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損得を離れて結果を認める侠気

  • 2016年11月24日(木) 12時00分


無邪気な心で競馬を楽しむ


 友人と交際をする時には、自分の利害を離れる侠気(おとこ気)が三分くらいなくてはならない、これは中国の古典、菜根譚に出てくることばだが、この心意気は大切にしたい。

 自分の利害を離れた付き合い、打算で動くのではない交際、そのためには多少のことはのみ込むぐらいの覚悟がなくてはならない。「友と交わるにはすべからく三分の侠気を帯ぶべし」なのだが、こればかりだと、俗世の悪に染まってしまうので、これに続いて「人と作るには一点の素心を存するを要す」とある。人らしい人となるためには、一点のけがれなき心を持っている必要があると言うのだが、要するに、邪気がない、無邪気な心と受け止めれば分かりやすい。

 この友人を、競馬と置き換えてみてもいいのではないか。自分の損得を離れて結果を認める侠気を持ち合わせているかどうか。でも、結果が違ったらそうはいかないこともある。それを許せるのは、邪気のない心がそうさせるのではないか。純粋にレースを満喫できるのは、無邪気な心がそうさせているのだと言えるのではないか。そうであれば、競馬との付き合いは良好と言える。

 マイルCSでは、ミッキーアイルが逃げ切って、NHKマイルCに続くGI2勝目を達成した。スピードを生かせる競馬をするには先手を取るのが一番と決意した逃げだったが、無駄な脚を使わずに浜中騎手は導いていた。ゴール前で、皐月賞以来の栄冠をと脚を伸ばしてきたイスラボニータを抑えることができたのも、このレースの運びにあった。結果だけ見れば、見事な勝利と言えたが、直線の斜行がちょっと心を曇らせた。不利を受けた馬がいたのだからと、立ち止まってみるところもあったが、これまでマイルのGI戦ではオーバーペースで折り合いを欠いていたのが、ゲートの悪さもなくなり心身とも成長した姿を見せたのだから、大目に見てあげよう。

 だが、この次はどうだろう。マイルで安定した力を発揮するようになったイスラボニータ、初のマイルでいい走りを見せたネオリアリズム、まだまだマイル戦線は混とんとしている。取り敢えず、シンプル・イズ・ベストの勝利を祝福しておこう。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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