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レベルが高い牝馬限定戦(山本武志)

  • 2016年10月25日(火) 18時00分


◆注目を集めるサトノダイヤモンドの半妹リナーテ

 6月から現2歳世代による戦いが幕を開け、早くも4か月以上が過ぎた。今までの取材を振り返ってみて、最も取材の過程で「熱かった」新馬戦はどれかと言えば、真っ先に思い浮かぶのが今月10日の京都3R、牝馬限定の芝マイル戦だ。話を聞くたびに感触のよかった馬たちが次から次に、このレースへの参戦を表明した。

 ディープインパクト産駒は4頭。池江厩舎のヴィニーは春先にトレーナーが「GIを勝てば、母が走っていたフランスへ」と海外遠征プランを口にするほど期待していたし、大久保厩舎のダノンディーヴァは早い段階から「これは走る」と高野助手から何度も聞いてきた。非ディープでも「相手は強いけど、この馬も走るよ」と西園調教師が期待していたローズストリートなど、どれだけ食指の動きそうな馬がいたことか。

 しかし、その中心にいつも立っていたのはサトノダイヤモンドの下にあたるステイゴールド産駒のリナーテだった。春先は気性面などを心配していた須貝調教師も夏場に入厩してからは「これはすごい。大事にせなあかん。妙なプレッシャーを感じるわ」と興奮気味に絶賛。確かに併せ馬では常に僚馬を圧倒していた。そして、実際のレースでも好位からの横綱相撲で完勝。今後の動向に非常に注目が集まる1頭と言える。

 さて、前振りは随分と長くなったが、皆さん、牝馬限定戦と聞くと牡馬混合戦に比べ、メンバーが一枚落ちると思っていないだろうか?今回の京都の新馬みたいなことは稀なパターンと思っていないだろうか?最近の2歳戦に関して言えば、それは大きな間違いだ。むしろ、牝馬限定戦の方がメンバーレベルは高いということの方が非常に多い。実は京都開幕週の牝馬限定の芝マイル、昨年の勝ち馬はシンハライトだった。

 例年、10月を過ぎると徐々に暮れのGIを見据えた勢力分布図が出来上がってくるが、最近は早い時期に有力馬と思える馬に牝馬が多い。その要因を特定することは難しいが、個人的には入厩前の牧場での育成技術が向上したことにより、仕上がりやすい牝馬が早い時期に結果を残しているのではないかと感じている。今年もヴゼットジョリーが新潟2歳Sで、レーヌミノルが小倉2歳Sで牡馬たちを圧倒している。

 実は先週の新馬に牡馬の期待馬を送り出した某調教師から、こんな言葉を聞いた。「牡馬はまだこれといって、飛び抜けた馬はいないだろう。牝馬はあの池江厩舎の馬が強いとは思うけどね」。その池江厩舎の馬とは9月の阪神開催での初陣で持ったままの圧勝劇を演じたフランケル産駒のミスエルテだ。あの新馬戦(9月24日、阪神)も実は牝馬限定で、距離も来春に行われる桜花賞と同じマイルだった。

 先週22日には東京の芝マイル、牝馬限定でディープ産駒のレッドルチアとアルミレーナが後続を3馬身半突き放すレベルの高い叩き合いを演じた。この2頭は今後も要注目だろう。来月13日に行われる京都の芝マイル、牝馬限定の新馬には須貝厩舎でルメールJが騎乗予定のエレクトロニカ(父ディープインパクト)など素質馬が続々と名乗りを挙げている。今後も牝馬限定、特に芝マイルの新馬からは目が離せない。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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