詰めが甘いのは確かだが、巡り合わせが悪いというしかない
ここまで
サウンズオブアースが勝ったのは、3歳春の未勝利戦と、500万特別の2勝だけ。しかしながら、ここに挑戦できるくらいだから重賞レースの常連であり、G1菊花賞では快レコードの0秒1差2着。3着
ゴールドアクターには3馬身半先着している。有馬記念ではその同期の上がり馬ゴールドアクターに負けたものの、差はクビだけ。菊花賞を勝って勢いに乗る3着
キタサンブラックには0秒1先着している。
通算の重賞成績はきわめて特異に【0-6-0-6】。近年ではディサイファの上のアドマイヤタイシが、そっくり同じ重賞成績【0-6-0-6】だったが、G1でも再三勝ち負けしている点では、6歳春に目黒記念を制するまで重賞【0-7-7-11】という不思議な成績をつづけたステイゴールドに似たところがある。
詰めが甘いのは確かだが、別にジリ足でもなく、巡り合わせが悪いというしかない。
たとえば、昨年のジャパンCでは好位で揉まれたうえ、4角でゴールドシップが猛然と外からきたため、結果、早仕掛けだった。それで0秒3差の5着だから、あと少しで重賞(それもG1)に手が届きそうなのである。ローテーションは昨秋とそっくり同じだが、今年の京都大賞典は「タメて待てば、もっと切れる」ことを改めて確認するステップレースに徹したような乗り方だった。ノドから手が出るほど欲しい重賞勝ちに執着せず、大目標をここに絞ったと思わせるフシがあった。
デムーロ騎手は、父のネオユニヴァースで皐月賞、日本ダービーを勝っただけなく、産駒のヴィクトワールピサで、ドバイWC、有馬記念を制し、この父系の伝える長所も弱点も承知している。今年はあまり早く動いて出ず、切れを生かす作戦がありえる。
サウンズオブアースと同じファミリー出身馬は日本に数多く輸入されている。03年のジャパンカップを勝ったタップダンスシチーも、ゴールドアクターの父スクリーンヒーローが勝った08年の2着馬ディープスカイも、いま、種牡馬として再評価されているリーチザクラウンもジャパンカップに出走しているが、みんなミスカーミー(クリスエバートの母)の一族である。
ずっと重賞を勝てなかったステイゴールドは、目黒記念を契機に別馬になり、最後の香港ヴァーズを含め重賞を4つも制している。タフなはずのサウンズオブアースの快走に期待したい。馬体重の数字は別に、身体の線が研ぎ澄まされてきたように思える。
最近10年、【0-0-1-40】の外国馬はふつうは苦戦だが、2度目の挑戦馬2頭のうちの、
イラプト(父ドバウィ)は少しだけ買いたい。