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チョイ荒れ決着を狙い打つべし!/エリザベス女王杯

  • 2016年11月10日(木) 12時00分

■エリザベス女王杯(G1・京都芝2200m外)フルゲート18頭/登録16頭


【特注データ】〜レースデータより〜


 牝馬限定G1の「基本」でもあるのが、牝馬限定戦を使われてきた組より、牡馬との混合戦を使われてきた組のほうがアツいということ。昨年連対したマリアライトとヌーヴォレコルト、一昨年の勝ち馬ラキシスなど、この組が毎年のように馬券絡みを果たしている。

 なかでも注目すべきは、前走牡馬混合の重賞に使われていた馬。トータル[3-5-1-12]で複勝率42.9%、複勝回収率232%と、その期待値は猛烈に高い。また、前走で牝馬限定戦に出走していた組は、前走で「4番人気以内」に推されているのが望ましい。前走5番人気以下から勝った馬もいるにはいるが、複勝率わずか3.3%で複勝回収率10%ならば、消すのが正解だ。

【コース総論】京都芝2200m外 Bコース使用

・コースの要所!

★人気馬が強く人気薄が弱い傾向あり。回収率が高いのも人気サイドだ。
★コースは完全に内枠有利も、現在の京都は外差し優勢の馬場バイアス。
★直線の長い外回りコースだが先行勢の健闘が目立つ。追い込みは不振。





 スタンド前からスタートして、外回りコースをぐるりと1周。最初のコーナー進入までも距離も十分で、最後の直線も約400mと長いという、いかにも展開的な紛れがなさそうなコース形態である。人気馬が能力をキッチリ発揮できるのは当然で、基本的には「荒れづらい」コースだ。

 人気別成績も、紛れがないコースであるのを裏付けている。1番人気は勝率、連対率、複勝率のいずれも優秀で、複勝回収率も97%と「破格」の高さ。1着馬の73.8%までを3番人気以内が占めており、対照的に7番人気以下で勝った馬はたったの3頭と、人気薄を1着で狙うのはかなり難しい。高配当を狙うにしても、上位人気から流したほうがベターだ。

 枠番に関してはハッキリと内枠有利。内枠である馬番1〜6番は、勝率9.2%、連対率17.6%と、中枠や外枠とは比較にならないほどの高信頼度である。枠番値や内外比較データからも内が有利であるのは明白だが、問題は現在の京都が、外から差す馬が伸びる馬場バイアスであること。内枠の有利さが、馬場バイアスで相殺される可能性も高い。

 脚質に関しては、「差せそうなコースだが意外に差せない」という傾向が見受けられる。中団待機組もソコソコは差してくるが、連対する確率が最も高いのは先行勢。追い込み勢の不振も目立っており、そう簡単に差せるとは思わないほうがいい。最後の直線が平坦である影響は、イメージ以上に大きいのである。

【レース総論】エリザベス女王杯(G1) 過去10年

・レースの要所!

★1番人気の信頼度は高いが惜敗も多い。中穴の1着狙いに妙味アリ。
★馬番別成績はコースデータと真逆。荒れた馬場の影響も大きそう。
★3〜4歳の若い馬が圧倒的優勢。5歳馬ですらデータ的には割引か。







 平均配当は単勝1785円、馬連1万1760円、3連複1万9992円という高さだが、これは大波乱となった2009年の「一発」で大幅に引き上げられたもの。とはいえ、1番人気は[2-4-2-2]と2〜3着に取りこぼすケースが多く、4〜6番人気が好成績を残しているように、波乱傾向は決して弱くはない。中穴を1着で狙うような馬券は、とくにオススメだ。

 コースデータと真逆な結果が出ているのが馬番別成績で、内枠である馬番1〜6番が連対率、複勝率のいずれも低迷。逆に、信頼度が最も高いのは外枠である馬番13〜18番で、平均人気の差を考えるとコレは大健闘である。馬場が荒れ始める時期に開催されているのも、大きく影響してそうだ。

 この「馬場」による影響は、脚質別成績にも感じられる。先行勢と中団待機組の成績差がコースデータよりも小さくなっており、馬券に絡んだ回数はほぼ互角。ただし、後方に置かれてしまうと非常に厳しく、4コーナー通過13番手以下からでは、ほぼノーチャンスだ。最速上がり馬よりも上がり2位の馬のほうが強いことから、好位やや後ろ〜中団やや前あたりが、ベストポジションだと思われる。

 そして、このレースでかなり重視したいのが年齢別成績だ。5勝9連対を挙げている3歳馬を筆頭に若い馬が強く、逆に6歳以上馬はかなりの不振。通常のレースであれば割引材料にならない5歳馬でさえ、トータル[2-3-0-42]で複勝率10.6%とイマイチなのである。馬券の主軸に据えるべきなのは、間違いなく4歳以下馬。ここ3年の3着以内馬は、すべて4歳以下である。

