あとは、運があるか、ないか
運の強い人と運の弱い人とがある。運の強い人には、強い守護神がついていると説く人がいるが、それだけではないようだ。運を味方に引き入れる強い力を持っているとも考えられる。また、運命は、志のあるものを導き、志のなきものを引きずっていくとも言われている。こうしたい、こうなりたいという強い思い、それが強い力になるということか。
サトノダイヤモンドにするか、ディーマジェスティにするか、二者択一を迫まられた今年の菊花賞で、どちらかにするか、或いは2頭とも1、2着のどちらかにはくると考えるかと、迷わされた。以前なら、菊花賞は3000米を走るのだから血統に比重をおいてとブライアンズタイムをさがしたものだった。母父にそれがいるディーマジェスティならと決めたところだったが、どうしても気になったのがディープインパクトで、そろそろ菊花賞を勝つ時期ではないか。これが3000米初めての勝利なら、他も初勝利をさがした方が面白い。よく、こんなことが起るのが競馬ではないか、それを考えることにしよう。この時点で、ディーマジェスティではなく、サトノダイヤモンドになっていた。
日本のクラシック初制覇をかなえたいクリストフ・ルメール騎手。しかも、外国人騎手の菊花賞優勝は初めてになるし、さらには、里見オーナーはクラシックのみならず、GIレースも勝てば初めてになる。こんな初ものづくしはないではないかと、もう思いはその一点に集中してしまった。
これは、志と言うほどのものではないが、こうあるだろう、こうあってほしいという強い思いがそこに生まれていたとは言える。あとは、ルメール騎手がどう戦うかを想像すればいいだけだ。相手には、他のディープインパクトに、好きなステイゴールド、ゼンノロブロイ、それにキングカメハメハでいい、その子供たちのうちのどれかが来てくれればいいと、決めるのは早かった。長丁場のレースは、いつもこんな風だ。この考え方に運が向くかどうかだけ。そこに持っていく強い思いがあればそれでいいと、いつもやっていることではある。なんの根拠もないストーリーを組み立てるのも、たまにはいい。あとは、運があるか、ないかだけ。