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“格安”カデナの素質を見抜いた中竹師の慧眼/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年12月07日(水) 18時00分


◆「とにかく上腕が太くて“これだ”」

 ディープインパクト産駒の活躍が目立つキュウ舎といえば、西では池江、友道、藤原英、東では萩原キュウ舎あたり。いずれも勝ち星はもちろん、勝率、連対率、複勝率など、何かしら突出した数字を残している。指摘するまでもなかろうが、いずれもノーザンファームとのつながりが深いキュウ舎で、池江、友道、萩原キュウ舎はノーザンファーム生産馬で最も多くの勝ち星を挙げている(藤原英キュウ舎にしても2位)。

 そもそもディープインパクト自身の生まれ故郷がノーザンファーム。そしてディープ産駒で最も勝ち星を挙げている生産者もまたノーザンファームなのだから、関係が深ければ、ディープ産駒関連の数字が上がるのは当然といえば当然か。セレクトセールで高値のつくディープ産駒もまたノーザンファーム生産馬が圧倒的に多い。

 逆に言うとノーザンファームとの付き合いの薄いキュウ舎は、ディープ産駒を預かる数も多くはなくなるし、結果を残すこともそれだけ難しくなるのだが…。そんな中で気を吐いているキュウ舎がある。現2歳世代でディープインパクトに初めての重賞タイトル(京都2歳S)をもたらしたカデナを管理する中竹キュウ舎だ。

「ウチはノーザン(ファーム)以外のディープ産駒でよく勝っているでしょ」とはあるスタッフの弁だが、よく勝っているどころの話ではない。4日終了現在、22勝をディープ産駒で挙げているが、ノーザンファーム出身馬はなんとゼロ。それでいてカデナのほか、ブランボヌール、ダコールといった重賞ウイナーを出しているのだから驚かされる。

 このカデナとてセレクトセールではディープ産駒としては“破格”とも言える3780万円(税込み)で落札された。競り値が上がらなかったのは、お世辞にも衆目を集める馬ではなかったことを意味するが、中竹調教師には“勝算があった”らしい。

「ちょうどこの時期にノースヒルズがアメリカの血統学者と契約をして、『上腕部は鍛えようと思って鍛えられる部分ではないため先天的な要素が強い』って話題が出たんだよね。その後に見たのがこのカデナだった。確かに前後のバランスは良く見えなかったし、それで敬遠されたんだろうけど。とにかく上腕が太くて“これだ”と思ったんだ。俺の見る目は確かだったろ(笑い)」

 最後の決めジョークはさておき、確実に言えるのは数少ない、それもノーザンファーム以外のディープ産駒を大成させるノウハウが中竹キュウ舎にはしっかりと根付いていることだ。

 冬場は充電に充て、来年3月の弥生賞から牡馬クラシックへ向けて再始動するカデナ。「まだ腰が高いくらいだから、もっと良くなると思う。伸びシロは大きいはずだよ」と中竹調教師はさらなる進化を約束する。来春は“非ノーザン”のディープ産駒が猛威を振るうことになるかもしれない。

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