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アグネスワールドやトーシンブリザードを輩出した伝統の一戦/全日本2歳優駿

  • 2016年12月13日(火) 18時01分


創設は1950年、歴史ある“2歳のダート最強馬決定戦”


 12月14日(水)、川崎競馬場で行われる『第67回全日本2歳優駿』。1950年に創設された歴史ある重賞競走で2002年にJpnIに格上げされ、名実ともに2歳のダート最強馬決定戦となりました。

 歴代の勝ち馬からは多くの活躍馬を輩出していますが、今回はダートグレード競走に指定された1997年以降の名馬たちをご紹介します。

 JpnIIとなったばかりの1997年の勝ち馬、アグネスワールド。デビュー2戦目の函館3歳S(当時の表記)をレコードタイムで制したのち、全日本3歳優駿(当時の表記)は初ダートで制覇。その後は主に芝のレースを使い続け、1999年にはフランスに遠征し、アベイ・ド・ロンシャン賞(芝1000m)でGI初制覇を飾ります。

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▲1997年の勝ち馬アグネスワールド、後に海外GIを制する名馬へと成長(撮影:下野雄規)


 さらに翌2000年にはイギリスに遠征。伝統あるジュライC(芝1200m)を1番人気で制しGI2勝目を挙げます。日本調教馬が海外2か国のGIを制したのは史上初めての偉業でした。

 1999年の覇者はアグネスデジタル。翌2000年の名古屋優駿、ユニコーンSを勝つと11月には京都のマイルCSに出走。13番人気という低評価を覆し芝のGI制覇を果たします。2001年には船橋の日本テレビ盃、盛岡のマイルCS南部杯、東京の天皇賞・秋を連勝。

 海外にも遠征し香港Cを勝つと、翌2002年のフェブラリーSも制覇。2003年には安田記念も勝利。国内各地の競馬場のみならず世界でも大活躍したスーパーホース。芝・ダートを問わないオールラウンダーとして多くの競馬ファンを驚かせました。

 2000年の覇者・船橋のトーシンブリザードはデビューから3連勝で全日本3歳優駿(当時の表記)を制すると、2001年の京浜盃、羽田盃、東京王冠賞、東京ダービー、ジャパンダートダービーまで連勝を“8”に伸ばし、無敗のまま(南関東のレース体系が変わる前の)最後の4冠馬となりました。

 その年の東京大賞典でもトーホウエンペラーの3着、2002年のフェブラリーSではアグネスデジタルの2着となり、5月のかしわ記念を制覇。JRA勢を相手に激走する姿は地方競馬ファンの胸に深く刻まれています。

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▲▼南関東最後の4冠馬トーシンブリザード、写真は主戦・石崎隆之騎手を背にした引退式の様子(撮影:高橋正和)


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 JpnIレースとなった2002年の勝ち馬はユートピア。2003年のユニコーンS、盛岡のダービーグランプリ(当時はダートグレード競走だった)を制し、2004年と2005年のマイルCS南部杯を連覇。2006年の3月、ドバイのゴドルフィンマイルで海外重賞も制覇しました。

 船橋のフリオーソは2006年の覇者。2007年にジャパンダートダービー、2008年にダイオライト記念と帝王賞、2009年に再びダイオライト記念、2010年に帝王賞と日本テレビ盃、2011年に川崎記念とかしわ記念を制するなど、2歳から8歳までの現役時代、常にトップホースとしてダート界を牽引していました。

 2008年のスーニは翌2009年名古屋で行われたJBCスプリントを制覇。その後も2010年の黒船賞、東京スプリント、2011年のサマーチャンピオン、東京盃、大井で行われたJBCスプリント、兵庫ゴールドトロフィーを制し、スプリント戦線で大活躍。

 2009年、笠松のラブミーチャンは無敗のまま5連勝目で全日本2歳優駿を制覇。その後も牝馬ながら牡馬を相手にスプリント戦線で長きにわたって活躍を続け、2012年の東京盃、2013年の東京スプリント、クラスターCをはじめ、習志野きらっとスプリント3連覇(2011年、2012年、2013年)など地方重賞も数多く制覇しています。

前走初ダートも完勝、3戦無敗のリエノテソーロ


 駆け足でご紹介しましたが、全日本2歳優駿の出身馬たちはスプリント戦から中・長距離まで多岐にわたるレースを国内外で制覇。まさに出世レースと言っていいでしょう。

 今年もまた未来のスターホースを夢見る若駒たちが勢揃い。さっそく出走馬をご紹介しましょう。

 JRAからは5頭。その中でも人気を集めそうなエーデルワイス賞を快勝した牝馬・リエノテソーロ。新馬戦、すずらん賞(札幌・OP)と芝で牡馬を相手に連勝。先行して勝負どころで脚を使えるレース巧者。