 あとは、関西圏のレースでありながら、関西所属ジョッキーの成績が振るわないのも、このレースの特徴。また、G1でもあり鞍上の乗り替わりは大幅マイナス。トータル[3-2-2-63]と、それなりに馬券に絡んでいるイメージだが、このうち2勝が外国馬スノーフェアリーでのムーア騎手で、1勝2連対がルメール騎手と、好走馬のほとんどが外国人ジョッキー騎乗馬。日本人騎手への乗り替わりは、かなりの割引材料となる。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 Bコース継続。差し優勢のバイアスがどんどん加速している点に注意。

・天候予測
 土日ともに好天に恵まれそう。良馬場前提の予想で何の問題もなし。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、ステイゴールド産駒▲

 ここまでの解説中でも述べたが、現在の京都芝はハッキリと差し優勢。先週の日曜日などは、後方から追い込んで3着以内に好走した馬もかなり多かった。最終レースはエイシンティンクルが逃げ切ったが、展開的には完全な「恵まれ」。中団から差せる馬にアタマを決め打ってもいいほど、外からの差しが届く状況下にある。

 種牡馬別では、複勝率41.3%をマークしたディープインパクト産駒が断然。その適性の高さがハンパではないのは、勝率の高さや回収率の高さからも見てとれる。ハーツクライ産駒も優秀な成績だが、こちらは1着5回に対して2着14回と詰めが甘く、ディープ産駒のキレ味に屈しているケースが多い様子。あとは、爆発力が非常に高いステイゴールド産駒も、プラス評価の対象としたい。

★出走登録馬・総論×各論

 牡馬を相手に結果を出し続けてきた女傑マリアライトと、牝馬相手にじつに安定感のある成績を残している女王ミッキークイーン。実績で他を大きく引き離すこの2頭が、勢いに乗る3歳馬パールコードや、府中牝馬Sを快勝したクイーンズリングなどを相手に、どのようなレースをするかに注目が集まる。netkeiba.comでの予想オッズからも、この2頭による勝負との見方が強いようだ。

 とはいえ、ミッキークイーンはヴィクトリアマイルから中25週と、過去に好走例のない出走パターン。また、マリアライトもオールカマーで5着に終わり、鞍上の蛯名ジョッキーが「何か妙に大人しくなっている」という気がかりなコメントを残すなど、どうも盤石とは言いがたい雰囲気である。

 ウインプリメーラの回避により、おそらく15頭立てとなりそうな今年のエリザベス女王杯。トップ評価は、3歳馬パールコードだ。実績面では「明らかに」見劣る存在ながら、秋華賞2着からの出走という臨戦過程など強調材料も多く、決して侮れない。立ち回りの上手さや京都芝での実績もプラスで、思いきって狙ってみる価値アリと判断した。

 二番手評価にタッチングスピーチ。ムーア騎手が騎乗予定というだけで過剰に人気しそうだが、昨年のこのレースでマリアライトにクビ、ハナ差の3着という実績からも、軽くは扱えない存在。宝塚記念以来の中19週などマイナス材料もあるが、いかにもディープ産駒らしいキレ味は、やはり大きな魅力だ。

 三番手評価にマリアライト。蛯名ジョッキーのコメントが気がかりなのは事実だが、昨年の覇者であり、その前走にしてもゴールドアクターから0秒3差。単に叩き良化型なだけという可能性もあり、また数少ない特注データのプラス評価馬でもあるわけで、なんだかんだで上位には食い込んできそうだ。ただし、過信は禁物と見たい。

 四番手評価にミッキークイーン。こちらの懸念材料はとにかく「仕上がり」に尽きる。順調に前哨戦を使えていれば、文句なしにトップ評価だったプロフィルの持ち主。中団から鋭い脚を確実に使えるその脚質も、現在の馬場にはピッタリだ。走れるデキにあると見るならば、ここから入るのも当然アリだろう。

 以下は、クイーンズリング、シュンドルボン、ヒルノマテーラという評価順。データ面からはコレという穴馬が見当たらず、大波乱はなくソコソコ順当に決着するという見立てだ。上位人気をどのように組み合わせて狙うかという、買い目の構築力が求められそうな一戦。チョイ荒れ狙いを基本スタンスに、直前まで悩みまくりたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧



東京11レース アルゼンチン共和国杯(G2)
1着 11シュヴァルグラン
2着 05アルバート
3着 13ヴォルシェーブ

相手の3頭で決まりかけて焦った(#^ω^)ビキビキ

トップ評価だったハギノハイブリッドが回避して、二番手評価だったシュヴァルグランがトップに繰り上がり。そこから素直に買えばいいものを、穴馬が買いたくなってしまうんだから仕方がない(病気)。結果、レース傾向通りに「2〜4番人気」が上位を独占。でも……2番人気の単勝なんて、アタイ今さら買えないッ!

※コースデータと血統データは2010年以降、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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