で、緻密な作業もしてるんだよね。勝負への執念を感じるよ」
柏手 「ひぃ〜〜〜! 凱旋門賞を勝つにはそこまでしないといけないのですね」
ムラ 「凱旋門賞は招待レースじゃないから、多頭数出しが可能だし、作戦も練りやすいんじゃないかな」
柏手 「そういえば、招待レースのドバイや香港では日本馬は大活躍してます。そういうことですか? そういうことなのですね! っていうか、前々からオブライエン厩舎はやってるってことですよね? もっと早く教えてくださいよ」
ムラ 「このことは競馬王の海外フォトページですでに書いてるよ」
柏手 「おっと……すみません。忘れてました! 村田さんの海外ページにはお宝情報がまぶされているから、すみずみまで読まないと!」
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そうなると、日本もマカヒキ級の馬を3頭くらい連れてって、チームで闘うしかない気がしてくる。今年で言えば、ダービーで1・2・3着した馬をまとめて連れてって、しかもその中で序列をつけて、走らせるとか。ただ序列をつけるとなると、クラブ馬では繊細な気もする。同一馬主、それも個人馬主でないと難しそうだ!
でも、そういうのって日本人の気質に合わないような気もする。正々堂々と戦ってこその勝負だ! 俺は男だ! 男だぞーーーー!!!
戦術なんぞ、すべて蹴散らして、勝利をもぎ取ってやる!俺は男だ! 男だぞぉーー!!!
まあ自分が出来ることは、日本の馬を応援することくらいだ。あとは、馬券で儲けるだけ。
というわけで、お金を投げ出して感じた凱旋門賞の馬券アプローチを来年のために記してみる。
「凄そうな厩舎が強そうな馬を複数頭出走させてきたら、その厩舎の馬から軸を選ぶ。そういう厩舎が複数存在したら、騎手を含めて総合力の高そうな厩舎を選ぶ」
たとえば、
オブライエン厩舎(アイルランドの名門)
ファーブル厩舎(フランスの名門)
ここ4年ずっと馬券圏内に馬を走らせていたフランスの名門ファーブル厩舎が今年は7着(ニューベイ)、11着(タリスマニック)と圏外に散った。でも、今年はどう見ても、総合力ではオブライエン厩舎だった。でも来年は黙っちゃいまい。それが凱旋門賞7勝の底力だろう。
3歳牝馬が有利と言われているし、単騎参戦の馬が勝てないわけでもないけれど、軸選びは厩舎力が大事な気がする。
そこにデットーリやムーアやスミヨンやシュミノーやギュイヨンといった名手系や日本の馬を加味すればいいのではないか。
ああ〜来年の凱旋門賞が楽しみだ!
とはいえ、日本の馬が出走しなければ馬券は販売されない。今回の結果を受けて、より燃える馬主、気合の入る調教師がいますように〜。
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毎日王冠・注目馬
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12頭立て以下だと4・5・6人気が頑張り、
15頭立て以上だと9・10・11人気が頑張り、
13、14頭立てだと5〜8人気が頑張るのが毎日王冠。
今年は登録14頭。
全馬ゲートインするかはわからないけれど、一応、13、14頭立てと想定してみる。
予想オッズを見ると、
5人気 ロゴタイプ
6人気 ディサイファ
7人気 ウインフルブルーム
8人気 マイネルミラノ
この通りになるかわからないけれど、この4頭の中なら、ウインフルブルームに魅かれる。
東京の1800や1600を、ノーマークで走れるとしぶといのが岡田繁幸氏系の馬のイメージ。今年の重賞で言えば、東京新聞杯を11人気で3着したマイネルアウラートの2番手からの粘り込み。あれだ。
今回、ふつうに考えて、逃げそうな馬はウインフルブルーム、マイネルミラノ、ロゴタイプの3頭。この3頭は逃げなくても競馬はできるし、3頭中2頭が岡田繁幸氏系の馬だとテンションは上がる。
柴田大騎手、丹内騎手には、凱旋門賞で先行したデットーリ、ヘファナンのような競馬でレースを支配して欲しいものだ。おっと、こういうことを書いていたら、岡田繁幸氏がニッポンのオブライエンみたいに思えてきた。チームオーダーはウインフルブルームでお願いします。うは!
で、ウインフルブルームに2着か3着してもらい、Mデムーロ(リアルスティール)とか、戸崎(ルージュバック)とか、ルメール(アンビシャス)とか、川田(ステファノス)とかが、ムーアばりに差す。うむ、完成した!
この作戦でこわいのは、久しぶりにヒストリカルに騎乗する横山の典さん。以前は、追い込み騎乗をしていたけれど、典さんの場合はいつ、脚質転換するかわからない。
アンビシャスのように先行させて!と同馬主の近藤英子氏、同厩舎の音無師からリクエストがあるかもしれない。こうなると俄然、先行勢の緊迫感は増す。今まで同様に追い込みでありますように〜。
毎日王冠
ウインフルブルーム 先行粘り込み
ヒストリカル ぜんぜん人気もなさそうだからヒモで拾う
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京都大賞典・注目馬
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北島のサブちゃんの80歳を祝う「傘寿(さんじゅ)」のキャッチが舞っている。
80ということで、8-10の馬券が売れそうだな。さんじゅだし、サブちゃんだし、3-10を唱える人もいるかもしれない。
傘寿は紫で祝うから「赤・青」という人もいるかもしれない。
いずれにせよ、キタサンブラックが走らないとお祝いにはならない。
ヤマカツライデンが逃げて、2番手にキタサンブラックがつけて、そのままス〜っと回って、キタサンがヤマカツをちょこんと差しておしまい。武豊が番手ならありえそう。