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隠れZOKKON命と包装紙の呪縛

  • 2016年12月08日(木) 12時00分


香港スプリントのビッグアーサーの鞍上がムーアになった。

「福永騎手はビッグアーサーを世界まるごとHOWマッチしようとしている」とスプリンターズSのコラムで記した。セントウルでの逃げは香港を見据えた逃げで、スプリンターズSはそのための通過点にすぎないのではないか? と思ったからだった。

残念ながら、HOW MUCH(値踏み)の答えはスプリンターズSでは見つけられなかった(番手競馬をすると想定)。けれど、再び福永騎手を背に香港スプリントに出走すると知って、やはりなんらかのビジョンを藤岡健調教師と描いていたのだなと感じたのだった。

二人の手応えがどれほどのものか知る由もないけれど、一連の流れから、自分は香港で通用する手応えを50:50(フィフティ:フィフティ)と見立ててみた。スプリントは全体的に香港競馬の方がレベルが上だし、きっと人気も下がるはず。それで50:50なら買える。そう思っていた。

しかしながら福永騎手は落馬負傷!
とても残念だ。
したらば鞍上ムーア!

ムムムムムーアかぁ……!!
世間はどうか知りませんが、自分は少し複雑な気分であります。
なぜなら、ムーアが騎乗する1人気必至の香港ヴァーズのハイランドリールや香港カップのモーリスが負けるとしたら、どの馬が勝つんだろうと、そればかり考えていたからだ。そこにこれまた日本では1人気になりそうなビッグアーサーが加わる。だから複雑なんであります。

素直に取るのなら、もちろん買いだ。
ムーアに依頼するということはそれなりの手応えがあって、デキもいいということだろう。そしてムーアが騎乗を快諾したということはムーアもチャンスがあると見立てたということだろう。
ムーアが空いていたということはチャンスのない馬には騎乗しないから空いていたということでもある。

ムムム……素直に乗っていいのだろうか? ヤバイ!ふだん素直に生きていないから、こういうときの答えの出し方がわからない! ひぃ〜!

いずれにせよ、今年の香港国際競走はネオリアリズム含めて、ムーアの馬が人気になることは明白だ。少なくとも日本の馬券では間違いない。ムーアがいくつ勝つと考えるか、すべてのレースで少しだけ取りこぼすと考えるか、これはこれで興味深い国際競走だ。

香港ではフランスの馬も活躍する傾向にあると海外競馬通でメルボルンCもブリーダーズカップも的中させていた秋山響さんの著書「海外競馬・勝つためのプレミアムデータ&テクニック」に書いてあった。

とりあえずフランスの馬にも目配せしながら、日本のオッズと香港のオッズを見比べながら、不当に人気を落としていそうな馬をピップアップできればいいな。日本で穴でも香港で穴人気だとしたらあまり意味はないように思える。現場の空気が優先されるように思えるからだ。

その前に阪神ジュベナイルフィリーズだ。

って、書いてみたけど、ぜんぜん「その前」じゃない。

香港ヴァーズは15時00分、香港スプリントは15時40分スタートだからだ。

今週は、中山・阪神・中京の3場開催で、そこに香港がかぶる。すごい!4場開催だ!ひゃっほー!

14時40分 中山10 美浦S 
  50分 中京10 こうやまき賞
15時00分 阪神10 堺S
         香港ヴァーズ
  20分 中山11 カペラS
  30分 中京11 名古屋日刊スポーツ杯
  40分 阪神11 阪神JF
         香港スプリント
16時00分 中山最終
  10分 中京最終
  20分 阪神最終
  50分 香港マイル
17時30分 香港カップ

目が眩みそうだ。しかも日本競馬は締切2分前、日本の海外競馬は締切4分前。身体にニコチンのように染み付いた2分前ルーティンはけっこうやっかいで、凱旋門賞でもメルボルンCでも危うく締め切られそうになった。BCではさらに眠りそうにもなった。まあでも、ぜんぶ当たったらそれはそれでエキサイティングだ。うひ!

もちろんぜんぶハズれると逆エキサイティングなことも知っている。だからぜんぶハズれないように、せめて阪神JFだけでもきちんと当てたいものだ。

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今年もZOKKON命(ラブ)で包めるか?
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去年は、デビュー以来ずっと騎乗し続けている、(その馬に)ゾッコン騎手に注目したら、1着2着3着してしまった。ゾッコン騎手騎乗馬は4頭しかいなくて、1・2・3!

1着 メジャーエンブレム ルメール
2着 ウインファビラス  松岡
3着 ブランボヌール   岩田


毎年香港国際競走と重なるから乗り替りが多いのはわかる。不可抗力の乗り替りもあるだろうし、有力馬ならピンチヒッターも有力騎手をあてがうはず。だからゾッコン騎手のゾッコンホースが好走するとしても、よくて2頭くらいだと思っていた。香港騎乗を断って阪神JFに賭けるパターンとただただ主戦としてふつうに騎乗しているパターンがあるからだ。なのにワンツースリー!

