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大井の帝王・的場文男騎手との対談にまつわる質問特集!

  • 2016年11月01日(火) 18時01分
小牧太

今回は8月に掲載した的場騎手との対談にまつわる質問をピックアップ!


少々時間が経ってしまいましたが、今回は8月に掲載した的場騎手との対談にまつわる質問をピックアップ。それに答える形で、ベテランならではの騎乗論を余すところなく語ってくれました。また、小牧騎手が理想とするフォームとして、あの外国人ジョッキーの名が!
(取材・文/不破由妃子)


何年乗ったところで“完成”っていうのはないと思う

──8月に的場文男さんとの対談を掲載しましたが、今回はその対談にまつわる質問を2つほど紹介させていただきます。まずは「的場騎手との対談を興味深く拝見しました。騎手はどこまででも上手くなれるという的場騎手の言葉がありましたが、ベテランになっても、まだ進化していると実感されることはありますか? 実際、乗り方を変えてみたりしているのでしょうか?」というものです。

小牧 いや、基本の乗り方を変えたりはしてないけど、ベテランなりに、馬によって毎レース乗り方も変えてるんでね。いろいろな馬に乗ってきたぶん、「今回、この馬はこうしたほうがいいんじゃないか」とか、そういう読みはベテランのほうが当たったりするからね。その感覚に従って、その都度、変えているところはあるけど。

──たとえば、馬によって鐙の長さを微妙に変えたりだとか?

小牧 そうやね。この馬はちょっとズブいから、人間がバテないように何センチか伸ばしておこうかとか。あとは、体調なのか何なのかわからんけど、今日はどうも右が長いな…とか、感覚的に違和感を感じることもある。僕はできるだけ同じ長さで乗るようにしてるけど、そんな感じで、ちょっと短くしてみたり、逆にちょっと長くしてみたりはあるね。

──ズブい馬の場合は、鐙を伸ばすんですね。

小牧 いや、本当はね、自分の長さで乗るのが一番いいんやけどね。短いとそれだけバランスを取るのが難しくなるし、体の動きにも制限が出る。ズブい馬の場合、先に人間側がバテてしまったら、その時点でアウトやから。だから、体の動きやすさを考えて、長めに設定したりすることはあるよ、

──小牧さんの場合、あくまで馬に合わせてということですが、馬のタイプに関係なく、“今日はこういう乗り方を試してみようかな”とか、そういう変化を投じることはあるんですか? たとえば、手綱の持つ位置を変えてみたりとか。

小牧 手綱の持つ位置を変えることはあるけど、僕の場合は、それもやっぱり馬に合わせてやね。僕はね、あんまり騎乗フォームはいじってない。なんせ30年も乗ってるからね。そう簡単に変わるものではないし、今から変えようとしたら逆におかしくなる。

──振り返ってみて、何歳くらいのときに今の小牧さんのフォームが完成したんですか?

小牧 いや、完成というより、固まってしまったんやね、これで(笑)。正解がない世界やから、何年乗ったところで完成っていうのはないと思う。ただ、中央に移籍してから変わったところはあるやろうね。地方のときは、もっとガブって乗ってたんじゃないかな。なんせ中央に比べるとスピードが遅かったから。あと、変化といえば、鐙の力が掛かる位置。僕はできるだけ親指で踏もうと思って乗ってるんやけど、最近はちょっと深くなってきているみたい。靴屋さんに言われたわ。

──なるほど。靴底の減り具合でわかるんですね。

小牧 そうそう。でも、いまだに先っちょで乗るようにはしてるよ。たまにゲートで当たったりして、足が奥に入ってしまうことがあるけど、そうなるともう乗れん。逆に無理やわ。そういうときは気になって仕方がないから、道中必死になって直してるで。基本はやっぱり親指やね。僕はそれが乗りやすい。

──続いては、「的場騎手との対談で、『最初は先輩の真似をすることから入った』とおふたりでおっしゃっていましたが、今でもいいなと思うジョッキーの乗り方を真似してみたりすることはあるんですか?」。

小牧 最近、真似をすることはないなぁ。ただ、ほかのジョッキーの騎乗はよく見てるよ。最近でいうとモレイラとか。ペターッと乗ってましたやん。

──彼のフォームは、ものすごく低いですよね。

小牧 ねぇ。“ああいう乗り方はできんやろうなぁ”と思いながら、よう見てましたわ。

──この質問の続きで、「タイプの違いもあるかと思いますが、自分には真似できないと思うジョッキーは誰ですか?」ということなのですが、それがモレイラ?

小牧 そうやね。彼は本当にキレイに乗る。馬に張り付いてる感じやもんね。何がいいのか答えはないけど、ただ、見た目がキレイやし、僕はやっぱり豊くんやモレイラのような騎乗が理想やね。
小牧太

僕はやっぱり豊くんやモレイラのような騎乗が理想やね

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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