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ムーヴザワールドが見せた“本物”の片鱗/トレセン発秘話

  • 2016年11月18日(金) 18時00分


◆石坂キュウ舎の看板馬になってくれる

 追い切りは時計が速ければ速いほどいいというものでもないし、逆に遅くても理想的だったというケースもある。要は事前の予定通りに時計を刻めたかどうか。そして、その中身である。

「プラン通りのタイムか」という観点では、東京スポーツ杯2歳Sに出走するムーヴザワールドの最終追い切りは“失敗”の部類だろう。坂路で4ハロン54.8秒。本来はこれより1秒ほど速いタイムを刻む予定だったとか。それでも中身を見ると、もっと重要なことが隠されていることに気づく。

 時計が遅くなってしまった最大の要因は、朝一番の混雑した時間帯の中、前で併せ馬を行っていた(他キュウ舎の)馬がいたため、思ったようにスピードを上げられなかったことによる。騎乗したルメールが「まるで競馬みたいだった」と苦笑したほどだ。

 それでも前が壁になって、いったんは鞍上がアクションを止め、横に出してから再度追い出す形になった時、抜け出すスピードのあまりの速さに「反応がすごかった」とルメールは驚嘆した。

 デビュー前はダラッとした動きしかできなかった馬であり、もし当時の状態で、こんな俊敏性を求められるシチュエーションになっていたら、ここまで即座にギアを上げられなかったはず。“渋滞”した状況下での追い切りになったため、「ひと叩きしてエンジンの吹き上がりが速くなった」(古川助手)というムーヴザワールドの良化度合いが視覚的にもハッキリしたわけだ。

 初戦は前日の古馬1000万下(夕月特別)より0秒2速い勝ち時計。負かした馬のうち2、4、5着馬が、その後に勝ち上がっている点からも、やはりこの馬は“本物”。動きが明らかに変わった今回は、遠征競馬、重賞挑戦という壁もクリアしてくれるはず。

 先々は、引退が発表されたオークス馬シンハライトに代わる石坂キュウ舎の看板馬になってくれると思っている。(栗東の坂路野郎・高岡功)

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