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アルゼンチンの名牝ポトリザリスの子サンラファエル

  • 2016年12月07日(水) 12時00分
インペリオアスール(牡 栗東・石坂正 父エンパイアメーカー、母アビ)
 半兄ディープスカイ(父アグネスタキオン)は日本ダービー(GI)、NHKマイルC(GI)など4つの重賞を制した名馬。母アビは競走馬としては無名ながら、独2000ギニー馬Royal Dragonの半姉にあたる良血で、Miss Carmie 4×3という大胆な牝馬クロスを持っている。Six Crowns≒Carmelize 2×2といってもいい。産駒のなかで大物といえるのはディープスカイのみだが、非凡なものを伝えることのできる繁殖牝馬で、いずれ孫の代から大物が誕生する可能性も大いにある。本馬の父はエンパイアメーカー。現役時代にベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝し、12年の米サイアーランキングで2位となった。現2歳世代から萩S(OP)を勝ったプラチナヴォイスが出ている。ダート向きの中距離タイプ。

サンラファエル(牡 美浦・武井亮 父ディープブリランテ、母ポトリザリス)
 ディアデラノビア(父サンデーサイレンス/05年フローラS-GII、07年京都牝馬S-GIII、07年愛知杯-GIII)、イグアス(父ディープインパクト/11年ステイヤーズS-GII・2着)、マゼラン(父クロフネ/OP)、クルサード(父ダンスインザダーク/07年若駒S-OP・2着)の半弟。母ポトリザリスは亜ダービー(亜G1)、亜オークス(亜G1)を制した女傑で、繁殖牝馬としては競走成績に見合うだけの影響力を発揮しており、産駒だけでなく孫の代からもディアデラマドレ、ディアデルレイ、ドレッドノータス、サンマルティンといった活躍馬が出ている。本馬の父ディープブリランテは日本ダービー馬で、その名が示すとおりディープインパクト産駒なので、血統的にはイグアスの4分の3弟にあたる。ディープブリランテはいまのところスピードタイプが多いので、イグアスのようなスタミナタイプではなく芝中距離で活躍しそうだ。

デアレガーロ(牝 美浦・大竹正博 父マンハッタンカフェ、母スーヴェニアギフト)
 シュプリームギフト(父ディープインパクト/13年函館スプリントS-GIII・2着)、ベステゲシェンク(父ディープインパクト/15年朱鷺S-OP・1着)の4分の3妹。母スーヴェニアギフトはランダルースS(米G3・ダ6f)を勝ち、デルマーデビュタントS(米G1・ダ7f)で2着となった活躍馬。Mr.ProspectorとSeattle Slewを併せ持つ繁殖牝馬は前向きな気性とスピードを伝える傾向がある。父マンハッタンカフェはヒルノダムール、レッドディザイア、クイーンズリング、ジョーカプチーノなど多くの重賞勝ち馬を送り出しており、本馬のようにAllegedのクロス(4×3)を持つパターンはショウナンマイティ(12年大阪杯-GII、13年安田記念-GI・2着)と同じ。母スーヴェニアギフトはテンションの上がりやすい気性を伝えるところがあるので、芝1400〜1800mあたりを得意とするタイプだろう。

メイショウナンバー(牝 栗東・高橋義忠 父エンパイアメーカー、母メイショウバトラー)
 母メイショウバトラーは10歳の暮れまで走り、通算で6億円以上の賞金を稼ぎ出した女傑。小倉大賞典(GIII)、プロキオンS(GIII)、シリウスS(GIII)、マリーンC(JpnIII)2回など重賞タイトルは「10」の大台に達した。11歳の春から生まれ故郷である三木田明仁牧場で繁殖生活に入った。初年度産駒のメイショウタラチネ(父メイショウボーラー)はダートで2勝を挙げ、2番子のメイショウカイヒメ(父メイショウサムソン)は未勝利のまま引退し、3番子の本馬はエンパイアメーカーを父に持つ。エンパイアメーカーはカイザーバル、ナムラアン、プラチナヴォイスのような芝馬も出しているが、トータルの成績ではダートのほうがはるかに上。母メイショウバトラーもタフなパワータイプだったので、ダート中距離を得意とするだろう。

レディロックバンド(牝 美浦・竹内正洋 父マンハッタンカフェ、母ルンバロッカ)
 ロッカヴェラーノ(11年皐月賞-GI・6着)、ロッカフェスタ(現準OP)の全妹。母ルンバロッカは伊1000ギニー(伊G2・芝1600m)の勝ち馬で、繁殖牝馬としてはこれまでにJRAで出走した産駒8頭のうち7頭が勝ち上がり、前出の2頭のほかにクロスカップリング(父ダイワメジャー)が毎日杯(GIII)で5着となっている。母の父Sri PekanはRoberto系ながらスピードを伝えたRed Ransomの子で、シャンペンS(英G2・芝7f)など3つの重賞を制覇するなどイギリスの2歳短距離戦線で活躍した。コンスタントにスピードを伝えられることが安定した産駒成績に伝わっているのだろう。母がこれまでに競馬場でデビューさせた8頭の子はすべて牡馬だったが、本馬は初の牝馬。全兄2頭のような活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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