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裏街道で充実を待つケイティブレイブ/浦和記念・浦和

  • 2016年11月23日(水) 18時00分

撮影:武田 明彦



機が熟してからのGI挑戦となるのかもしれない


 秋、3歳馬にとっては古馬との世代間レベルが気になる季節。

 今年のダート3歳世代は抜けた存在がなく、平均より上の3、4頭が勝ったり負けたりで頂点を争っているという状況。そこに北米三冠に挑戦したラニが秋になって合流してきた。

 ジャパンダートダービーを制したキョウエイギアは残念ながら骨折で戦線離脱。ユニコーンSを制したゴールドドリームとラニは、まさにダートチャンピオンの座を狙ってチャンピオンズCへ。春に兵庫チャンピオンシップを制したケイティブレイブは、白山大賞典を勝って浦和記念と、いわば裏街道を選択してきた。

 ケイティブレイブにとっては、その選択が見事的中。55kgという3歳馬ゆえに恵まれた斤量もあったが、単勝1.3倍という圧倒的な人気にこたえて見せた。

 ハナを主張したのはタマモホルンで、それが内枠だったこともあって、ケイティブレイブは無理せず2番手。浦和2000mは最初の3コーナーまでに位置を取りに行く馬が多く、今回も最初の3Fは35秒8で競り合った。しかし隊列が決まってスタンド前の直線に入ると一気にペースが落ち着いて、13秒前後のラップが続いた。とはいえ逃げたタマモホルンは格的にもよほど楽に逃がさない限り勝負からは蚊帳の外で、そこから3馬身ほども離れて2番手のケイティブレイブにとっては、スローペースの逃げに持ち込んだのと同じ。

 ケイティブレイブが向正面の中間で前をとらえて先頭に立つと、早めに追いかけてきたのがクリソライト。3、4コーナー中間では1馬身ほどまで迫る場面もあったが、斤量差は3kg。しかも、ケイティブレイブにとっては前半楽に先行したぶんの貯金もあり、直線で楽々と突き放した。

 3歳でトップになったら一気に古馬の頂点を狙うということも選択としてはアリだが、「まだ3歳だし、GI(への挑戦)はまだ先」と目野調教師がレース後に話していたように、じっくりと成長を待つという使い方もある。同じく3歳時にこの浦和記念を制したスマートファルコンがその典型だった。スマートファルコンは白山大賞典を勝ったあと、JBCスプリント(クラシックでは除外の可能性が高いためスプリントを選択)で2着があっての浦和記念だったが、その後は地方のJpnII/IIIばかりを連戦連勝し、次にGI/JpnIに出走したのは5歳時の帝王賞(6着)だった。ケイティブレイブも、機が熟してからのGI挑戦となるのかもしれない。

 クリソライトは4馬身差の2着。韓国から帰国しての初戦となったJBCクラシックは11着と惨敗だったが、そこからよく持ち直した。もともと複数頭の最強クラスが相手だと苦戦傾向にあり、今回はメンバーも道中の流れも格段に楽になった。

 ハッピースプリントは中団から早目に位置取りを上げていって3着。秋は、日本テレビ盃6着、JBCをあきらめて臨んだマイルグランプリでも7着と調子を落としていたが、レース前の調教師コメントにもあったように、ここに向けてだいぶ復調してきた。

 2番人気の支持を受けたストロングサウザーの9着はさすがに負け過ぎだが、実績的にはJpnIII勝ちまでで、2度のGII/JpnIIではともに掲示板外。それを思えば、今回別定重量を背負っていたとはいえ一線級との対戦を重ねてきたクリソライト、ハッピースプリントが馬券圏内を確保というのは順当な結果だった。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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