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まさに菊花賞向きの戦法/菊花賞

  • 2016年10月22日(土) 18時00分


いよいよ完調に近い

 菊花賞3000mの歴史は変わりつつある。最近15年の連対馬30頭うち、春の日本ダービーに出走していた馬は、約半分の17頭にとどまる。これはマイラーに近い中距離タイプが大半になったから、3000mの菊花賞に出走しないトップクラスがいるためで、さして不思議ではない。

 しかし、最近15年間の菊花賞勝ち馬のうち、半数以上の「8頭」は、春の皐月賞や、日本ダービーには出走していない馬である。それらはなにも遅れてデビューし、急成長した新星とは限らない。今年のカフジプリンス(今回が16戦目)ほどではなくても、少しずつ力をつけてタフに丈夫に育ってきた、いわゆる叩き上げタイプも珍しくない。才能あふれる名門の良血馬がチャンピオンの時代であると同時に、その逆のタイプにもチャンスがあるのが、数少なくなりつつある長距離戦の菊花賞ということか。そういう意味では、やはり長距離戦は必要である。

 共同通信杯が6番人気、レコード勝ちの皐月賞が8番人気。素質は評価されていたが、必ずしも順調に育ってきたわけではないディーマジェスティが、この秋はきわめて順調。セントライト記念が9分程度としたら、今度はいよいよ完調に近い。身体のバランスが良くなったように映る。切れるというより、速い脚が長く使えるまくり戦法はまさに菊花賞向きだろう。

 母方は、トリリオン、トリプティク、トレヴなどが代表する凱旋門賞一族。母の父に登場するブライアンズタイムの影響も濃くスタミナに不安はない。初の関西への遠征だが、近年の馬はずっとトレセンにいるわけではなく、輸送は慣れっこである。

 ダービーの内容からサトノダイヤモンド、上がり馬カフジプリンス本線だが、ミッキーロケットウムブルフ。あと、人気急落のエアスピネルも怖い。母方はブライアンズタイムを出したファミリーであり、祖母の半弟エアシャカールが示したように、思われているより底力やスタミナがある。スローの可能性が高いから、ダービー(0秒4差)のような早めのスパートをかければ粘り込みがありえる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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