 初ダートだったエーデルワイス賞でも好位の外を進み、直線で楽に先頭に立って後続を突き放して勝利。3戦3勝、無敗のままどこまで連勝を伸ばせるか注目です。

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▲初ダートのエーデルワイス賞を完勝したリエノテソーロ(撮影:田中哲実)


 リエノテソーロと同じ武井亮厩舎からハングリーベンも参戦。3走前ヤマボウシ賞では逃げたネコワールドにゴール前で詰め寄ってハナ差2着。2走前なでしこ賞では外枠から好位につけ、直線の追い比べから抜け出して1着。

 前走・兵庫ジュニアグランプリでは3番手からの競馬で2着。ダートでは大きく崩れることのない安定した走りで、重賞初制覇も目前。

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▲リエノテソーロの僚馬ハングリーベン、写真はなでしこ賞優勝時 (C)netkeiba.com


 ネコワールドは大外枠だった前走・兵庫ジュニアグランプリでも果敢に逃げましたが、直線で他馬にかわされて6着。鞍上は今回も武豊騎手。6月の東京の新馬戦(1着)以来となる左回りコースで巻き返しを図ります。

 左回り東京のオキザリス賞(500万下)を勝ったシゲルコング。芝のOP戦・福島2歳Sを制したメイソンジュニアも初ダートで参戦。ダートグレード競走初出走のこの2頭も魅力十分。

 今年はホッカイドウ競馬勢が6頭も参戦。その中でも筆頭は兵庫ジュニアグランプリを制したローズジュレップ。6番人気という低評価で波乱を演出しましたが、層の厚い門別出身馬たちのなかでも新興勢力と言っていい存在。ホッカイドウ競馬のリーディングトレーナー田中淳司調教師が送り出す、成長力を感じる1頭。前走に続いて兵庫の川原正一騎手とのコンビでJpnI奪取に挑みます。

 田中淳司厩舎からはバリスコアも出走。相手強化となった兵庫ジュニアグランプリで3着は立派。7戦して【4-2-1-0】で複勝率100%。父は2006年に全日本2歳優駿を制したフリオーソ。父子制覇を狙います。

 北海道2歳優駿組は3頭が出走。エピカリスの圧勝ぶりが目立つレースでしたが、2着のヒガシウィルウィンは着実に伸びてきた印象。ホッカイドウ競馬の2歳重賞・サンライズカップの勝ち馬です。

 北海道2歳優駿3着のスウィフトハート。サンライズカップではヒガシウィルウィンのハナ差2着と力差は僅か。

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▲サンライズカップのゴール前、勝ったヒガシウィルウィン(内)と2着のスウィフトハート(外) (撮影:田中哲実)


 北海道2歳優駿4着のストーンリバーは2走前、川崎に遠征して鎌倉記念を制覇。コース経験があるのは優位な材料。さらに鞍上には南関東のリーディングジョッキー森泰斗騎手を迎えます。またストーンリバーと同じ堂山芳則厩舎からはヘイジュードも参戦。

 船橋・出川克己厩舎に移籍して初戦を迎えるフライングショット。ホッカイドウ競馬出身で前走10月の2歳重賞・サッポロクラシックカップを制しています。

 同じく船橋の川島正一厩舎に移籍、初戦のキャンドルグラス。ホッカイドウ競馬所属時代に鎌倉記念4着、平和賞5着と南関東重賞を経験済み。

 最後に唯一の船橋生え抜きのキャッスルクラウン。鎌倉記念は5着でしたが、前走・平和賞では勝ち馬スカイサーベルと0.1秒差の2着に健闘。光る末脚は魅力的。

 以上JRAから5頭、ホッカイドウ競馬から6頭、船橋から3頭の計14頭の戦いですが、船橋の2頭は移籍初戦なので実質的にはホッカイドウ競馬勢が8頭という様相。

 例年このレースと関連性の高い兵庫ジュニアグランプリで上位のローズジュレップ、ハングリーベン、バリスコア。さらにエーデルワイス賞を制したリエノテソーロ。さらに未知の魅力溢れるメンバーが揃い、例年以上に予想が難しいレースですが、同時に未来のダート戦線を占う楽しみな戦いです。JpnI制覇を目指す素質馬たちから目が離せません。

※次回の更新は明日12月14日(水)18時。名古屋競馬場で行われる「名古屋グランプリ」のコラムをお届けします。



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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