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二強に割って入る馬は…最終追い切りをチェック!

  • 2016年10月19日(水) 18時00分


春とは馬が変わったミッキーロケット

 秋華賞当日は東京競馬場でオープン型レーシングセミナーというイベントに出演させていただいていましたが、モニターで確認した◎ジュエラーの様子は万全。返し馬では落ち着いていましたし、これなら前に位置してもレースできるだろうというのが、個人的な感触。スタートも決まって、悪くないところからのレースでしたが、やっぱり内枠の分、仕掛けが遅れてしまう展開。最後に脚を使っていますが、内からということもあって、4着が精一杯のレース内容でした。

 前走ローズSの負けで「まだ戻っていない、もしくはもう以前の力は出せない」なんて見方もあっただけに、桜花賞時に匹敵していると思った私としては勝って、それを証明して欲しかったところ。馬券になっていないので「やっぱり戻ってないじゃん」と言われてしまえばそれまでですが、個人的には納得。でもやっぱり悔しいなあ。

 その秋華賞では1番人気ビッシュは惨敗。やっぱり美浦所属馬の美浦調教は勝てません、というより馬券にも絡めません。実は菊花賞でもその傾向は若干あります。ディーマジェスティやウムブルフ。牡馬ですから、ビッシュほどの心配はないと思いますが、それでも初めての関西圏輸送が問題ないとは言えないでしょう。美浦所属馬なら、やっぱりこの馬。それはコラム最後の追い切り特報に書いておきます。

【菊花賞/レッドエルディスト】

 神戸新聞杯は休み明けではありましたが、1週前追い切りをCWでエアスピネルに先着。この動きから、ある程度動ける状態であったことは間違いありません。ただ、最終追い切りを遅い時計にして、仕上がりすぎることを避けた感じ。そういった意味で今回の最終追い切りをどのくらいの内容にしてくるか、非常に興味がありました。

 結論から言えば、時計は自己ベストを更新する4F時計で前走以上。ただ、後半2Fのインパクトは若干薄いといった感じ。もともと末脚の爆発力が魅力でしたが、その良さが少し減っている印象。京都芝外回りでの勝利経験など、ここで強調できる実績はありますが、前走からの「状態上げ幅」は出走馬の中でもさほど高くないと思います。

レッドエルディスト(10月18日撮影)

後半2Fのインパクトは若干薄いレッドエルディスト(10月18日撮影)



【菊花賞/ミッキーロケット】

 18日に坂路小屋から姿を確認した際、まだ薄暗い中でひと際輝く馬体。体調面に関しては、申し分ないといったアピールを見せられました。前走が大きく馬体重を減らしましたが「それまでが滞在競馬だったので、それを考慮すれば、減ったこと自体は全く問題ない」と音無秀孝調教師。この言葉には納得。もしかすると460キロ台がこの馬にとってのベスト体重なのかも知れません。

 最終追い切りはブラックスピネルが相手でしたが、終始手応えは楽。とにかく好調であることをアピールするような動きで、前走が底だとは思えません。むしろ厳しいレースをしたことで何かを得たような感覚もあるだけに、皐月賞時とは全く別馬だと考えた方がよいでしょう。

ミッキーロケット(10月18日撮影)

皐月賞時とは全く別馬だと考えた方がよいミッキーロケット(10月18日撮影)



【菊花賞/カフジプリンス】

 札幌競馬場での2戦を経た後は栗東に戻ってからもトラックでの追い切りしか行っていません。前走の神戸新聞杯はトラック単一調教馬が超苦戦するレースだけに、そこでの4着は高く評価すべきでしょう。そういった意味で菊花賞の舞台替わりは大きな上積みがあると思います。

 ただ、追い切りでは行きたがるところを見せていて、そういった意味での長距離適性はどうでしょう。今回もグランプリアクセルを追いかけて、向正面では少し行きたがる仕草を見せていました。それでも速い全体時計とラストの伸びを見せており、道中が淀みなく流れ、2周目の3コーナーの上りあたりからペースが速くなるような展開なら、この馬の出番もありそうです。

カフジプリンス(10月19日撮影)

追い切りでは行きたがるところを見せていたカフジプリンス(10月19日撮影)



【菊花賞/エアスピネル】

 神戸新聞杯では1週前にレッドエルディストと併せて、もたつく内容に明らかな休み明け感がありました。それでも大きく崩れないのはこの馬のポテンシャルでしょう。今回は距離が3000m、これに対する加点はなくても、ひと叩きしてからの状態に関しては大きな加点をしたいところ。

 まずは1週前追い切り。坂路でしたが、併せ馬で大きく先着して、4F53.0秒、1F12.2秒。最終追い切りはエアカーディナルを追走して、最後は大差の先着。長距離戦を走るにあたって、4F51.1〜3F37.4〜2F24.5〜1F12.3秒と速い時計は不要にも思えますが、この馬にとっては、デイリー杯2歳S時の最終追い切りで4F52.0秒をマークしているように、速い時計が好走パターン。距離の心配はジョッキーに任せて、状態の良さだけで評価してみる手はあると思います。

エアスピネル(10月18日撮影)

ひと叩きしてからの状態に関しては大きな加点をしたいエアスピネル(10月18日撮影)



【菊花賞/ジュンヴァルカン】

 500万下、1000万下を連勝し、秋に備えましたが、予定していた神戸新聞杯は回避。ぶっつけでの菊花賞となりましたが、追い切り本数に関しては申し分ありません。ただ、前走後はこれまで多用していたCWでの追い切りは行っていません。このあたりは両トモを外傷したことを考慮してのことでしょう。まずはこれをどのように考えるか、といったところになりそうです。

 最終追い切りも坂路だろうと思っていましたが、結局はDPでの併せ馬。アドマイヤスターを追いかけて、最後は楽に追いつきそうでしたが、相手も手応え十分で、ゴールを過ぎてからの脚色は完全にアドマイヤ優勢。久しぶりのトラック追い切りもあったと思いますが、この内容を高く評価することはできません。他馬が順調にひと叩きして上昇しているということを考えても、この馬の素質の高さを最大限に評価してもどこまでの印が打てるかといったところ。

ジュンヴァルカン(10月19日撮影)

追い切りは高く評価することはできないジュンヴァルカン(10月19日撮影)



◆次走要注意

・10/15 府中牝馬S【アスカビレン】(7人/4着)

 レース間隔があいたこともあって、追い切り本数が少ない状態での出走。まだまだ上積みがありそうな仕上げで4着という内容は評価すべきでしょう。
 なにより輸送をきっちりこなして、このメンバーでも同じように伸びることができたあたり、十分に重賞やG1でも勝ち負けできることを証明したと思います。

[メモ登録用コメント] [芝]坂路のダブル最速に該当すれば勝ち負け

・10/16 2歳新馬【アカラナータ】(5人/4着)

 パドックを見ていると、人気上位よりも明らかに素質がありそうな馬体。ただ、太目が残っている状態で、ひと叩きした方が動ける仕上がりでした。
 レースでは一瞬見せ場をつくったように、能力は間違いないでしょう。あとは追い切り本数を強化して、絞れてくれば、すぐに勝ち上がることができるはず。

[メモ登録用コメント] [芝]追い切り本数多い調教タイプなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・菊花賞【シュペルミエール】
 兵庫特別後は美浦へ戻らずに栗東に在厩しての調整。中2週ですが、最終追い以前に2本の坂路追い切りを消化しており、滞在効果が明白な追い切り本数。最終追い切りはCWでの併せ馬でしたが、内から前を追い抜いてきっちり先着。
 時計は6F78.0〜5F64.5〜4F51.0〜3F37.4〜1F12.8秒で猛烈に速い時計をマーク。これは滞在しているからこそできる追い切り。2001年マンハッタンカフェ以来の「美浦所属馬栗東滞在」での優勝を目指します。

シュペルミエール(10月19日撮影)

美浦へ戻らずに栗東に在厩して調整しているシュペルミエール(10月19日撮影)



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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