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当歳セールの充実ぶりが目立つ「タタソールズ・ディセンバーセール」

  • 2016年11月16日(水) 12時00分


繁殖牝馬の品揃えが良いことでも有名


 11月21日から12月1日まで、英国のニューマーケットで行われる「タタソールズ・ディセンバーセール」のカタログが完成した。

 まずは、よく訊かれる素朴な疑問にお答えしよう。今年の日程だと最終日のみが12月で、実際にセールが行われるのは11月なのに、なぜ「ディセンバーセール」と呼ばれているのか。

 もともとは12月1週目に、繁殖牝馬を中心に行われていたのがディセンバーセールだったが、ある時期から、当歳馬や1歳馬の上場頭数が拡大。ディセンバーセールそのものの規模が大きくなり、開催日程が延びることになった。そこで問題となったのが、西洋人にとっては1年で最も大切な行事であるクリスマスの存在で、ディセンバーという大きな市場が開かれ、馬の移動や決算など、セール後の様々な処理をすべて終えた上で、すっきりとした気持ちでクリスマスを迎えたいというのが、誰もが思うことだった。日程を後ろに延長しては、クリスマスまでの日数が足りなくなってしまうため、日程を前に伸ばした結果、年によってはセールの大半が11月に行われるようになったとのことだ。

 さて、ディセンバーセールと言えば、繁殖牝馬の品揃えが良いことで有名で、例えばエイシンフラッシュの母ムーンレディ、ジェンティルドンナの母ドナブリーニ、最近ではビッグアーサーの母シヤボナらが、この市場で購買されて日本へ渡り、一流馬の母となっている。

 だが、ここ最近目立つのが、当歳セールの充実ぶりで、今年の当歳セッション(11月23日〜26日)も、牝馬セッション並みとまではいかなくとも、これにかなり近い水準の品揃えとなっている。

 まずは何といっても、初年度産駒がヨーロッパでも日本でも大活躍しているフランケルの産駒が、5頭もラインアップされているのが話題だ。

 中でも、英オークス勝ち馬タレントの半妹にあたる上場番号950の牝馬や、独オークス馬ペネロパの半弟となる上場番号993番の牡馬などは、これらを巡って秋のイヤリングセールで見られるような激しい争奪戦が展開されてもおかしくはない好素材である。欧米はもちろんこと、豪州、中東、南アフリカでも活躍馬が出ているドゥバウィの産駒も4頭が上場予定で、こちらも、上場番号1008番の牝馬は、G1香港カップ勝ち馬アキードモフィードの全妹だし、上場番号1017番の牡馬は、母が英千ギニー・愛千ギニーを含むG1・3勝馬フィンスケールビオと、相当の高値がついておかしくない逸材が揃っている。

 この他、父オアシスドリーム、母がG1CCAオークスやG1アラバマSを制したジョッスルという上場番号878番の牡馬。父がドーンアプローチで、G1愛ダービー勝ち馬トレイディングレザーの半弟にあたる上場番号907番の牡馬。父がシーザスターズで、G1カナディアン国際勝ち馬キャンノックチェイスの半妹にあたる上場番号914番の牝馬。同じく父がシーザスターズで、G1ファルマスS勝ち馬ラジームの半弟にあたる上場番号928番の牡馬、父シャマーダル、母がG1愛メイトロンSやG1フェニックスSを制しているラコリーナという上場番号1020番の牡馬など、購買者の耳目を集めそうな上場馬が目白押しだ。

 また、2014年に英愛ダービーを含む3つのG1を制したオーストラリア、同じく2014年にG1クイーンエリザベス2世Sなど3つのマイルG1を制したチャームスピリット、2014年にG1ジャックルマロワ賞など4つのマイルG1を制したキングマン、G1愛二千ギニーとG1BCターフという2階級制覇を成し遂げたマジシャン、2013年の英ダービー馬ルーラーオヴザワールド、G1ダイヤモンドジュビリーS,G1ジュライCと、短距離G1・2勝のスレイドパワーといった、今年の当歳が初年度産駒となる若手種牡馬たちが、どんな仔を出しているかを見るのも、当歳セールの大きな楽しみである。

 11月28日から12月1日の開催となる牝馬セッションも、興味をそそられる上場馬が多数いる。

 目玉商品の1頭が、上場番号1868番として上場されるクワイエットリフレクション(牝3)であろう。今年、ロイヤスアスコットのG1コモンウェルスC、ヘイドックのG1スプリントCを制し、先日発表になった2016年カルティエ賞で最優秀スプリンターに選出された馬である。馬は健康で、すなわち、4歳となる来年も現役としの活躍を充分に見込める上に、将来の繁殖としての価値も既にして絶大な牝馬である。

「現役上がり」というカテゴリーで上場されるのが、上場番号1848番のユーロシャーリーン(牝5)だ。アーリントンのG1ビヴァリーディーSを制している他、今年3月のG1ドバイターフがリアルスティールの2着、更にG1ファルマスS2着、G1ロッキンジS2着といった成績のある、トップクラスの牝馬である。

 既に繁殖として供用されている馬では、上場番号1826番のハザリヤ(牝14)が話題だ。今年、英国と愛国のダービーを制したハーザンドの母馬で、現在はインヴィンシブルスピリットを受胎中だ。

 上場番号1837番のスクリーンスター(牝11)は、G1チーヴァリーパークS勝ち馬ルミエールの母馬で、来年生まれる仔が初年度産駒となるゴールデンホーンを受胎中。

 また、上場番号1811番のオンショア(牝3)は、欧州3歳牝馬チャンピオンのバンクスヒルをはじめ、従姉妹に多数のG1勝ち馬がいる血統背景を持ち、なおかつ、現在フランケルを受胎している。

 あるいは、上場番号1541番のザミニヴァーローズ(牝10)は、自身がG2パークヒルS勝ち馬で、ドゥバウィを受胎しての上場となっている。

 果たしてどんな牝馬が日本に入ってくることになるのか、その動向を見守りたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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