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JRA日高育成牧場訪問

  • 2016年11月23日(水) 18時00分


早い組は9月初旬から初期馴致が始められた

 先日、来春のブリーズアップセール上場を目指すJRA育成馬たちを取材してきた。今年は、全82頭が日高と宮崎に分かれて鋭意調教が進められており、そのうち日高育成牧場には現時点で牡34頭、牝26頭、計60頭が在籍している。

 JRAホームブレッド6頭を除いた54頭の出身セール別内訳は、セレクション8頭、セレクト1頭、サマー43頭、オータム2頭。各セール終了後、順次日高育成牧場に引き取られ、早い組は9月初旬から初期馴致が始められた。

 60頭を3群に分割して調教を進めて行くのは昨年と同じである。11月下旬の現在は、早い組だと、屋内800mダートコースにてキャンターで2400m、さらに曜日によっては、外の1600mダートコースに出て、同じくらいのメニューをこなす。

JRA育成馬1600mダート調教

JRA育成馬1600mダート調教

 今年は極めて順調に調教が進められている、という。ほとんどアクシデントもなく、予定通りの調教過程で推移しているそうだ。

 午前中の2鞍目に、牝馬12頭が馬装して出てきた。準備運動を兼ねて、覆馬場にて速歩で体をほぐす。右回り、左回りと2周ずつ縦列でウォーミングアップした後、覆馬場の真ん中に設置されたゲートをくぐり、屋内800mダートコースへと移動する。

 一定間隔を保ちながら縦列で周回する。ハロン23秒〜24秒ほどのペースである。今はまだ基礎体力強化の段階なので、速度を上げることはあまり意識せずに、無理なく調教メニューをこなせるかどうかに重きが置かれている。

 私が密かに注目している1頭は、サマーセールにて購買された道立静内農高生産の「ゴートゥザノースの2015」であった。購買価格は税抜き190万円とかなり「お手頃価格」だが、父バゴ譲りの黒鹿毛の引きしまった馬体を持つ牝馬だ。

ゴートゥザノースの2015

ゴートゥザノースの2015

 ちょうどこのゴートゥザノースの調教を間近で見ることができた。2鞍目の12頭の牝馬の中にいたのである。この馬もかなり順調だという。「これから徐々に馬本来の持っている個性のような部分が出てくるとは思いますが、今のところまったく手がかからず、何の問題もありませんね」と説明された。11月15日現在の馬体重は433キロ。大柄だったひとつ上の半姉よりも一回り小さい印象だ。

ゴートゥザノースの2015(先頭)

ゴートゥザノースの2015(先頭)

 半姉も昨年、日高育成牧場で調教が進められていたが、疝痛の持病があり、年明け3月にはついに開腹手術を実施。そのために4月のブリーズアップセールには間に合わず、5月24日札幌競馬場で開催されたHBAトレーニングセールに上場されたのであった。結果は432万円でLSMに落札され、「ノボ」の冠名の競走名がつけられることになるものと思われていたが、今に至るもデビューはできておらず、未だ登録もされていない。

 今度こそ、何とか、無事に育ち、ブリーズアップセールを経て、早期デビューを果たして欲しいと思う。

 ところで、JRA日高育成牧場では、BTCの育成調教技術者養成研修34期生21名を4〜5名ずつの班に分け、毎日午前中にJRA育成馬たちを使っての馴致や初期調教から実際の調教まで、「生の教材」ともいうべき1歳馬たちを使って訓練のお手伝いもしている。昨年までは、9月〜10月の初期馴致(ロンジング、ドライビングなど)の実地訓練の後、年明けの坂路調教開始まで2カ月ものブランクがあったことから、研修生たちも戸惑いを隠せなかったらしいのだが、それが今年からは、途切れることなくJRA育成馬の調教過程全てに関わることになったという。

職員に交じり育成馬に騎乗する34期生

職員に交じり育成馬に騎乗する34期生

 こうして普段乗っている乗用馬とは違う反応を見せる若馬に接することにより、より研修の中身が充実したものになるのである。来春、BTC34期生たちは、ブリーズアップセール前に、これらの育成馬に実際に騎乗して関係者にお披露目することになる。

 なお、今年春に開催されたブリーズアップセールにて売却された72頭と、前記ゴートゥザノースの2014のように、ブリーズアップセールを欠場しHBAトレーニングセールにて売却された6頭の、合わせて78頭がJRA育成馬出身ということになるが、これらのうち、現在のところすでに11頭が中央での勝ち馬となっている。

 ちなみにひとつ上の現3歳世代は、今年4月10日の段階で18頭が計20勝を挙げていた。まだまだ現2歳世代はチャンスがあるので、今後どこまで勝ち上がり率が上がるのかにも注目して行きたいと思う。

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岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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