こうなると今年もゾッコン騎手の騎乗するゾッコンホースに注目せざるをえない。
今年は7頭(1戦1勝馬は除く。1戦ではゾッコン度がわからないのと、前走新馬1着馬は松田博厩舎と角居厩舎の有力馬以外はほとんど走れないからだ。鹿戸雄厩舎のレッドセシリアが3着してるけれど、この馬はノーザンF生産馬だから例外でいい。今年は1戦1勝の社台グループ馬はいない)。

以下は該当馬。予想人気順に並べてみた。

1人気 ソウルスターリング ルメール
8人気 サトノアリシア   池添
10人気 ブラックオニキス 城戸
12人気 ショーウェイ   松若
16人気 ポンポン     嘉藤
20人気 エムオービーナス 木幡初
21人気 フェルトベルク  川島信

前走未勝利戦で、このレースで勝ち負けした馬はこれまた松田博厩舎の有力馬ブエナビスタのみ。
前走重賞以外で3着以下に敗れた馬もここでは通用しない。前走重賞でも掲示板はハズしてはいけない。
そんなふるいにかけると、残る馬は3頭しかいなくなる。

1人気 ソウルスターリング ルメール
8人気 サトノアリシア   池添
12人気 ショーウェイ   松若

3頭だと包装紙にしにくい。
ソウルスターリングは話題のフランケル産駒で、鞍上も去年同様に日本に残るルメールで、藤沢和厩舎で、1人気必至で、ナイガシロにしにくい。それならば、包まれるほうに回したいくらいだ。

おっと、なんだか包装紙ありきで話が進んでいるけれど、先週のチャンピオンズCでも「前走JBC包装紙」で包めてしまったからしょうがない(1着・2着)。マイルチャンピオンの舶来系包装紙(ムーア・ルメール)、ジャパンカップの菊花賞包装紙(キタサン・サウンズオブ)につづいての包装紙3連勝。こうなると、もはや包装紙の呪縛から逃れられない! にしてもつくづく2:1だと思う。外国人騎手の独占も、菊花賞組の独占も、JBC組の独占もない。

(ちなみにアスカノロマンを包み損ねたので3連複はハズした! 包装紙は3連勝してるけれど、ちゃんと包めたのはジャパンカップのみ! ひぃ〜!)

ではどうするか?
改めて過去10年なんぞを眺めていて、ムムムとなった。
ここ2年社台系包装紙で包めていないぞなもし。

去年は1着がノーザンF生産馬だったものの2着、3着は非社台系生産馬だった。一昨年は3着まですべて非社台系生産馬だった。社台系包装紙で社台系の馬を包むことはあっても、社台系の馬が非社台系の馬に2年連続で包まれること(一昨年は包まれもしなかった)はめったにない。ここ10年でも皆無だ。

正直、この包装紙は人気モノだから使用したくないけれど、今年はしょうがないように思えてきた。キメと思われるレース(重賞その他)を抑えている馬が多いからだ。

社台系生産馬 7頭
1人気 ソウルスターリング アイビーS1着
2人気 リスグラシュー アルテミスS1着
3人気 ジューヌエコール デイリー杯1着
5人気 ヴゼットジョリー 新潟2歳1着
6人気 ディーパワンサ デイリー杯4着
8人気 サトノアリシア アルテミスS5着
15人気 ゴールドケープ 白菊賞1着

社台系生産馬でキャリアの多い馬が馬券になることや、ド人気薄が馬券になることはほぼないから、ゴールドケープは切れる。だとすると6頭。本当はサトノアリシアも切りたいけれど、この馬はゾッコンでもあるから残しておこう。

包装紙候補
ソウルスターリング ルメール
リスグラシュー   戸崎
ジューヌエコール  バルザローナ
ヴゼットジョリー  和田
ディーパワンサ   シュタルケ
サトノアリシア   池添

ソウルスターリングは1人気だろうから、置いておいて、それ以外ではリスグラシューとヴゼットジョリーに注目している。

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阪神JF 注目馬
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レーヌミノル

この秋は蛯名のGO WESTに期待していた(9/15付けコラム)。しかし、秋華賞も菊花賞もエリ女も勝ち負けすることはなく、馬券になることもなかった。かくなる上はダノンプラチナ!と思ったものの、マイルチャンピオンにも香港マイルにも出走なし。今年は打ち止めと思ったら浜中の騎乗停止で、レーヌミノルが回ってきた。

レーヌミノルは、ミスエルテとの対戦を避けて京王杯2歳Sに回ったとも言われているけれど、1人気が苦戦するレースで牡馬に混ざって2着した価値はあるはず。去年の朝日杯FSで11人気のシャドウアプローチを大事にできたのも、シャドウアプローチが前走の京王杯2歳Sを1人気で3着に踏ん張ったからでもある。ならば、牝馬の1人気で2着に踏ん張ったレーヌミノルも同様に頑張れるのではないかというわけだ。

そもそも京王杯2歳Sに出走したということは、NHKマイルかオークスを本気で狙ってるからとも言える。鞍上の浜中はNHKマイルとオークスに勝利したことのある騎手。その浜中が距離は持つと断言したのだから、そこには幾ばくかの真実もあるはず。そこに乗っかってみたい。

その浜中が騎乗停止で乗れなくなって、関東の蛯名にわざわざ依頼するということは、それなりのデキのはずで、先を見据えただけの依頼ではないだろう。思えば、浜中が騎乗停止でなければ、ゾッコンホースの1頭でもあった。

いわば隠れゾッコンホース(隠れトランプみたいだ)!
非社台系生産馬でもあり、社台系生産馬で包むのにふさわしいと思わずにはいられない。表ZOKKON命の代表ソウルスターリングとの対決が楽しみだ。

隠れZOKKON命であり、蛯名のGO WESTでもあるレーヌミノルで決まれば、個人的にも大団円だ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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