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昨年、東京ダービー以来の勝利を挙げたハッピースプリント、今年も参戦/浦和記念

  • 2016年11月21日(月) 18時00分


“負けられない戦い”に臨んだ陣営の強い思い


昨年の浦和記念


 11月22日(火)に浦和競馬場で行われる『第37回浦和記念』。ヴァーミリアン、スマートファルコンが3歳でこのレースを制したのち大躍進を遂げるなど、秋のGI・JpnI戦線の狭間にありながらも上がり馬の活躍が目立つレース。また過去10年で地方勢が5勝。一昨年は1着サミットストーン、2着グランディオーソ、3着トーセンアレス。昨年は1着ハッピースプリント、2着サミットストーンと、地方馬の上位独占が続いています。

昨年の優勝馬ハッピースプリント


一昨年優勝、昨年2着のサミットストーン(写真は昨年出走時)


 ここで、ハッピースプリントが2014年の東京ダービー以来1年半ぶりの勝利を挙げた昨年のレースを振り返りましょう。

 1番人気はオープン戦で2勝を挙げ(ブリリアントS、ブラジルC)、重賞初制覇の期待がかかっていたJRAのドコフクカゼ。2番人気は前年の南関東2冠馬ハッピースプリント。3番人気はマーキュリーCを制したユーロビート。4番人気ソリタリーキング。さらに前年(2014年)の覇者サミットストーンも加わって、NARグランプリ年度代表馬の行方も占う一戦となりました。

 浦和の2000m戦は向う正面からのスタートで6回コーナーを回る左回りコース。リアライズリンクスが他を大きく離して逃げ、2番手サミットストーン、3番手ハッピースプリントという態勢で淡々と進みます。レースが動いたのは2周目の3コーナー。サミットストーンが逃げたリアライズリンクスを交わすとハッピースプリントもそれに続いて押し上げ、4コーナーからは内サミットストーン外ハッピースプリントの一騎打ち。直線半ばでハッピースプリントが先頭に立つと、そのままサミットストーンを2馬身突き放してゴール。3着はソリタリーキングでした。

最後はサミットストーンを2馬身突き放して優勝(撮影:武田明彦)


 2015年、ハッピースプリントがここまで戦ってきたレースはすべてGI・JpnIレース。勝ち星こそ久しぶりでしたが、かしわ記念と帝王賞では3着と馬券圏内。JBCクラシックでも5着と掲示板を確保。トップホースたちと戦い続け、着実に力を付けていたことは間違いありません。

 レース後、鞍上の宮崎光行騎手は「今日は負けられない一戦だったので、早め先頭という気持ちで勝ちにいきました」と語り、森下淳平調教師も「勝たなきゃいけなかったと思うので、とにかくホッとしました。これまで勝つのは難しいレースばかり選んできたんですが、その中でも1着を取らないといけない馬だと思っています」とコメント。“負けられない戦い”だったという、陣営のこのレースに賭けた強い思いが伝わってきました。このあとハッピースプリントは2015年NARグランプリ年度代表馬に選出され、2013年に続く2回目の受賞となりました。

 そのハッピースプリントも連覇を目指して参戦。今年の注目馬をご紹介しましょう。

過去にはヴァーミリアンやスマートファルコンが3歳で制覇


 まずJRAから。筆頭はケイティブレイブ。古馬を撃破した前走・白山大賞典ではいつもの逃げの戦法ではなく2番手からの競馬で快勝したことで、レース振りにも幅が出た印象の成長著しい3歳馬。名馬ヴァーミリアンやスマートファルコンが3歳でこのレースを制していることからも、試金石と言える一戦。今年のダートグレード競走で大活躍の武豊騎手が今回も手綱を握ることも心強い材料。

白山大賞典に続いての古馬撃破に挑むケイティブレイブ(写真は今年1月、3歳500万下優勝時)


 ストロングサウザーは2月の佐賀記念を制して重賞ウイナーの仲間入り。7月のマーキュリーCでは直線で上がり35秒4の切れ味を見せ内から抜け出して勝利。前走・白山大賞典ではケイティブレイブ、アムールブリエに続く3着でしたが、展開次第で侮れない存在です。

前走・白山大賞典ではケイティブレイブから0.3秒差のストロングサウザー(写真は2015年・ラジオ日本賞優勝時、撮影:下野雄規)


 クリソライトは3歳時にジャパンダートダービーを制しているJpnIホース。その後JpnIIを3勝(2014年日本テレビ盃、2015年・2016年ダイオライト記念)しているものの、JpnIレースでは少し足りない成績でしたが、9月のコリアC(韓国G1)を大楽勝したインパクトは大!その遠征の疲れが残っていたのか前走・JBCクラシックでは11着に敗れましたが、今回の舞台なら巻き返す可能性も十分。クリソライトの取捨が今回のレースを紐解くカギになりそう。

今年の韓国・コリアCを楽勝したクリソライト(写真は今年のダイオライト記念優勝時、撮影:武田明彦)


 メイショウヒコボシは2走前、赤富士S(東京・1600万下)を勝ってオープン入り。重賞初挑戦だった前走・みやこSでは12番人気で5着と掲示板を確保。地方競馬の重賞は初参戦ですが、人気以上に走りそうな気がします。

 地方勢の他地区からは愛知のダイヤノゲンセキ。去年3月に甲南S(阪神・1600万下)を勝ってオープン入りした8歳馬。その後、障害未勝利戦でも勝利を挙げたのち、愛知・角田輝也厩舎に移籍。今回が移籍後初戦となります。2015年のNARグランプリ最優秀勝利回数調教師賞を受賞した角田調教師の手腕に注目です。

 南関東勢ではやはりなんといってもハッピースプリント。昨年の覇者であることは前述した通り。久しぶりに出走したダートグレード競走以外の南関東の重賞、前走・マイルグランプリで7着に敗れたのは残念な結果でしたが、59kgという酷量も敗因のひとつ。ともに東京ダービーを制した吉原寛人騎手とのコンビで再びの復活を目指します。「もう一度ハッピースプリントが勝つ姿を見たい」そんな地方競馬ファンの望みを乗せての登場です。

ともに東京ダービーを制した吉原寛人騎手とのコンビで参戦するハッピースプリント(撮影:高橋正和)


 浦和記念のタイトルホルダー・サミットストーンが今年も参戦。一昨年1着、昨年2着の実績は侮れません。

一昨年の覇者・サミットストーンは3年連続の挑戦(写真は2014年の浦和記念優勝時、撮影:武田明彦)


 2013年のランフォルセ以来3年ぶりにJRA勢の勝利なるか!?はたまた今年も地方勢が台頭するのか!?ここを足掛かりにステップアップしたい馬、復権を目指す馬、それぞれの陣営の思いが交錯する『第37回浦和記念』にご注目ください!

※次回の更新は11月22日(火)の18時。翌日に園田競馬場で行われる「兵庫ジュニアグランプリ」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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