エイシンヒカリは緩急の変化にフィットできるか/トレセン発秘話
◆そう簡単にはいかない東京2000という難コース
坂路小屋で記者同士が天皇賞・秋のメンバーを見ながら、ああでもない、こうでもないと話し合っていると、音無調教師から貴重なご意見が…。
「おいおい、今週から東京競馬場はBコースに替わるんやで。内側は走りやすい馬場になるはずやし、先週とは傾向も変わってくる。ちゃんとそのあたりも考えとるか?」
秋天ウイークにA→Bコースに替わるのは今に始まったことではないが、3メートル外にラチを移すことで、先週とは伸びる部分が変わることは十分あり得る。確かにそこも頭に入れて馬券検討をしなければいけないのかもしれない。
普通に考えれば、内の馬場の悪い部分が消えて、先行馬が残りやすくなる、というのがその答えだが…。そう簡単にはいかないのが東京2000メートルという難コース。エイシンヒカリの武豊も「どうしてもスタート直後が速くなってしまうので、天皇賞・秋は逃げ切りが難しい」とその難易度を嘆いていた。
1987年ニッポーテイオー以来ないという秋天の逃げ切りVに、近年、最も近づいたのは2008年ハナ差2着のダイワスカーレットだった。
「スタートしてすぐカーブになる形状だから、逃げ馬が外枠に入ったら内の馬を邪魔しないように余分に外を通って前に行かないといけないし、内の馬はわれ先にと皆が前に行こうとする。で、向正面に入ったら急にラップが緩むから、そこでうまく息を入れて走れないとダメ。そのあたりが東京2000メートルで逃げ切りを狙うための難しさなんでしょう。(ダイワ)スカーレットはうまく息を入れてゆったりと走ることができる馬でしたから」とは同馬を管理していた松田調教師だ。
坂口調教師いわく、「逃げた方が一番力を出せる」エイシンヒカリだが、行った場合、果たしてそういう緩急の変化にうまくフィットして、折り合うことができるのか…今年の秋天のキーポイントになるだろう。(栗東の坂路野郎・高岡功)