スマートフォン版へ

今年はやっぱり波乱含み!/秋華賞

  • 2016年10月12日(水) 18時00分

■秋華賞(G1・京都芝2000m内)フルゲート18頭/登録22頭


【コース総論】京都芝2000m内 Aコース使用

・コースの要所!

★3番人気以内馬が1着馬の7割近くを占有。基本的に堅め決着のコース。
★内枠の好成績は人気に支えられた結果。実際は中枠もそう差はない。
★中団やや前からの好位差しがベスト。後方からでは3着以内も危うい。





 施行レース数が少ないコースなので、正確性に欠ける部分が出るのは承知の上で、今回は16〜18頭立てのデータを集計対象とした。この条件における平均配当は、単勝1016円、馬連5582円、3連複1万6366円である。もう少し荒れているイメージだったが、実際に人気別成績を見ても、1〜3番人気が他を圧倒。勝ち馬の7割近くを3番人気以内が占めているように、大きく荒れる傾向のコースではない。

 スタンド前から発走して内回りコースをぐるりと1周する形態で、最初の第1コーナーまでの距離は短め。となれば内枠が有利になるもので、勝率・連対率・複勝率のいずれも、内枠である馬番1〜6番がトップとなった。しかし、飛び抜けて平均人気が高いのを考えると過信は禁物で、さすがに外枠はマイナスとなるが、中枠である馬番7〜12番あたりは積極的に狙ってみる価値アリ。そこまで内枠有利と考えないほうがいい。

 脚質面では、先行勢と中団待機組がおおむね互角の成績。勝率や複勝率が「差し>先行」であることから、けっこう差せるコースであるのは間違いない。しかし、上がり最速馬よりも、同2位や3位馬のほうが好成績であることから推測するに、ある程度は前めのポジションが欲しいところ。中団やや前、18頭立てであれば5〜6番手あたりからの好位差しが、もっとも勝ち負けに持ち込みやすいポジションだと思われる。

【レース総論】秋華賞(G1) 過去10年

・レースの要所!

★1着馬に関してはかなり堅いレース。紛れを狙うなら2〜3着のヒモで。
★内枠が好成績も平均人気の高さを考えると当然の結果。過信は禁物。
★中団までの位置を取れるかどうかが超重要。後方からでは届かない。
★馬格のある馬が強いレース。関西所属騎手の好成績も目立っている。








 一昔前は「荒れるG1の代名詞的存在」だった秋華賞だが、近年はいたって平穏。平均配当も、単勝645円、馬連4170円と、2着までに関してはコースデータよりもさらに堅い。もっとも、2013年3着のリラコサージュ(15番人気)や、大波乱となった2008年(11番人気ブラックエンブレム1着、16番人気プロヴィナージュ3着)のように、ときにとんでもない荒れ方をするのがこのレース。穴馬に対する警戒は怠れない。

 ただし、こと1着馬に関しては、素直に人気サイドを信頼したほうがいいはず。3番人気以内[9-4-4-13]と、人気薄で勝ったのは前述のブラックエンブレムだけだ。2〜3着のヒモが紛れるケースのほうが圧倒的に多く、馬券でも狙いやすいはず。7〜9番人気あたりがもっともクサいゾーンだが、ふたケタ人気の超穴馬が3着に激走して高配当──といったケースも、大混戦となりそうな今年は大いにありうる。

 馬番別成績では、コースデータではイマイチだった外枠の好調さが目立つ。連対率や複勝率は、内枠である馬番1〜6番の圧勝だが、平均人気が1.5以上も違うのだから、これは当然の結果。内枠が悪いとは思わないが、強調できるほど成績がいいわけではない。中枠の不振がちょっと不可解も、ゴチャついた展開になりやすいのが影響していると推測。距離損はあるがスムーズに追走できる、外枠のメリットが大きいのかもしれない。

 脚質については、コースデータとおおむね同様の傾向。4コーナー13番手以下から好走した馬も3頭いるが、昨年のクイーンズリングや2013年のスマートレイアーのように、これは地力の高さで何とか持ってきたものだ。ちなみに、7番人気以下で好走した馬は、すべて4コーナー12番手以内。また、最速上がり馬の成績が猛烈に悪いのも、秋華賞の大きな特徴である。後方に置かれる可能性が高い馬は、人気馬でもかなり危なっかしい。

 ローテに関しては、トータル[7-8-4-61]のローズS組だけが目立っている。とくに強いのが「ローズSの1番人気馬」だが、シンハライトは戦線離脱。今年の場合は、「ローズSでひとケタ人気かつ4着以内」というのが、好走条件となりそうだ。これをクリアする登録馬は、カイザーバルとデンコウアンジュの2頭である。それ以外では、前走で牡馬混合戦を使われてきた組の3着率が高いのにも注目。こちらは、ダイワドレッサーが面白い存在といえる。

 あとは、前走馬体重と騎手の騎乗パターンも、予想する上でぜひ考慮したいデータ。秋華賞は、前走馬体重480キロ以上の馬格のある馬が強いレースで、トータル[6-1-3-22]で勝率18.8%と479キロ以下馬を圧倒している。そして騎手だが、関西所属騎手が継続騎乗でも乗り替わりでも「買い」であるのに対して、関東所属騎手はかなりの低空飛行。もう「人気馬しか来ない」くらいに考えたほうがよさそうだ。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 引き続きAコース。良へと回復した月曜日は超・前残り馬場。好天なら前有利。

