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強い2歳馬を輩出し続けるホッカイドウ競馬の2歳重賞/北海道2歳優駿

  • 2016年10月31日(月) 18時00分


ホッカイドウ競馬の2歳重賞の集大成


 ダート戦線で強い2歳馬を輩出し続けているホッカイドウ競馬。馬産地の競馬場・門別競馬場では毎年4月、全国で最初にその年の2歳新馬戦がスタート。シーズンを通しても2歳戦の割合が高いのが特徴です。そんなホッカイドウ競馬の2歳重賞の集大成が11月1日(火)に行われる『第43回北海道2歳優駿』。

 これから厳しい寒さを迎え雪に覆われる北海道。間もなくホッカイドウ競馬は冬休みに入ります。今季の開催を終えるとJRAや、南関東競馬など各地の地方競馬に移籍する馬も多く、出身馬たちは全国に活躍の場を広げることになります。

 ここで、北海道2歳優駿で戦ったのち南関東競馬で活躍したトップサバトンとアンパサンドが1、2着となった2006年のレースを振り返りましょう。

 1番人気は前走のコスモス賞(5着)から初めてのダート戦に挑むJRAのミスティックベル。2番人気は父インディアンチャーリーの外国産馬で、ダートの未勝利戦を勝ち上がったワイルドイリーガル。3番人気は叔父にオグリキャップがいる血統でプラタナス賞(東京・500万下)を勝ったアプローズヒーローと、上位人気をJRA勢が占めていました。対する地元ホッカイドウ競馬勢は4番人気が前走・サンライズCを逃げ切ったヒデサンジュニア。トップサバトンは7番人気、アンパサンドは9番人気という低評価でした。

 この年は札幌競馬場の1700mで行われた北海道2歳優駿。タカラタロウ、ワイルドイリーガルが前に行き、ミスティックベル、アンパサンドも前方。中団にトップサバトン。アプローズヒーローは後方からの競馬。3、4コーナーを回り徐々に進出したアンパサンドが直線で一旦先頭に立ちましたが、中団から差してきたトップサバトンが上がり39秒1の脚を使って4馬身差の勝利。前方で粘ったアンパサンドとミスティックベルが2、3着。後方から伸びたアプローズヒーローが4着。人気薄だった2頭が1、2着となったため3連単48万6880円という大きな配当になりました。

 年が明けて2007年。波乱を演出した2頭、トップサバトンは船橋競馬、アンパサンドは川崎競馬にそれぞれ移籍。南関東クラシック戦線の前哨戦・3月の京浜盃でトップサバトンが勝利を挙げ、アンパサンドが2着。北海道2歳優駿そのままのワンツーとなり、ホッカイドウ競馬出身馬の能力の高さを見せつけました。

 続く南関東クラシック1冠目の羽田盃は船橋のフリオーソが1番人気。トップサバトン、アンパサンド、フリオーソの3頭が直線で壮絶な叩き合いを演じ、トップサバトン1着。アタマ差2着はアンパサンド、クビ差3着はフリオーソ。実に見応えのある3強の名勝負でした。

羽田盃はトップサバトンが激戦を制した(撮影:高橋正和)


 2冠目は6月の東京ダービー。直線で早め先頭に立ったアンパサンドが追い上げてきたフリオーソをクビ差しのいで勝利。アンパサンドがついに大きな舞台で栄冠を手にしました。

 南関東クラシック3冠最終戦、7月のジャパンダートダービーを制したのはフリオーソ。2007年の3冠は羽田盃・トップサバトン、東京ダービー・アンパサンド、ジャパンダートダービー・フリオーソと、3強がひとつずつ勝利する形になりました。厳しいレースを戦い抜いた3頭。それぞれが名勝負で、今でも忘れられない戦いです。

ジャパンダートダービーはフリオーソが勝利した(撮影:高橋正和)


 さあ、それでは今年のメンバーをご紹介していきましょう。

2戦ともに圧勝のエピカリスが中心


 JRAからは4頭。その中でもデビューから2戦2勝のエピカリスが人気を集めそう。新潟のダート1800mでデビュー。内からさっと先頭に立つとそのまま6馬身差の快勝。2戦目のプラタナス賞(東京1600m・500万下)は芝からのスタートで出遅れ。後方からの競馬になりましたが道中徐々に進出、直線で外に出して他馬を突き放し、これまた7馬身差の圧勝。奇しくも差す競馬も経験し、舞台や条件を問わず力を出せる能力の片鱗を見せてくれました。初めての地方競馬への遠征、初めてのナイター競馬ですが、きちんと走ってくれるに違いありません。

ここまで圧勝で2戦2勝のエピカリスが人気を集めそう(撮影:下野雄規)


 ビービーガウディは芝で2戦したのちダートに矛先を変え、未勝利戦(中山1800m)を勝ち上がりました。重馬場で出遅れて後方からの競馬となりましたが、向正面からじわじわと押し上げ直線では3番手。ゴール前の激しい叩き合いを制してクビ差の勝利。勝負根性があるところを見せてくれました。3歳時、アメリカの重賞戦線に挑戦した父カジノドライヴに似た、栗毛で流星の美しい風貌にも注目。

 トミケンカリムは新馬戦(中山ダート1800m)を勝ったばかり。2番手から向正面で先頭に立つと、そのままコーナーを回り、粘ってゴール。2009年のアメリカ・ベルモントSなどを制したサマーバード産駒。サマーバードは2011年にアメリカで種牡馬入りしたのち2013年からは日本に移動。日本軽種馬協会静内種馬場で供用を開始しましたが、その年の暮れに7歳という若さで残念ながら病死。2014年生まれの子供たちが忘れ形見となりました。母父もプルピットという典型的なアメリカ血統。ダート戦線での活躍に期待です。

デビュー戦を制して臨むサマーバード産駒・トミケンカリム(撮影:下野雄規)


 メンバー中唯一の牝馬、ララベスラーナ。1000m戦で2敗したのち、札幌の1700mに距離を延長して初勝利を収めました。父はスプリンターズSやマイルCSを制したデュランダル。さらに距離が伸びた1800mがどうでしょうか。

 ホッカイドウ競馬勢からは前走サンライズC組を挙げましょう。不良馬場で行われたレース。1番人気のヒガシウィルウィンが直線で馬群を捌いて抜け出し、さらに外から伸びてきたスウィフトハートとゴール前では馬体を併せての追い比べ。ヒガシウィルウィンが人気に応えて勝利。スウィフトハートはハナ差2着。ヒガシウィルウィンはデビューから[3-4-0-0]と連対率100%。一方スウィフトハートも[2-2-2-0]と常に馬券圏内に好走。甲乙付けがたい2頭です。さらに2番人気で5着に敗れたバンドオンザランは、6月の栄冠賞、9月のイノセントCを制しており、今回十分に巻き返し可能です。

サンライズCはヒガシウィルウィン(左)が制した。右は2着スウィフトハート(撮影:田中哲実)


 先述したトップサバトン、アンパサンドを始め、多くの活躍馬を出している北海道2歳優駿。昨年の勝ち馬タイニーダンサーはJRAに移籍したのち関東オークスを制覇。2013年のハッピースプリントはその年の全日本2歳優駿を制覇。さらに大井に移籍したのち羽田盃と東京ダービーを制し南関東競馬2冠馬に輝きました。12月の全日本2歳優駿はもちろん、来年のダートクラシック戦線へも繋がっていく見逃せない戦い。素質馬たちの未来を占う、北海道2歳優駿にご注目ください。

※次回の更新は11月2日(水)の18時。川崎競馬場で行われる「JBC」3競走のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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