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皐月賞向きの先行力が感じられるロードアルバータ

  • 2016年10月26日(水) 12時00分
エリティエール(牝 美浦・大竹正博 父ディープインパクト、母ジンジャーパンチ)
 牝馬ながら毎日王冠(GII)など3つの重賞を制し、天皇賞・秋(GI)でも高い支持を集めるルージュバック(父マンハッタンカフェ)の4分の3妹。母ジンジャーパンチはブリーダーズCディスタフ(米G1・ダ9f)をはじめG1を6勝、通算22戦12勝という成績を残し、米古牝馬チャンピオンに輝いた名牝。母の父Awesome AgainはブリーダーズCクラシック(米G1・ダ10f)の勝ち馬で、種牡馬としてはジンジャーパンチのほかにGhostzapper(米年度代表馬)、Game on Dude(米GIを8勝)など多くの名馬を送り出している。母はフィジカルな能力に秀でたアメリカ血統でありながら、パワー一辺倒ではなく芝に対応可能な血も抱えている。マンハッタンカフェとの交配で芝向きの切れるタイプが出たのはそれが理由だろう。本馬の全兄ケイブルグラムは510kg台の大型馬で、ダート長距離を得意とし、芝向きの切れ味はまったく感じられない。本馬は牝馬であり、なおかつコンパクトな馬体なので、兄とは異なりルージュバックのような素軽さが前面に出てくる可能性がある。芝適性があれば楽しみ。

ポポカテペトル(牡 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母ミスパスカリ)
 スプリングS(GII)を勝ったマウントロブソンの全弟。母ミスパスカリはマーメイドS(G3)3着、愛知杯(G3)4着馬で、クロフネの半妹にあたる良血。マウントロブソン以外はこれといった馬は出しておらず、その全兄ハワイアンソルトはダートで2勝を挙げるにとどまり、キングカメハメハを父に持つ半姉スノーグースは未勝利のまま引退している。母の父Mr.Greeleyは仕上がりの早さやダート向きの単調なスピードを伝える血なので、これが強く主張してしまうとダート向きの産駒が出るのだと思われる。マウントロブソンの場合、父ディープインパクトの影響が強かったため芝中距離の重賞を勝ったのだろう。配合構成は若葉S(OP)を勝ったアドマイヤダイオウとよく似ている。ハワイアンソルトではなくマウントロブソンに資質が似ているようならおもしろい。

メイショウミハル(牝 栗東・藤岡健一 父ダイワメジャー、母アルペンローズ)
 アルゼンチン共和国杯(GII)2着、ダイヤモンドS(GIII)3着などの成績があるメイショウカドマツの全妹、準OPまで出世したメイショウドナリオ(父タイキシャトル)の半妹にあたる。母アルペンローズは未勝利馬だが、2代母Amizetteは本邦輸入種牡馬トワイニングの全妹にあたり、3代母Courtly DeeはGreen Desert、ヤマニンパラダイス、アンブロジン、Bertoliniなどの2代母で、現代の血統に大きな影響を及ぼしている名牝。全兄メイショウカドマツは母の父Kris S.のスタミナを強く受けているため、スピードタイプのダイワメジャー産駒にしては例外的にスタミナに秀でていた。本馬は牝馬なので兄ほどのスタミナはなく、おそらくマイルから2000mあたりで本領を発揮するだろう。

レーヌジャルダン(牝 美浦・高柳瑞樹 父ディープインパクト、母クィーンスプマンテ)
 母クィーンスプマンテは09年のエリザベス女王杯(GI)を11番人気で逃げ切った。2番手追走のテイエムプリキュアと、2頭で後続を20馬身近く引き離す大逃げを打ち、ブエナビスタ以下を抑えて逃げ切ったレースは印象深い。2代母センボンザクラは準OPで活躍した馬で、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」のニックスから誕生した。Hyperionの影響を強く受けており、半姉ディアスプマンテ(父ヴィクトワールピサ)はダート向きに出ているが、本馬は父ディープインパクトなので芝でもやれるだろう。母方の重厚さと父の素軽さが上手くマッチすればおもしろい。オークス向き。

ロードアルバータ(牡 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母レディアルバローザ)
 クイーンS(GIII)を勝ったキャトルフィーユの4分の3同血(父が同じで母同士が親子)。母レディアルバローザは中山牝馬S(G3)を連覇したほかヴィクトリアマイル(G1)でも3着と健闘しており、その全妹エンジェルフェイスはフラワーC(GIII)を勝っている。近親がどんどん重賞を勝っているようにきわめて活力のある一族だ。2代母ワンフォーローズは北米で27戦15勝、カナダ最優秀古牝馬に3回選ばれた名牝。本馬を生産したケイアイファームが約1億円で購買し、日本に連れてきた。瞬発力よりも持続力に特長があり、本馬も4分の3同血のキャトルフィーユと同じく好位から抜け出すタイプの競走馬になりそうだ。「ディープインパクト×キングカメハメハ」の組み合わせはデニムアンドルビーをはじめ成功例が多い。皐月賞に向いたタイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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