・天候予測
 週末まで穏やかな気候が続きそうな気配。降雨があったとしても少量だろう。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、キングカメハメハ産駒○、ハーツクライ産駒▲、ヴィクトワールピサ産駒△

 土日と月曜日で激変した、先週の京都芝コース。土日は開幕週らしい高速馬場、かつエアレーション効果で差せるという難解な馬場バイアスだった。そして月曜日に良馬場へと回復すると、差しがまったく決まらないスーパー前残り馬場へとシフト。今週末が土日ともに良馬場となりそうなことを考えると、前有利の前提で考えたほうがいい。

 血統面は、ディープ&キンカメの二大巨頭が強く、それに続くのがハーツクライ産駒という、いかにも芝の中距離「らしい」素直な結果。ヴィクトワールピサ産駒もけっこう強いが、ジュエラーはこの父の仔としてスタンダードとはいえないタイプだけに、そのあたりがどうか。血統面に関しては、イマドキっぽい素軽さのあるベタ良血ならばオッケイという、雑な捉え方で問題なさそうだ。

★出走登録馬・総論×各論

 チェッキーノとシンハライトの戦線離脱と、桜花賞馬ジュエラーがローズSで11着に惨敗したことで、一気に混沌としてきた今年の秋華賞戦線。オークスの3着馬で、前哨戦を快勝してきたビッシュが人気の中心となりそうだが、こちらは秋華賞に直結しないことでおなじみ、紫苑S組。今年から重賞に格上げされたとはいえ、そう簡単に信頼していいものかと、疑心暗鬼になってしまう。

 また、登録馬に「前に行きたいクチ」が非常に多いのも、今年の秋華賞の特徴。ハナを主張したい馬だけでなく、好位〜中団やや前のポジションが欲しいという馬がズラリと並んでおり、コース形態を考えると、前半でかなり厳しいラップが刻まれる可能性がある。さらに馬場バイアスの影響もあるわけで、正直なところ何が起こってもおかしくない──というのが、現段階での印象だ。

 ある程度は波乱含みとみて、トップ評価はカイザーバル。春にもそれなりの結果を残していた馬が、気性面での成長もあり、ローズSで3着に好走してみせた。中団やや前で流れに乗れる脚質で、タメればかなりキレる末脚も使えるタイプ。ここでは馬格もあるほうで、母ダンスインザムードという血統のよさが、ここで発揮される可能性はけっこう高いと思われる。

 二番手評価にデンコウアンジュ。何とも煮え切らない結果が続いているが、前残りの展開を差したローズSの内容は上々の結果で、前が流れてくれそうな展開面もプラス。メジャーエンブレムを一気の脚で差し切ったアルテミスSから1年ぶりに、また上位に食い込めそうなチャンス到来である。かなり乗り難しい馬だけに、内田博ジョッキーの継続騎乗もいい方向に出るはずだ。

 三番手評価にダイワドレッサー。1勝馬ながら、前走のラジオNIKKEI賞では果敢に先行し、ゼーヴィントの2着に食い込んだ。アーバンキッドやブラックスピネルあたりに先着しているというのは、ここでは大威張りできる実績。春にも悪くないレースを続けていた素質馬が、ここで一気に花開くかもしれない。牡馬混合戦での好走実績を評価して、ここはぜひ人気薄での一発を期待したい。

 四番手評価にビッシュ。紫苑Sで見せた強さを考えれば人気になって当然で、絶好調の戸崎ジョッキー騎乗というのも大きな買い材料。人気サイドでもっともアテにできるのは、間違いなくこの馬だ。血統などプロフィル面でプラス評価になった項目も多く、紫苑S組ということ以外は文句なし。「終わってみればやっぱりディープ産駒」という結果に、いかにもなりそうな一戦でもある。

 以下も大混戦だが、ミエノサクシード、クロコスミア、ジュエラー、ヴィブロスという評価の序列。人気薄の激走が期待できそうなので、7〜9番人気や10〜12番人気あたりの穴馬を、積極的に拾っていきたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




東京11レース 毎日王冠(G2)
1着 10ルージュバック
2着 07アンビシャス
3着 01ヒストリカル

……もう調教なんか見ねえ(#^ω^)ビキビキ

稽古の動きや陣営のコメントから「あ、これダメなやつや」と判断し、評価を思いっきり下げたルージュバックが快勝。2着アンビシャス、3着ヒストリカルという完全な前潰れの競馬で、開幕週がいちばん差せるという、エアレーション導入後の東京芝らしい馬場のバイアスでしたね(激痛)。

でもコレなんとなく、天皇賞・秋にはあまり繋がらない結果のような。新潟2歳Sを派手なレース内容で勝った馬みたいなモンで、この結果を額面通りには受け取らないほうがいいと思うんだよなー。ホントに馬場読みゲームになっとるなあ、今の中央競馬。

※コースデータと血統データは2013年12月以降、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング