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ジュンヴァルカン、職業病との戦い

  • 2016年10月20日(木) 19時00分


 今週は菊花賞。秋は枠順の取材もこのレースからスタートです。いよいよGIシーズン本番!といった気分にさせられます。サトノダイヤモンドも至極順調とのこと。最後の一冠、距離が長いのはどの馬も一緒ですし、この馬らしい王道の競馬を期待しています。

 絶好調の友道厩舎からはジュンヴァルカンが出走しますね。神戸新聞杯はクモずれのため、大事をとって出走を回避しています。クモずれとは、後ろ脚の球節の下の部分に丸い擦り傷ができてしまう現象のことを言います。



「踏み込みが強すぎるのでクモずれができてしまうんです。蹴り上げる力がホントに凄いんですが、それ故に擦れてしまうんですよ」と担当の平間助手。

 走るが故の傷、とはいえ一度できてしまうと休ませてその部分がしっかり治るのを待つしかない。でも、レースは待ってくれないし、調教を再開すればその“蹴り上げる力"ゆえに再びクモずれを起こしてしまう…。ほんと厄介な職業病なのです。

「少しでもクモずれがひどくならないように、最近はポリや坂路で乗る機会が増えました。物理的にこれらのコースなら角度的に擦り傷が悪化しにくいんです」

 緩さが解消されて身が入ってきた。それ故の職業病とは何とも皮肉ですが、これと付き合っていくことがジュンヴァルカンにとっての大きな課題でもあります。無事、乗り越えて先週のヴィブロスに続くことができるでしょうか。注目です。

 そして、アグネスフォルテ。長浜先生がクラシックへ送り出す最後の1頭となりました。



 長浜厩舎といえば、アグネス一族がクラシックで大活躍しましたよね。オークスを制したアグネスフローラの子供たちであるアグネスフライトが日本ダービーを、アグネスタキオンが皐月賞を優勝しました。ちょうどこの2頭はたくさん取材させていただきました。アグネスの長浜厩舎がなくなってしまう、というのは何ともいえない喪失感がありますが…。これも時代の流れ、ですね。そして、長浜師がその“アグネス"の馬で最後のクラシックを戦うのも深い縁を感じます。坂本助手は「神戸新聞杯を走ったことで、叩かれた上積みがある。追い切りでの動きもよかったし楽しみなんだ」と期待を寄せていました。2010年の菊花賞、7番人気のビッグウィークでアッと言わせましたが、その再来を期待しています。

 ウインフルブルームが19日、コスモビューファームに放牧に出ました。復帰後、3戦を無事に走っただけに疲労も少したまっていたようです。




「北海道は11月まで青草が生えているんですよ。ウインフルブルームも新鮮な青草を食べて、鋭気を養ってほしいですね。疲れをとってリフレッシュするのが目的です」と宮本師。

 復帰の日程はまだ未定とのことでした。あの美しい金髪がターフに帰ってくるのは、来年かも。でも、厩舎でじっくりと乗り込んで無理せず復帰させるのが得意な宮本厩舎です!厩舎の方針を信じていれば、またこの馬らしい走りを見せてくれることでしょう。その日をゆっくり待ってますね。

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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